●103 悪魔の手毬唄 1977
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昭和27年鬼首村。金田一は岡山県警の磯川警部に呼ばれ村へ来る。宿亀の湯の風呂で多々良放庵から手紙の代筆を頼まれる。再縁を望むおはんへの手紙だった。
磯川警部が金田一を呼んだのは、20年前の亀の湯の主人殺しの件の再調査だった。詐欺師恩田が主人源治郎を殺したのだが、磯川は犯人と被害者が逆だと思っていた。
鬼首村はぶどう酒作りの秤屋仁礼家と旧家だったが恩田の詐欺に引っかかった枡屋由良家で勢力が二分されていた。
村に東京でスターになった別所千恵が帰って来ることになった。千恵は恩田と錠前屋の娘春江の間にできた子供だった。
金田一が総社へ向かうために峠を歩いている時、おはんが村に帰って来るのを見かける。金田一は総社で恩田と春江が会っていた伊勢屋で話を聞いた。そこでおはんを見かけたことを話すと、おはんは昨年死んだと聞く。放庵の家に行くと彼は行方不明だった。その夜、千恵を囲んで仲間たちが集まっていた。そこへ来るはずだった由良家の泰子が殺される。死体は滝つぼに置かれ、升から流れる漏斗が設置されていた。泰子は亀の湯の息子歌名雄の恋人だった。亀の湯の娘里子は泰子が老婆と一緒なのを目撃していた。
由良家の老婆が歌を聞いて欲しいと言い出す。歌を聞いた金田一は泰子殺しは歌に乗っ取っていると気づく。金田一は泰子の母親から、仁礼家の文子の父親も恩田だと聞く。警察の調査でおはんの死亡が確認される。
泰子の葬式で千恵が老婆の影をみて騒ぎとなるが、誰も襲われていなかった。その後里子が何かを見て驚く。皆が帰るときになり、仁礼家の文子がいないことに気づく。翌日文子の死体が酒蔵で見つかる。死体のそばには秤が飾ってあった。
文子の実の母(仁礼家当主嘉平の妹)咲枝が呼ばれたため、金田一は話をする。文子の父が恩田であることを確認すると、由良家の泰子の父親も恩田だと聞かされる。
文子の葬式に行くと里子がアザを隠さずに出かける。磯川は金田一から恩田と源治郎の写真照合の話を聞かれる。その後春江と話していた際、恩田の足の指の特徴を聞き出す。金田一は一人で部屋にいて女中と話している際に、有名な「鏡に映ったミカン」を見て一人二役に気づく。医者が持っていた現場写真で、20年前の死体は恩田であることが判明する。金田一は事件の鍵を探しに神戸へ向かう。その夜、文子の葬式の最中に聡子が殺される。金田一は神戸で源治郎の活弁士時代の写真を見つける。
金田一は医者の家に恩田の娘を産んだ3人の女性を集めておくよう磯川に告げる。そして金田一が現れ、謎解きが始まる…
冒頭から様々な謎めいたことが起こるので、初見で全てを理解するのは難しいのではないか。子供の頃に見て以来何度も見ているので、今では理解できるが。
市川崑監督の映像はやはり美しいが、映画全体を通してゾッとするシーンも多い。当時金田一シリーズは、不気味さを売りにしたCMをバンバン流していたからなぁ。
岸恵子は綺麗だし、大滝秀治や三木のり平は良い味を出しているし、加藤武は面白いし、豪華な出演陣だが、やっぱりこの映画は若山富三郎が最高。リカに惚れていながらそれを口に出さない、犯人がわかった時の絶望感、金田一との友情など。ラストの駅での金田一との別れはシリーズ随一の名シーン。