赤ひげ

●156 赤ひげ 1965

 保本が養生所に来るエピソード。保本は本人の意にそぐわぬ形で養生所へ来た。代わりに養生所を出る津川から養生所の窮状ぶり、大変さを聞き、養生所を出る決意をする。部屋を抜け出した保本は敷地内の座敷牢がある建物を見る。そこには男を刺した狂女がおり、その話を聞く。

 保本と狂女のエピソード。狂女が座敷牢を抜け出し、保本の部屋へ来る。話を聞く保本だったが、狂女に刺されそうになる。それを赤ひげが助けるが、保本は怪我を負い、赤ひげに治療される。

 保本と六助のエピソード。怪我が治った保本は赤ひげから呼ばれ、六助という患者の診察をする。六助はすい臓がんで余命いくばくもなかった。その最期を看取るよう言われるが、保本はその姿を見て怯える。また、別の患者の大怪我の手術に立ち会うも気絶してしまう。

 佐八のエピソード。養生所で皆のために働き人望のあった佐八が倒れる。保本は佐八の元へ行き様子を見るが、彼から長屋へ戻りたいという希望を聞く。その六助の娘おくにが赤ひげの元を訪れ、両親のことを話す。赤ひげは子供を抱え困っているおくにと佐八を長屋へ連れて行くように保本に命令する。長屋へ行き佐八を診ていた時に地震が起きる。長屋の裏の崖から骸骨が見つかる。佐八はそれはおなかという女性だと言い、おなかとの事を話し始める。話を終え、佐八は亡くなる。

 赤ひげのエピソード。松平家の殿様の食事へのアドバイス。店の主人との医者問答。

 おとよのエピソード。娼家を訪れた赤ひげはその家で虐げられていた娘おとよを引き取る。それを食い止めようとした男どもを次々と打ち倒す。赤ひげは保本におとよの面倒を見るように、お前の最初の患者だと話す。

 インターミッション 約5分強(画面では休憩)

 保本はおとよを自室に入れ看病を始めるが、おとよは受け入れない。赤ひげに相談すると赤ひげはおとよに薬を飲ませることに成功する。保本は根気強くおとよの看病を続け、やっと信頼を勝ち取る。

 保本が倒れるエピソード。おとよがやっと保本を信頼始めた時、疲れが溜まっていた保本は倒れる。今度はおとよが保本を看病する。時間はかかったが、保本は回復し、それとともにおとよの性格も温和になる。

 保本と元許嫁のエピソード。回復した保本のところへ元許嫁の妹まさえが訪ねて来て、保本の母の具合が悪い事を告げる。保本は母の家に行く。そこでまさえが母によくしてくれている事を知る。まさえからはおとよへの着物を貰う。

 おとよと長次のエピソード。もらった着物を捨てたおとよは養生所の女たちに非難される。そんな折、近所の子供長次が養生所の台所の粥を盗みに入る。おとよはそれを見逃し、また女たちに非難される。しかし後日女の一人が保本を呼びに来る。一緒について行き、子供とおとよが庭で話すのを聞き、子供の事情を知る。おとよは余ったご飯を子供に与える約束をする。

 狂女のエピソード。狂女が自殺を図る。父親がきて女中を非難するが、赤ひげは娘と会おうともしない父親を非難する。

 おとよと長次のエピソードの続き。娼家の女主人がおとよを取り戻しに来るが、おとよは拒否する。女たちもそれに加勢する。ある日おとよが長次におにぎりを渡そうとすると、長次は家族で良いところへ行くからもう会えないと話し去って行く。

 保本とまさえのエピソード。赤ひげは保本に御目見得役となる事、まさえとの結婚の話を勧める。保本の同僚森も狂女の女中お杉との結婚を決意する。

 長次のエピソード。長次の家族が服毒自殺をしたとの知らせが入る。子供二人が死んでしまう。おとよが駆けつけ長次と話をする。長次は本当のことを話す。女たちは長次の命を救う願掛けで井戸に向かって長次の名前を叫ぶ。おとよも加わる。長次は赤ひげの治療のおかげで命が助かる。

 保本の結婚内祝い。保本はまさえと結婚の内祝いをすることに。その場で保本は御目見得役となるつもりはなく、養生所へ残るつもりであることを皆の前で話し、まさえの了承を得る。乾杯の酒を運んできたのは、まさえの姉で元許嫁のちぐさであり、保本はそれを許す。ちぐさ、まさえの父は喜ぶ。

 養生所への帰り道、保本は赤ひげに残ることの許しを乞う。赤ひげの言葉は…

 

 何度もドラマ化されているので、タイトルは知っていたが、映画は初めて見た。というか見るまで、黒澤作品だとは知らなかった、恥ずかしい。

 しかし見始めてあっという間に引き込まれた。3時間の長い映画なので様々なエピソードがあり、飽きることはない。狂女→ケガ→治療してもらう→六助、佐八と続く流れは自然で、最初は反発していた保本が医者の服に着替えることになるのに違和感がなかった。そこにおとよが現れ、赤ひげの凄さの一端が見えたところでインターミッション。日本映画でこれを見たのは初めてかも。後半(といっても1時間強だが)はおとよの話で断然面白い。おとよ役の二木てるみさんの演技もスゴイが、長次役の子役の演技がすごい。

 wikiを見たら、黒澤監督が都合3年半かけて作った作品とのこと。黒澤作品は「天国と地獄」に続いて2作目だが、さすがに巨匠、本当に面白かった。やっぱりドラマではなく、映画だよね、とつくづく思える。