地上最大のショー

●155 地上最大のショー 1952

 サーカスの現場監督ブラッドは上層部に呼ばれ、全国公演から限定公演へ数を減らすことを告げられる。彼は空中ブランコのスター、セバスチャンを呼ぶことで全国公演を行おうとする。上層部はセバスチャンの素行不良を心配する。

 セバスチャンがブランコのメインとなるため、ブラッドの恋人ホリーは2番手扱いとなることに落胆する。ブラッドはホリーを愛しているが、サーカスのことは別だった。セバスチャンがサーカスに現れる。彼は名うての女好きで、ホリーのことが気にいる。彼女にブランコのメインを譲ると言い、それを聞いたホリーはブラッドに掛け合うが、セバスチャンの人気が上であることから、それを認めなかった。ホリーは実力で1番になろうと危険な技に挑戦していく。ホリーは次第にセバスチャンに惹かれていく。そんなホリーを仲間のエンジェルは咎める。

 道化師バトンズは団の人気者だった。ある日観覧に来ていた老婦人を見つけ彼女の元に近づき話をする。彼女は彼の母親で、警察が彼を探していることを心配していた。

 サーカスは街を巡っていく。ホリーはさらに危険な技をショウの中で見せる。危険だと判断したブラッドはショウの途中でホリーの芸を止める。怒るホリーをセバスチャンが慰め、自分の恋人になるよう口説く。それを見ていたエンジェルがホリーをブラッドのところへ連れていく。ブラッドはホリーに愛を告げる。

 セバスチャンはブランコの最中にホリーにキスを迫るが、ホリーはそれを拒否する。彼はホリーの手を離し、ネットへと落下させる。ホリーのことを諦められないセバスチャンは、誰もやったことのない危険な技に挑戦すると言い、安全のためのネットも自ら外してしまう。しかしその技は失敗してしまい、彼は地面に落下し大ケガをする。それを見ていたホリーは自分がからかったからだと自分を責める。

 しばらくして、ケガしたセバスチャンがサーカスに戻ってくる。他の団への移籍のため荷物を取りに来たと話すが、ブラッドは彼がケガの後遺症で右手が不自由となったことを見抜く。それを知ったホリーはセバスチャンのそばにいたいと話し、ブラッドの元を去る。

 エンジェルはそんなホリーを責め、自分がブラッドを慰めると言い出す。そんな時、ホリーは偶然新聞で妻殺しの医者の記事を読み、そこに以前自分を慰めてくれた道化師バトンズの言葉があることに気づく。エンジェルは一人で仕事をしているブラッドの身の回りの世話を焼こうとし、ブラッドもそれを受け入れる。エンジェルに惚れていたゾウ使いが、それを見ていた。彼は象のショウの最中にエンジェルを脅す。それに気づいたブラッドはエンジェルを助け、ゾウ使いをクビにする。そんな彼にサーカス周りで出店を開いていた組織が近づく。彼らは詐欺まがいのことをしたため、ブラッドから出店を拒否されていた。

 サーカス団が次の街へ行くための準備をしているところへ警察が訪ねてくる。例の妻殺しの医者の写真をブラッドに見せ、移動に同行し次の場所で指紋を取りたいと話し、ブラッドも了承する。

 ブラッドは道化師バトンズにそのことを話す。バトンズはセバスチャンの右手に感覚が戻って来ていることをブラッドに話す。ブラッドはセバスチャンをけしかけ怒らせる。怒ったセバスチャンがブラッドに手を出そうとした時、わずかだが右手が動く。それに気づいた彼は喜び、ブラッドに感謝する。

 組織とゾウ使いはサーカス団の売り上げを盗むため、団の移動列車を発煙筒で止める。売り上げが積んである車両の中の人間を銃で脅し、まんまと売り上げ金を盗みとり、逃げようとした時、後続の列車が近づいてくる。ゾウ使いは、このままでは後続車両が止まっている車両に追突すること、後続車両にエンジェルが乗っていることに気づき、車を使って後続車両を止めようとするが、車は大破し、2つの列車は激突し、大事故となる。

 多くの人間がケガをし、動物たちも逃げ出す。ブラッドもケガをし体を挟まれてしまう。知らせを聞いたエンジェルは象を使い、ブラッドを助け出すが、彼は重傷を負っていた。それを聞いたホリーは彼の元に駆けつける。すぐに治療が必要だったが、団の医者も気絶していた。ホリーは道化師バトンズのことを思い出し、彼に治療を頼む。逃亡しようとしていたバトンズだったが、ブラッドの治療に当たる。生死をさまようブラッドだったが、次の公演のことばかり話すのだった。RH-AB型の輸血が必要となるがセバスチャンが名乗り出て、輸血を行う。

 なんとか助かったブラッドだったが、次の街での公演を仕切り、宣伝をし、客を呼び集めたのはホリーだった…

 

 タイトルも知らなかったが、ネットでの評価が高かったので見た作品。1952年のサーカスそのものも見ることができ、一種のドキュメンタリー映画かと思って見ていたら、見事に裏切られた。チャールトンヘストンが現代劇の普通の男?を演じているので珍しいと思っていたら、これがほぼデビュー作のようなもの。頑なにサーカスのことだけを考える男を熱演していたが、最後にホリーに投げかけるセリフが笑ってしまう。

 途中途中に当時の技術での合成シーンが出て来て、仕方ないかと思っていたが、本当に合成を使いたかったのは、最後の列車事故のシーンだと最後に気づいた。

 長い映画だが、サーカスシーンも楽しく、男と女の三角関係?の行方も面白く、見入ってしまった。見た後に調べたら、アカデミー作品賞の映画。だよなぁ。