私の頭の中の消しゴム

●439 私の頭の中の消しゴム 2004

 建設会社社長令嬢のスジンは勤務先の上司と不倫をしていたが、相手が駅に現れず失望する。コンビニファミマでコーラを買ったスジンはその店でチョルスと出会う。

 後日父の会社の現場へ同行したスジンはその現場で作業するチョルスと再会、彼にアプローチし二人は付き合うことに。交際は順調だったが、母親との確執があるチョルスはスジンとの結婚を望まず、スジンは悲しみにくれる。スジンはチョルスとの食事の場へ自分の家族を呼び寄せるが、スジンの父親は娘の交際相手が自社の作業員と知り、交際に反対する。しかしその場から立ち去ったスジンが雨の中倒れてしまい、病院での二人の姿を見た父親は交際を許す。

 二人は結婚、チョルスは建築士の試験にも合格し、二人は幸せな生活を営み始める。しかしスジンは物忘れがひどくなってきており、医者に診察をしてもらう。二人は新居の話をし、チョルスの師匠に会いにいく。そこでスジンはチョルスの母親のことを聞く。チョルスの持ち物を調べ、彼の母親のことを調べたスジンは、チョルスに母親のことを許すべきだと話をする。怒るチョルスだったが、最終的にはスジンの話を受け入れ、新居のための金を母親のために使うことに。

 スジンの診察は続き症状が悪くなっていく。その頃スジンの会社にかつての不倫相手が異動で戻ってくる。チョルスもスジンの異常に気付き始める。スジンの病気はアルツハイマーだと診断される。チョルスも医師から病名を聞く。

 スジンは記憶がなくなる前にチョルスと別れようとするが、彼はスジンを受け止める。スジンは会社を辞め自宅にいたが、ある日元の不倫相手がやってくる。そこへ帰ってきたチョルスは彼を殴り倒すが、そこへ二人の家族もやってくる。スジンの父親はチョルスに別れるように話すが、チョルスは全てを受け入れる決心をしていた。

 ある日、家に一人でいたスジンは記憶を取り戻し、チョルスと別れる決意をし、彼に手紙を残して家を出ていく。

 後日、施設にいるスジンから手紙を受け取ったチョルスは彼女に会いに施設へ。そして彼女を連れ出し、あのファミマへ連れていく。

 

 初見だったが、タイトルから話の内容は想像がついた。観ている途中で20年ぐらい前に日本で流行った小説や映画ドラマのようだなぁと思っていたら、まさにそのまま。日本のドラマのリメイクだった。

 それでも主役の二人が良く、良い映画に仕上がっていたと思う。チョルスは若い頃の福山のようだし、スジンも場面場面での表情の変化が素晴らしい。冒頭の不倫相手に振られた時、チョルスに惚れて酒を飲み干した時、幸せな新婚生活、自身の記憶に不安が現れた時、病状が進んだ時。それぞれの表情がまるで別人のようで見事だった。

 映画としてもストーリー展開のテンポも良く、脇役の使い方も上手だったように思う。ラストのファミマはさすがに泣けたし。韓国映画はほとんど観たことがなかったがこれは良作。

 

私の「ルパン三世」奮闘記 飯岡順一

●私の「ルパン三世」奮闘記 飯岡順一

 10月金曜ロードショールパン三世アニメ化50周年の企画として人気投票で選ばれた過去の作品が放送されており、懐かしく観た。SNSの反応などを読んでいて、偶然この本があることを知り読むことに。

 アニメルパン三世1stシリーズからTVスペシャルまで長い間携わった脚本家がその思い出を綴った一冊。特にTVシリーズ、TVスペシャルに関しては、自身が携わった一本一本について簡単にコメントしているのが珍しいし、作品作りでのエピソードも多く描かれている。

 ただどのようにして一冊の本になったのか不明だが、脚本家とは思えない文章の拙さが致命的。喋ったものを文章起こししているのかとも思ったが、明らかにそうでない部分もあったし。時系列で書かれているかと思いきや、脚本家の作品ごとにまとめられていたりする部分もあり、話の前後がわかりづらい。

 多くの関係者の名前が挙げられているが、中には説明もなく登場する人物もいるし。本発行時の30年前のこととはいえ、著者が当時のスタッフや脚本の出来をぶった斬っているのはいかがなものか(笑

 それでも、TVシリーズでの鈴木清順氏の関わりや2ndシリーズ最終話監督の宮崎駿氏に対する鈴木氏の態度などは興味深く読ませてもらった。モンキーパンチ氏による原作から多くのTVシリーズ作品が作られていたのも意外。というか、TVスペシャルになっても原作をヒントにしていたこともあるのも意外だった。

 いずれにしろ、子供の頃からずっと観てきているルパン三世の制作の裏側を知ることができ貴重な一冊であることは確か。著者が70歳であるときに発刊されたことを考慮すれば、様々な不出来な部分には目を瞑り、資料としての価値を認めるべき一冊か。

 

 

 

エクソシスト

●438 エクソシスト 1973

 イラク北部で遺跡発掘調査をしていたメリン神父は悪魔の形をした遺物を発見する。

 アメリカ、ジョージタウンにいた映画女優クリスは娘リーガンと暮らしていた。近所に住むカラス神父は、一人暮らしを続ける母親のことを心配していた。

 クリスは娘リーガンの様子がおかしいことに気づく。医者に診せ検査をしてもらうが悪いところは見つからない。様々な検査をしても結果は同じだった。ある夜、リーガンの面倒を見ていたはずのクリスの友人バークが家のそばの階段から落ちて死亡する事件が発生、彼の首は折れていた。キンダーマン警部が捜査に乗り出す。

 クリスは医者の勧めで精神科医にリーガンを診せるが、彼らも原因がわからず悪魔祓いを勧める。クリスはカラス神父に悪魔祓いを依頼する。彼は最初断るが、リーガンの様子を見て悪魔祓いをする決心をする。司教に許可を求め、メリン神父の協力を得て二人でリーガンの悪魔祓いをすることに。途中一人で悪魔祓いをしていたメリン神父は無くなってしまい、それに気づいたカラス神父は一人で悪魔と対峙、自分の体に悪魔を乗り移させ、窓から身を投げて自殺する。

 クリス母娘はジョージタウンから去っていく。

 

 子供の頃に観た以来かも。最後の悪魔との死闘ばかりが記憶に残っていたが、そこに至る過程が丁寧に描かれていたことに驚いた。

 約2時間の映画だが、4分の1ずつ話は展開。最初は登場人物がバラバラに動き、クリス母娘は平和な生活を送る。次でリーガンの様子がおかしくなっていく。後半に入り、カラス神父とクリスが出会い、ラストでメリン神父も含め死闘が始まる。

 

 有名な首が180度廻るシーンやテーマ曲などばかりに目がいくが、冒頭の3者がバラバラに動き出し、それらが後半結びついていくストーリー展開、カット割りや照明も古さは感じない。ホラー映画の草分け的な一本だが、普通に映画として十分面白かった。

 

フォート・ブロックの決斗

●437 フォート・ブロックの決斗 1958

 ラットはバトラーに牧童として雇われる。バトラーから荒馬を乗りこなせばその馬を譲ると言われ、見事に黒馬を乗りこなす。ラットは金を稼ぐためには牛追いもすると話す。ラットは牧童仲間のトムと仲良くなる。ラットは狼の毛皮で儲けたいとトムに相談するが、断られる。

 彼らはフォートブロックの街へ牛を届ける。酒場に行った彼らにイエフが声をかけ、金を賭けての馬の競争を持ちかける。ラットは皆に勧められるが断ろうとする。トムが勧めるので、狼狩りを一緒にしてくれるならばという条件で、愛馬で競争に挑む。相手はイエフが雇う先住民だった。先住民は汚い手を使いラットの邪魔をしゴール後に揉めることに。しかし街の実力者で銀行頭取のコンラッドがラットの勝利を認める。

 勝利したお祝いでラットとトムは酒場で女と出会う。ラットはキャリーと、トムはジェンと楽しむことに。ラットはキャリーを家に送るが何もせずに帰ってしまう。翌日バトラー達は家へ帰ることにするが、ラットはトムと街へ残る。夜、ラットは再びキャリーの家を訪れ一夜を共にする。

 冬になりラットはトムとともに狼狩りへ出かけるが、寒いことに我慢できなくなりトムは帰ってしまう。ラットは一人で狼狩りをするが、山中で先住民に襲われ愛馬を奪われそうになり反抗するが、撃たれてしまう。そこへトムが駆けつけ助けてくれる。ラットが怪我をしたため狼狩りは諦め街へ治療のために帰ることに。

 街へ戻り治療を受けたラットはキャリーの家で世話になる。ラットは怪我のため狼狩りもできず金を稼げないことで焦り始める。街の銀行へ行き、牧場を購入するためコンラッドに融資を求めるが、担保がなければと断られてしまう。キャリーの家に戻ったラットは落ち込む。それを見たキャリーは自分の2000ドルをラットに提供する。ラットはその金を元手にしてコンラッドから融資を受けることに成功する。ラットはトムと共同経営者となり、前の牧童仲間達も呼び寄せる。

 ラット達は干草を準備することで冬を乗り越え、周りの牧場主が苦労する中でも牧場の経営は順調だった。ラットはコンラッドに夕食に招待され街へ出かける。雑貨店でトムがキャリーがラットのためにケーキを焼くための小麦粉を買っているのに出くわす。しかしラットはコンラッドとの夕食を優先する。店を出たところでトムはラットに結婚の付添人を頼む。しかしラットはトムの相手がジェンだと知り、彼女は売春婦だと避難する。それを聞いたトムは怒りラットを殴り、共同経営者は解消だと言って去っていく。

 ラットは夕食の席で牧場経営を褒められ、コンラッドから教育委員会から議員への道を進めと言われる。その頃ケーキを作ってラット待っていたキャリーの元へイエフが現れ、ラットはコンラッドの姪ジョイス達と食事していると話し、キャリーにキスをしようと迫る。キャリーはナイフで抵抗するが、イエフはそのナイフを奪い取りケーキをダメにしてしまう。ラットはジョイスを家に送った後にキャリーの家へ。しかしキャリーに全てを見抜かれており罵倒される。ラットはキャリーの家を去る。

 ラットはジョイスと結婚、子供も生まれ、牧場の経営も順調だった。ラットは議員に立候補する。広場で演説をした夜、ラットの家にイエフら牧場主が訪ねてくる。最近発生している馬泥棒を捕まえに渓谷へ行くので同行して欲しいと頼まれる。暴力沙汰を嫌うラットは断ろうとするが、彼らが票を多く持っていること、犯人だとわかれば保安官に引き渡すと約束したことから、ラットも一緒に行くことに。

 渓谷の小屋にいたのはトムだった。彼は犯行を認める。するとイエフたちはトムをその場で縛り首にしようとする。ラットは反対するが殴り倒されてしまい、その隙にトムは縛り首にされてしまう。

 ラットが家に帰るとジョイスが手紙が扉の下に入れてあったと話す。その手紙はキャリーが助けを求めるものだった。ラットはジョイスにキャリーとの関係を話すが、ジョイスはラットとキャリーの仲を疑い、行くならば自分が家を出ると話す。それでもラットはキャリーに会いに行く。キャリーはイエフに殴られ顔を腫らしていた。それを見たラットはイエフに会いに酒場へ。酒場の前にコンラッドが待っており、キャリーのことは金で解決しろと話すが、ラットは聞く耳を持たず酒場へ入って行く。そして二人は乱闘に。店の外まで出て殴り合うが、イエフが馬の鞍にあったライフルを手にしラットを撃とうとした瞬間、キャリーが銃でイエフを撃ち殺す。

 ラットが家に帰るとジョイスが待っておりラットに謝罪する。ラットはキャリーの裁判で証言すると話しジョイスもそれを受け入れる。

 

 これまたちょっと不思議な西部劇。田舎から出てきた青年が牧童から始めて、議員になるまでのサクセスストーリー。と書くとありがちな成功モノといった感じになってしまうが、この映画は決して単純な展開ではない。

 酒場で知り合った売春婦に惚れられ、彼女から受けた資金で牧場を購入し徐々に成功して行くが、その過程で銀行家と懇意になり、その姪との結婚へと話は展開、彼に惚れ込んでいた売春婦はあっさりと捨てられるが、最後にその彼のピンチを救う。

 有り体に言えば、成功する(議員になる)ため悪事にも目を瞑る、という道が誤りであったことに気づき、正しい道へ進もうとする若者、といった感じか。

 濃い内容は詰まっている割に100分を切る尺であり、テンポよく話は展開して行く。すごい端折りかただと思ったが、監督のリチャード・フライシャーのことを調べてなんとなく納得。「ミクロの決死圏」や「ソイレント・グリーン」といった一風変わった映画の監督だったのね。

 

 

ホームズの事件簿 北原尚彦

●ホームズの事件簿 北原尚彦

 最近BSプレミアムで毎週「シャーロックホームズの冒険」を観ていて、ホームズはやっぱり面白いと感じていたところ、この本を見つけたので早速読んでみた。

 以前「シャーロック・ホームズの蒐集」を読んでいるので、北原さんのホームズ物は安心して読めると思ったが、なんと本作ではホームズはほとんど登場せず、ホームズ物の脇役の皆さんが主人公のお話の短編集。以下の6編からなる。

 

ケンジントン診療所の怪 ジョン・H・ワトスン博士」

〜「最後の事件」後、ワトスン博士の家に何者かが侵入した形跡が見つかるが…

 

「読書好きな泥棒 ハドスン夫人

ハドスン夫人が下宿女将仲間の女性から下宿人の調査を頼まれるが…

 

「グレヴィレア屋敷の秘密 レストレード警部」

〜レストレード警部がグレグスン警部と捜査での競争を始める

 

「バスカヴィル秘話 サー・ヘンリー・バスカヴィル」

〜あの「バスカヴィル」家での事件の裏で起きていた殺人事件

 

「不正規隊長の回想 ウィギンズ少年」

〜BIS隊長のウィギンス少年が新入りの少年にホームズとの出会いを語る

 

「女豹と毒蛇 アイリーン・アドラー」

〜「ボヘミアの醜聞」の前日譚。「犯人は二人」のミルヴァートンも登場

 

 ホームズ物のパスティーシュは数多くあるが、その脇役が主役のものはあまりないのではないか。それだけでも本作は面白いのに、随所に聖典とリンクしている部分があり、ニヤッとさせられる。主役ではないが、マイクロフトまで登場して読者を喜ばせてくれるし、意外な形でホームズ自身も登場している。これは見事。

 続編もあるようで、是非読んでみたい。

 

背表紙は歌う 大崎梢

●背表紙は歌う 大崎梢

 出版社営業部員の井辻くんが探偵役をするシリーズ2作目。

 以下の5編からなる短編集。

 

「ビターな挑戦者」〜初対面の「取次」のデビルにの高圧的態度の謎とは
「新刊ナイト」〜作家さんと書店巡りをするが、店には作家の同級生がいて…
「背表紙は歌う」〜請負営業の女性から新潟の書店の状況調査を依頼され…
「君とぼくの待機会」〜東々賞の受賞者が決まっているとの噂が流れ…
「プローモーション・クイズ」〜新刊本に書かれたなぞなぞを解いた書店員とは?

 

 前作に続き、出版社営業部員の目から見た世界で起きる事件や謎が描かれる。「取次」や「請負営業」など、全く知らない職種のことが知れたり、新刊本が発行される裏側や本の賞の選定の裏側が描かれたり。「成風堂」シリーズとは異なる世界が広がっている。

 前作でも書いたが大崎梢さんの作品は本当に読後感が爽やかで、ほろっとさせられる。「新刊ナイト」のラストまでハラハラさせられながらも、見事な結末にはちょっと涙ぐんでしまったし、続く「背表紙は歌う」も依頼されたこととは一見無関係に見えた状況が、依頼者を含む見事な解決を暗示していて、こちらも感動した。真柴の活躍もカッコ良い。前作ラストでダメっぷりを見せた男と同一人物とは思えない(笑

 さらに大崎梢ファンにはたまらない、またも「あの」女性店員が意外な形で登場、ここまでしておいての、「ようこそ授賞式の夕べに」だったのか!あぁ、読む順番を間違えた。本作を読んだ後に「ようこそ〜」を読んだら、また違った感慨があっただろうに。あー。

 これで井辻くんシリーズも打ち止め、なのか?「成風堂」シリーズ含め、「井辻」シリーズも続編が読みたいなぁ。

 

刑事スタスキー&ハッチ 第1シリーズ #10 俺が愛した女を殺したヤツ

●刑事スタスキー&ハッチ 第1シリーズ #10 俺が愛した女を殺したヤツ

 

あらすじ

 女性の死体が発見されるが、被害者はスタスキーの元恋人ヘレンだった。彼女は警官だったが今はダンサーをしていた。さらに死体にはアンテナ線がぐるぐる巻きに巻いてあるという異常な状態だった。スタハチは異常者を手がかりに捜査を始めるが、ヘレンが潜入捜査をしていた事実が判明する。

 

ストーリー

 ハッチの車が故障、ヒョロ松の店でハッチは修理を依頼するために会員登録していたカークラブに電話するが、会員名簿に名前がないと断られてしまう。ハッチはヒョロ松の知り合いのこませのピートに修理を頼むことに。ハッチは店から出て車で待っていたスタスキーに愚痴る。そこへ本部から死体が発見されたと連絡が入る。

 スタハチは現場へ。そこにいた警官は鑑識も搬送車も呼んでいなかった。スタスキーが連絡をしている間にハッチは警官から、犯人は異常だ、死体をアンテナ線でぐるぐる巻きにしてある、と告げられる。ハッチは死体を確認、それはスタスキーの元恋人ヘレンだった。

 警察へ戻った二人。ヘレンは警察官で着任後スタスキーと付き合っていたが5ヶ月前に別れていた。ドビー主任から彼女は3ヶ月前に警察を辞めてメローイエローのダンサーになっていた。主任はスタスキーが処分を受けるようなことにならないよう、二人を本件から外れてもらうと話すが、スタスキーは冷静に反論し、捜査を続行することに。

 スタハチはメローイエローへ。ヘレンのルームメイトだったシンディから最近のヘレンについて話を聞く。ヘレンは最近店主のルビー・ソレンコと出かけていたと聞き出す。ハッチはシンディに連絡先を渡す。

 二人は最初の捜査としてサンレオーネ犯罪者治療所のポリーに会いに行く。彼は精神障害者だったが、他の障害者について詳しいためだ。スタハチはポリーに死体をアンテナ線で巻くようなヤツに心当たりがないか尋ねる。ポリーは2、3ヶ月間に退院したジム ・マーチ・ライトウッドの名前をあげ、ジムは電波に敏感だったと話す。

 スタハチは車工場で働くジムに会いに行く。ジムは病院を出てから毎日薬も飲んでいるし、アルコールやヤクもやってないと話す。しかしスタスキーはジムの足元にアルミホイルが巻かれているのに気づく。スタスキーがそれについて尋ねると、ジムは宇宙電波から守っていると答える。その時連絡が入り、ヘレンは警察を辞めておらず、極秘任務でダンサーになっていたことが判明する。

 警察に戻ったスタハチはドビー主任からヘレンが宝石専門の強盗団を調べるためにメローイエローヘ潜入捜査のために入っていたと聞く。店が強盗団のアジトだということしかわかっていなかった。ヘレンは殺される2日前に強盗団の尻尾を掴んだが、感づかれそうになったため上司が任務を放棄するように言ったが彼女は戻らなかった。

 スタハチはヒョロ松の店へ行き、今後の捜査について検討する。優秀なヘレンが2ヶ月かかった相手のため、正面から行ってもダメだろうと話すと、ヒョロ松が同業者から攻めてみてはとアドバイスする。「五番街」の名前が出るが、ヒョロ松は五番街は引退したと話す。ハッチは五番街にはウォーリーと言う弟がいたはずだと思い出す。

 スタハチはウォーリーが経営する中古車販売の店へ。二人が客のふりを装っていると、ウォーリーは高級車の試乗を勧めてくる。3人は車に乗り、五番街のことを聞き出そうとするが、ウォーリーがとぼけるため乱暴な運転をして彼を脅し、五番街との連絡を取れることに。

 空いているグラウンドで待ち合わせをして、スタハチは五番街接触する。彼は宝石強盗団がメローイエローのオーナーソレンコ、リトリン、三下のトーイであり、トーイは変態であること、協力するのはソレンコたちは盗人の評判を落とすヤツらだからだと話す。さらに詳しいことを調べてみると話し、五番街は去って行く。

 その頃メローイエローでは店主ソレンコがリトリン、トーイと次の狙いの屋敷での強盗について話をしていた。それを舞台から降りて楽屋にいたシンディが盗み聞きをし、スタハチに連絡しようとするが、それを見つかってしまう。ソレンコはトーイにシンディが二度と馬鹿なことができないようにしてやれと命じる。

 スタハチは病院に担ぎ込まれたシンディに会いに行くが、彼女はヤクで壊されて降り、何を聞いても答えられる状態ではなかった。医者もいつ治るかはわからないと言う。

 病院を出たスタハチに五番街が連絡を欲しがっていると連絡が入る。連絡をすると、ソレンコたちが明日ビバリーヒルズで強盗をするということだったが、狙い先の住所は不明とのこと。ハッチは保険屋で保険に入っている高価な宝石の持ち主を見つけて全て張り込もうと提案する。

 翌日他の警官とともに張り込みをする。屋敷に入り込んでいた女性警官から怪しい花屋の車が屋敷に入ってきたと連絡を受け、スタハチは急行する。ソレンコたちは屋敷に押し入るが、屋敷内にも警官が配備されていた。スタハチはソレンコたちが屋敷から逃げようとするところを捕まえる。スタスキーはソレンコにヘレン殺害容疑もあると話すが、ソレンコはヘレンが刑事であることも知らなかった。

 警察に戻ったスタハチ。スタスキーは駐車場に殺されたヘレンの車が止まっているのを見つける。ハッチが道端に駐車してあったらしいと話すとスタスキーは車に乗り込む。ハッチもその後に乗り込みラジオがどの局を選んでも同じ曲が流れていることに気づく。

 スタハチはドビー主任にヘレン殺しはソレンコの仕業ではなさそうだと話す。主任は驚き、それなら誰が、と話すが、その時電話が入り、新たにダンサーの惨殺死体が見つかったと知らされる。ハッチは現場の警官に被害者の車のカーラジオで全局を聞いて欲しいと頼む。すると今回の被害者の車もどの局を選んでも97MHzの放送局の放送が入るようになっていた。スタスキーは97MHzの放送局の場所を調べてもらい、ハッチはジムを指定手配するよう依頼する。

 スタハチは97MHzの放送局の場所へ忍び込む。そこはアルミホイルが壁中に貼られた異常な部屋だった。その頃ジムは新たなダンサーが仕事を終え店から出てくるのを待ち伏せしていた。ジムはダンサーが車に乗り込もうとしたところを拉致し、自分の車で連れ去る。

 その頃スタハチはサンレオーネ犯罪者治療所で医者からジムの治療時のビデオを見せてもらっていた。ジムは惑星アルファからくる電波のため犯罪を犯さなければならないと話していた。ハッチは医者からジムの居場所のヒントを掴もうとしていたが、ビデオが退院直前に撮影されたものだと知り、なぜ退院させたのかと聞く。すると医者はテストで正常値の点数を取ったためだと答える。それを聞いたスタスキーは激怒、医者は意見は弁護士を通してと話すと、ハッチも医者の姿勢を非難する。

 口論の中で、ハッチはジムがどこから電波を受けていると思っているのかと気づく。すると医者がKLOW局のラジオの電波塔からだと答える。

 スタハチは電波塔へ。そこにはダンサーを連れたジムがいた。スタハチは彼を説得しようとするが、ジムは電波塔へ登り逃げる。スタハチも追うが、ジムは塔から落ちて死んでしまう。

 ハッチの家。ハッチは夕日の美しさをヘレンにたとえて語る。そして料理を作りご馳走するが、それはスタスキーの好物で、ハッチがスタスキーの母親に聞いて作ったものだった。

 

今回の登場人物

犯行現場にいた警官 どこにも連絡していなかったが、それには理由が…

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メローイエローの用心棒 この後スタハチにボコボコにされる

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メローイエローのダンサーで殺されたヘレンのルームメイト、シンディ

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殺されたヘレン(写真のみ)

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サンレオーネ犯罪者治療所の患者ポリー 異常者の情報をくれる

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ポリーから聞いた容疑者ジム

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ジムがズボンの下にアルミホイルを巻いているのをスタさんが発見する

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引退した宝石泥棒「五番街」の弟ウォーリー

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元宝石泥棒「五番街

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メローイエローのオーナー、ソレンコ

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ソレンコの部下、リトリン(右)とトーイ(左)

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ヤク漬けにされたシンディを診る医者

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張り込みをしていた扮装している女性警官

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最後にジムに襲われ拉致されるダンサー(左) その仕事仲間(右)

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サンレオーネ犯罪者治療所の医者

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今回の捜査

ヘレンの勤め先であり、強盗団のアジトであるメローイエロー

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ジムが入院していたサンレオーネ犯罪者治療所

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スタハチは「五番街」の弟ウォーリーを脅すため、乱暴な運転をする

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五番街」と会うために行ったスタジアム?

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密告をするシンディとそれを発見したメローイエローの用心棒

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花屋に扮装して屋敷に乗り込んできた強盗団とそれを逮捕するスタハチ

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ジムが好むラジオ局(ジムの家)を訪れたスタハチ

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拉致されるダンサーとそれを観て悲鳴をあげる仕事仲間

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サンレオーネ犯罪者治療所でジムのビデオを観るスタハチ

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ジムを退院させたサンレオーネ犯罪者治療所の医者に怒るスタハチ

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ダンサーを拉致したジムと電波塔に登るジムを追うスタハチ

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今回のドビー主任

 スタさんの元恋人が殺された事件のため、捜査の上でスタさんの暴走を心配する主任はスタハチを捜査から外そうとする。しかしスタさんは大反論、ドビー主任は二人を捜査から外さないことを決める。

 

反論するスタさんとそれを聞くドビー主任

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今回のハッチの怒り

 冒頭、ハッチの車が故障、ハッチはカークラブに修理依頼の連絡をするが、番号がないと言われ激怒する。電話を終え車に戻ったハッチにスタさんが声を掛ける。

 

ス「何してたの?」

ハ「修理を頼んだんだよ。20分も待たせやがって、俺の番号が名簿にないとさ」

ス「はぁ」

ハ「お前考えたことないか?」

ス「何を」

ハ「来る日も来る日も『はいこちらゼブラ6、コード3号発生、418体制を取れ。6了解、ってな具合になんでも数字だ」

ス「おいおい待ちなよ、俺はこう見えてもゼブラ6はお気に召してるんだぜ。そいつを取り上げられたら不眠症にならぁ」

ハ「おいスタさん、これじゃ俺たちは名無しの権兵衛になって、番号にされちまうぜ。登録番号をコンピュータに打ち込まれて番号で整理されるんだ」

ス「それで仕事がはかどりゃいいじゃないの」

ハ「本気か」

ス「物は考えようさ。カッカしてねぇで流れに身を任すの。便利のいいものは利用するさ」

そこへ本部からの呼び出し音が鳴る

本部「ゼブラ6」

ス「ほら、いい感じ」

ハ「俺が出るよ」

ス「俺が出るよ」

ハッチが受話器を奪い取り「いいから」

ハ「はい、こんちわ、お嬢さん。俺たち人間に何か用かい?」

本部「ゼブラ6、応答願います」

ハ「ゼブラはシマウマだ。シマウマの6番さんに用なら動物園にかけな」

本部「あなた誰?」

ハ「刑事のスタスキーとハッチさんだ。番号は抜きだぜ。スタスキーとハッチに何の御用だい」

本部「187号発生、つまり死体が発見されたの。博物館のそばのリンカーン広場よ」

 

今回のハッチの怒り その2

 終盤、病気が治っていないジムをテストの数値から正常と判断し退院させた医者にスタハチは激怒する。去り際にハッチが医者に向かって放った言葉

 

ハ「ひとつ教えといてやるよ。データってもんはな、判断の基準になるのは、責任感のあるまともな専門家が正しく使った場合の話なんだよ」

 

 

今回のスタハチのコンビ技

 メローイエローを訪れた際に入り口で用心棒に門前払いを喰らう。スタハチが取った行動は…

 

1)まずスタさんが扉を叩きつけ

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2)すかさずハッチが店に入り、用心棒に一発

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3)さらに用心棒を捕まえ、扉に投げつけると、スタさんが扉を閉める

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今回のスタハチのコンビ愛

メローイエローでシンディからヘレンの話を聞き、写真を見せられたスタさんは落ち込む。そんなスタさんにハッチが声をかける。

ハ「責任感じてるんだろ。別れなきゃ良かったって」

ス「ま、そんなとっかな」

ハ「しょうもないこと考えるな。ヘレンはそういう女じゃない。ハッキリ言うけど、お前のような男に女は命がけにならねぇ。どう贔屓目に見ても、お前はバレンチノじゃない」

ス「お袋だって、俺をバレンチノとは言わねぇ」

ハ「そうか」

ス「あぁ。マフィアのドンに近いと」

 

 悲しいシーンだが、ハッチが慰めつつ笑いに変える。コンビ愛を象徴するシーン。

 

今回のスタハチのコンビ愛 その2

 ラスト、ハッチはスタさんの母親からスタさんの好物を聞いてそれを料理しご馳走する。

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 驚きつつも喜ぶスタさんにハッチが一言、「野菜も食べろって」それを聞いて吹き出しそうになるスタさん。

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今回のまとめ

 冒頭、いきなりハッチがツイていない〜カークラブの登録がされておらず、自動車修理を頼めない。スタハチでは、ツイてないのは通常スタさんであることが多いので、おやっと思ったら、スタさんにとってもっと悲惨な事件が発生する。

 スタさんの元恋人ヘレンは写真でしか登場しないが、スタさんが落ち込むシーンは何度も描かれ、その喪失感は大きいことがうかがえる。さらに、シンディがヤク漬けにされたのを見舞った後、スタハチが公園を歩きながら、スタさんがヘレンとのことを語るが、結婚まで考えていたと告白するシーンは珍しい。

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 事件としては、異常者の犯行を疑う→潜入捜査だったことが判明→強盗団を逮捕するが事件とは無関係だったとわかり→さらにダンサーがまた襲われ→やはり異常者の犯行だったとわかる、といった展開。刑事ものとしては面白かった。

 スタさんにとってはツラい事件だったが、それでも犯人ジムを憎まず、ジム本人も完治前に退院させられた被害者だと言い、その判断をした医者に激怒するスタさんの態度はあまりにカッコ良かった。10話目にしてスタハチのコンビも熟成してきている感じがするし、この先も楽しみ。