真昼の決闘

●160 真昼の決闘 1952

 ガンマン3人が揃い街へ向かう。その頃街の判事裁判所では保安官ケインと妻エイミーの結婚式が行われていた。ガンマンはベン、ピアス、コルピーの3人だった。街の人々は騒つく。3人は駅へ向かい、12時到着の列車を待つ。

 式を終えたケインは保安官のバッジを返す儀式を行う。彼は保安官を辞めエイミーと仕事をする予定だった。そこへ電報が来る。ヘンリーミラーが恩赦となったとの知らせだった。駅員は仲間の3人がヘンリーが12時の列車で戻って来るのを待っていると告げる。ミラーはケインが逮捕したため、彼に復讐しに来るはず。街の人々はケインに妻と街を出ることを勧め、二人は馬車で街を後にする。

 ケインはしばらく行くが、街に戻る決意をし街に戻り、保安官バッジをつける。エイミーは一緒に逃げることを提案するがケインは受け入れない。それならば自分は12時の列車で街を去ると言い出て行く。

 判事が事務所へ来て荷物をまとめ始める。彼もミラーが戻って来ることを聞いて街から逃げるつもりだった。

 保安官補のハービーがケインの元にやって来る。彼は自分を保安官に任命して欲しいと頼むが、ケインは断る。もともと自分がケインの後釜になるつもりだったハービーは理由を聞くが、ケインは答えない。ハービーは今自分がヘレンと付き合っているからだろうと邪推する。ハービーは後任に自分を推すように口添えすればここに残ると話すが、ケインは断る。ハービーから話を聞いたヘレンはハービーを追い出し、自分の店を売り街を出て行く決意をする。

 ケインの元に事情を聞いたハーブがやってきて助手になると言い、他の仲間を集めると話す。ケインはホテルにいるヘレンの元へ行き、ミラーが戻って来ることを告げ去って行く。ヘレンはミラーの昔の恋人だった。ホテルのロビーにいたエイミーはフロントにヘレンの話を聞く。フロントの男はミラーがいた頃は街が賑わっていたが、ケインがきて変わったからケインは嫌いだと話す。

 ケインは街の酒場やサムの家に行き仲間を募るが誰も賛同してくれなかった。そして教会のミサの場に行き仲間を募る。その場にいた人々から様々な意見が出るが、最後に街のまとめ役が、街の発展のためには騒ぎはいらない、ケインが街を出ていってくれれば良いと話す。ケインは元保安官の家に行き、話をするがそこでも同じ話をされる。

 エイミーはヘレンの部屋を訪ね話をする。ヘレンからはなぜケインを見捨てるのかと言われ、親兄弟が殺され、そのために改宗をしたと話す。

 ケインは馬小屋に行く。そこにハービーが現れ早く街を出て行くように言う。しかしケインは気の迷いだったと話し、街を出るのをやめる。そんな彼にハービーは襲い掛かり二人は殴り合いになる。なんとかケインはハービーを倒す。

 ケインは事務所に戻るとハーブがいたが、彼も仲間が集まらなかったことを聞くと去っていった。ケインは遺書を書く。エイミーとヘレンは馬車に乗り駅に向かう。

 そして街の皆が静かに見守る中、12時となり列車が到着、ミラーと仲間の3人が街へやって来る…

 

 随分と昔に一度観た記憶があるが、あまり印象には残っていない。しかし今回赤狩りの頃のハリウッド作品だということを知って改めて観ると、見方が随分と変わった。前に見た時も今回も、なぜ街の人々が仲間とならないのかイラつくし、それでも最後の決闘となれば誰かが仲間となり助けに入るのだろうと思って見ていたが、それもないし。

 それが赤狩り時のハリウッドをまさに暗示しているのだとわかると、本当にその頃虐げられていた映画人たちの苦悩がわかる。孤立無援。正しさと力が相対すると、人は皆力に負けてしまうのか、と思う。

 映画としては1時間半ほどの短さで、地味な作品。しかし実は劇中の時間もほぼ1時間半ほどの物語であることは目新しいのではないか。また映画冒頭から幾度となく画面に現れる、列車を待つ地平線までの線路も、いつか必ず現れる恐怖を示していてとても効果的だったと思う。

 しかし昼下がりの情事のあとで本作品を見ると、ゲーリークーパーの役柄の差がありすぎて…。