鬼平犯科帳 第3シリーズ #19 密偵たちの宴

 第3シリーズ #19 密偵たちの宴

https://www.fujitv.co.jp/onihei/photo/s3-19.jpg

 珍しく密偵たちの紹介から入る。相模の彦十、大滝の五郎蔵、おまさ、小房の粂八、伊三次、岩五郎(豆岩)。密偵たちが集まり酒盛りをしていた。そこで粂八が最近の急ぎ働きばかりで、三箇条の掟を守るお勤めを見せてやりたい、と話す。話の流れで伊三次が浅草の医者竹村玄洞の名を出し、高利貸しまでやって金蔵を持っている、いくら盗んでも問題ない、と言う。おまさが皆を諌め、その場をおさめるが、酒の席が終わった後、五郎蔵も粂八も伊三次も同じことを考えていた。粂八と伊三次は五鉄で彦十に話をし、五郎蔵を仲間に引き込んで欲しいと話す。五鉄の三次郎も話に乗ってくる。

 翌日三人は竹村玄洞の家を見に行く。そこへ五郎蔵が現れる。五郎蔵も話に乗る。この日から竹村玄洞についての綿密な調査が開始された。五郎蔵、粂八、彦十は五鉄で調べたことを話し合う。屋敷の図面は手に入れるが、用心棒の侍が問題だと判明する。

 おまさは街中で偶然鬼平と出会う。鬼平密偵たちが生き生きとしていると話す。

 五郎蔵の元に豆岩が玄洞の番頭の嫁が死んだという話を持ってくるが、そこへおまさが現れ、皆を叱責し、先ほど鬼平に言われたことを話す。そこへ伊三次が現れ、鬼平から皆の召集がかかった、これは尋常ではないと言う。

 鬼平の話は、鏡の仙十郎が場内に入った、駿府からの知らせで配下の者を捕らえたが、次の仕事は江戸だとのこと、彼らは急ぎ働きしかしない盗賊だとのことだった。鬼平からは改めて、今探索している件は全て打ち捨て、仙十郎を追えという指示が下る。

 しかし半月が経っても何の手かがりも得られなかった。おまさと五郎蔵は茶屋で話をしていたが、おまさは例の番頭が後添えをもらった、三谷の船宿吉野家の女中でおちょう、先妻は頓死したとのこと。茶屋を出た五郎蔵は浅草へ向かう。そこで見たのは、草間の貫蔵という男だった。五郎蔵は7年前彼を紹介されていたが、急ぎ働きが好きな男だった。彼と会っていたのは、玄洞の所の番頭の後添えだった。

 その件を鬼平に報告する。貫蔵は西で仕事をしており、仙十郎も西での仕事が中心だった。鬼平はおちょうという女は仙十郎の引き込みではないかと推測する。先妻の頓死も怪しむ。五郎蔵は先妻の最後を見た店の女に話を聞く。その後の調べで先妻が殴られていたこともわかり、その様子から殴ったのは貫蔵だと思われた。酒井は五郎蔵の手柄を褒めるが、担当ではない浅草になぜいたのか不思議がるが、鬼平はそれには触れず、おちょうの調べを指示する。

 五郎蔵と粂八は玄洞の家を見張ることになる。おちょうと貫蔵が会い、何かを手渡したのを目撃する。貫蔵は仙十郎のところへ行き、鍵型を渡し、近いうちにさらに金が運び込まれることを告げる。盗人宿や船宿を見張っていた密偵たちは男たちが揃って出かけるのを目撃する。

 仙十郎一味は玄洞の家に乗り込むが、そこに待っていたのは盗賊改方だった。一味は皆捕まることとなった。しかし、翌日明け方、何者かが玄洞宅に忍び込み、金を盗んで行った。玄洞は鬼平に早く金を取り戻すように迫るが、鬼平はその仕事の鮮やかさを褒めるばかりだった。怒った玄洞は金を取り戻せなければ、腹を切るよう鬼平に言い、鬼平も了解する。しかしもし3日のうちに戻れば、向こう3年利息なしで金を世間に貸すように約束し、玄洞も了承する。その場にいた酒井が夜鬼平のところに来て、一日何もしなかったことを心配するが、鬼平は笑い飛ばす。翌朝、玄洞の家の前に盗まれた金がそっくり返されていた。

 その夜、五鉄に密偵たちが集まり酒盛りをしていた。豆岩は一つだけわからないことがあると言い、なぜ金蔵の鍵を持っていたのかと不思議がる。皆トボけるが、種明かしは五郎蔵が一味捕り物の時に貫蔵の懐から合鍵を失敬していたのだった。そこへ鬼平が現れる。一緒に酒を飲みながら、今回の玄洞のところへの金が帰って来たことに触れ、その盗賊を歴代の盗人たちの名前をあげながら褒め称え、一度で良いから面が見て見たいと話す。一杯飲んだ鬼平は席を立つが、帰り際五郎蔵に貫蔵から奪った鍵は今夜のうちに玄洞のところへ戻しておけよ、と捨て台詞を残していく。

 

 傑作が多かった第3シリーズの最終話。最終話にふさわしい大傑作だと思う。確かに昔は名の知れた盗人たちが密偵をやっているのだから、こんな話が持ち上がるのに不自然さはないし、むしろ当然かも、と思わせる。が、途中本当の盗人が現れ、話がたち消えになったと思いきや…。しかも被害者?がまた悪いヤツで鬼平に理不尽な要求を掲げてくる。それを平然と受ける鬼平もカッコ良い。

 最後の話が密偵が主役だから、盗賊改方があまり話に出てこないが、そこは冒頭と終盤の捕り物の際に一人ずつをしっかりと見せる立ち廻りを見せてくれるし。

 鬼平に全てバレていたと知った際の密偵の皆の顔が良い。その後の行動も。そしてラストの吉右衛門さんのベロ出しも。

 いやぁ第3シリーズ楽しかった。