サムライ

●149 サムライ 1967

 ジェフは孤独な殺し屋。家には小鳥が一羽いるだけだった。車を盗みナンバーを変え、新たな拳銃を手に入れる。恋人にアリバイ工作を依頼し、バーでマルテを殺すが、現場から出たところを女性ピアニストに見られてしまう。

 警察が現場を取り調べ、犯人の特徴を持った男たちを深夜のうちに連行し、バーの従業員に首実検をさせる。ジェフが犯人だという者がいたため、ジェフはマークされる。しかしピアニストは彼ではないと証言。またアリバイが調べられ、恋人が警察に呼ばれるが、恋人が別に会っていた男もジェフの姿を見かけていたこともあり、警察はジェフを解放する。

 警察は解放はしたが、まだジェフを疑っており、警察を出た後をつけていた。しかし地下鉄に乗った際に巻かれてしまう。

 ジェフは殺人の報酬を得るため男に会うが、男に撃たれる。ジェフは反撃をし腕の傷で済むが、男は逃してしまう。ジェフは自分の家に戻り、腕の治療をする。

 殺人を依頼した組織は、ジェフが警察で取り調べを受けたことを知り、彼をマークする。警察はジェフを第一容疑者として考えており、恋人の証言を覆そうとする。またジェフのマークも続け、彼の部屋に盗聴器を仕掛ける。

 ジェフはバーに行き、ピアニストの仕事終わりを待ち、声をかけ、車に同乗する。彼は彼女になぜ警察に嘘をついたのか聞くが、彼女はなぜ殺したのかと聞く。ジェフは金のためだと答える。二人は一緒に彼女の家に行く。ジェフは依頼人から命を狙われたことを話し、本当の依頼人を探し出したいと彼女に話す。彼女は2時間後に電話をしてくれと話す。

 ジェフの恋人の家に警察が踏み込んでくる。家宅捜索をしながら、警部は恋人に証言を取り消さないか、と持ちかけてくるが、彼女は断る。

 家に戻ったジェフは小鳥の様子がおかしいことに気づき、部屋の中を調べ、カーテンの影に盗聴器を発見する。彼は部屋からの電話を諦め、店に行き、ピアニストに電話をするが、相手は出なかった。部屋に戻ると、依頼人が潜んでおり、銃で脅しながら、話をした。組織は警察が組織を狙うために、ジェフを警察に連行したと誤解をしていた、金は払うので新たな仕事を頼みたいと話す。ジェフは彼の銃を降ろさせた隙に掴み掛かり、銃を奪う。そして本当の依頼人の名前と住所を聞き出す。そして新しい仕事も引き受けた、と話す。

 警察は盗聴器を発見されたことで、さらに増員をしてジェフをマークすることにする。50名の警察官に発信機を渡し、車も用意して絶対に尾行を巻かれない体制を作り上げた。多くの警察に追われるが、それでもジェフは尾行を巻くことに成功する。

 ジェフはいつも通り、車を盗み、ナンバーを変え、新しい銃を手に入れる。そして恋人の家に行き、カタをつけると話し出て行く。向かったのは本当の依頼人の家。そこはピアニストの家だった。本当の依頼人と会ったジェフは彼を撃ち殺す。そしてバーへ行く。ジェフはピアニストに近づいて行き、銃を取り出す…

 

 とにかくアランドロンがカッコいい。帽子やトレンチコートがこれだけキマるのはさすがドロン。帽子をかぶる際に必ずキチンとかぶる仕草もカッコいい。

 映画冒頭で武士道の文章が表示されるが、まさに孤独な主人公。ほとんど説明的なセリフがないままに話は進む。映像としても全体的に暗く、明るい色がほとんどない。

 ラスト、帽子をクロークに預け、券をその場に置いたまま、店の中に入って行くのは既に死を覚悟しているからか。理由も言わず、自分を助ける証言をしてくれたピアニストが組織から命を狙われているのを守るための所業なのか。そこが武士道なのか。

 

 蛇足。ちょっと前に見た「フレンチ・コネクション」でもそうだったが、警察の地味な操作を丹念に描いているのもとても興味深い。最後の大人数での発信機を使った尾行は本当にこの頃に行われていたものなのかしら。また街並みにオランジーナの広告があったのはちょっとビックリ(笑