鬼平犯科帳 第4シリーズ #04 正月四日の客

 第4シリーズ #04 正月四日の客

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 正月四日、鬼平は忠吾と市中見廻りをしその後、本所の蕎麦屋へ行く。正月四日はさなだ蕎麦しか出さない店だった。店の奥からはおこうの三味線の音が聞こえていた。鬼平は店奥に行き、おこうに顔を見せ、仏壇に線香をあげる。鬼平はおこうと話をし、さなだ蕎麦の由来などを聞く。

 鬼平たちが帰り、おこうが店を閉めようとしていた時に、一人の客が来る。男はさなだ蕎麦を食べに来たのだった。男は本当のさなだ蕎麦と喜び、お代わりを注文する。男は正月四日だけさなだ蕎麦を出す理由を尋ねるが、おこうは答えなかった。男は来年また食べに来ると言い残し去って行く。

 翌年正月二日、茅場町の蝋燭問屋が盗賊に襲われる。犯し殺しのある押し込みで、亀の小五郎一家の仕業だと思われた。佐嶋は人相書きを鬼平にみせ、前砂の甚七という男が引き込みで、3年前の事件にも関わっていたと話す。しかし鬼平は亀の小五郎は犯し殺しをこれまでしたことがないと言う。

 正月四日、おこうはあの客を待っていた。男は約束通り店にやって来る。男は店で働く男が替わっているのに気づき、おこうに尋ねる。おこうは主人は去年秋に病気で亡くなったと答える。彼は仏壇に線香をあげる。おこうの両親も亡くなっていることを聞き、男は自分の境遇も似ていると話す。そして店を出る時に、来年は来られないが、再来年正月四日には必ず来ると話し、去って行く。

 男はその帰りに吉住の紋蔵のところへ行く。彼は紋蔵に、次のお勤めは来年秋常泉寺にしたい、引き込みの手配を、と話す。紋蔵は了解するが、次の仕事はもう少し先だと思っていたが、と言う。男は、二日前の仕事で人手が足りず流れの盗人を入れた結果、酷いことをしてしまったと話す。さらに来年の仕事を終えたら、きっちりと足を洗うつもりだと話す。

 翌年となったが、話の通りおこうの店にあの客は現れなかった。鬼平が店に現れる。おこうはあんこう鍋で鬼平をもてなす。鬼平は甚七の人相書きをおこうに渡す。

 おこうは常泉寺に蕎麦の出前をしに寺へ行くが、その際寺男が人相書きと似ていることに気づく。おこうは五鉄へ行く。彦十が確認しに行くが、間違いなく甚七だった。彦十は鬼平に知らせる。おこうはおまさから、亀の小五郎の特徴を聞く。右手に亀の彫り物があるとのことだった。おこうは正月四日の男が、香典だと言って金を出した際、右手に亀の彫り物があるのを見ていた。おこうは両親が殺された時のことを思い出していた。両親は押し込みの盗賊に殺されていた。

 甚七を張っていた忠吾は、甚七が家で女と揉め事になり町方に捕らえられたのを見ていた。鬼平は甚七が寄った仏具屋を見張るように言うが、仏具屋はすでに行方をくらましていた。

 おこうが鬼平に会いに来る。おこうは、聞きたいことがあっても今から自分が話すことだけを聞いてほしい、と述べ、来年正月四日に亀の小五郎が自分の店にやって来ると話す。それだけ言って去って行く。

 そして翌年正月四日、小五郎が店にやって来る…

 

 時代劇チャンネルでスペシャルドラマにもなった作品。山田五十鈴が「むかしの女」に続くゲスト2回目。スペシャルにもなるし、今作品では山田がゲストだし、やはり重きを置いた作品なのか。それとも本放送が、年明け一発目の放送だったから豪華にしたのか。

 見所は、おこうが同郷である小五郎に仲間意識を持つが、盗人だと知ってどうするのか、自分の両親のこともあるし…という点だと思うが、そこがしっかり描かれていないような気がする。というか1時間番組では無理があるか。あっ、だからスペシャルにして、その辺りを丁寧に描いたのか。それなら納得がいく。

 しかし疑問はまだある。この作品とスペシャルでは、小五郎と相対するのが、女か男かの違いがある。原作はどちらなんだろう?

 さらにラストで小五郎が話す「人には2つの顔がある」と話すのは、その前のおこうに向けたセリフ「私を売りなすったね」と合わせて、あまり潔く感じない。このあたりもスペシャルと異なるようだ。原作はどちらなんだろう。あー読みたくなってきた。