シャレード

●164 シャレード 1963

 列車から一人の男が放り出される。彼は殺されていた…

 レジーナは友人のシルビーとその息子ジャンと共に旅行に来ていた。レジーナはシルビーに夫と離婚するつもりだと話す。そこへピーターと名乗る男性が現れ、レジーナに声をかける。二人は会話をし、レジーナはパリに戻ったら電話をくれるように話す。

 パリに戻ったレジーナが家に入ると中はもぬけの殻だった。状況が掴めずにいるとグランピエール警部がいて警察への同行を求められる。そこで夫が死んだこと、外国船の乗船券を持っていたことを知らされるが、彼女は夫のことを何も知らなかった。警部は夫が持っていた25万ドルのことを聞くが彼女は知らなかった。また夫は複数のパスポートも持っていた。彼女は夫の遺品のカバンとその中身をもらい家に戻る。家に戻るとピーターが訪ねてくる。家に何もない状況を見た彼はホテルへ行こうと誘う。

 ピーターの葬式が行われる。参列者はレジーナとシルビーと警部だけだった。そこへ3人の男が現れる。男たちは夫と関わりがあるようだった。葬式の場で係員が手紙を持って来る。翌日アメリカ大使館へ来るように、バーソロミューという内容だった。

 翌日レジーナは大使館へバーソロミューを訪ねる。彼はレジーナが夫がCIAに追われていたと話し、写真を見せる。そこには夫と葬式に現れた3人の男が写っていた。バーソロミューは3人の男が25万ドルを狙っている、次はあなたが狙われることになる、何かあったら連絡を、と言って電話番号を渡す。

 レジーナはピーターと会い酒場へ行く。そこで客が参加するゲームをするが、その中に葬式に来た男がおり、彼女に金を渡すよう脅す。彼女は店から逃げ、外の電話ボックスでバーソロミューに電話をしようとするが、そこへたの男が入って来てやはり脅される。男が去った後ピーターがやって来て、一緒にホテルへ帰る。ホテルの部屋には3人目の男が待っていた。ピーターに助けを求め追い払ってもらう。ピーターはレジーナを部屋に置いて男を追う。

 ピーターはベランダ伝いに2つ隣の部屋に行く。そこでは3人の男たちがもめていた。ピーターは3人に自分がレジーナから信用されているから任せておけと話す。2人はもう少し待つと話すが、一人ハーマンだけはピーターに任せることを拒否する。ピーターはレジーナの元に戻り金のありかを聞くが、レジーナは知らないと話す。そこへ電話が鳴りレジーナが出るとハーマンからで、そこにいる男はダイルといい金を狙っている、と話す。レジーナはピーターには何も言わず、バーソロミューへ電話をする。そしてアメリカへ行くと話すとバーソロミューは15分後に会おうと言い、レジーナは了解する。

 ピーターはレジーナの部屋の扉に細工をしており、レジーナが出かけるとわかるようにしていた。レジーナがバーソロミューに会いに出かける。ピーターも後を追う。レジーンはピーターを巻いてバーソロミューに会う。彼女がダイルの名を出すと、彼はダイルは死んでいると話す。彼は事件の全貌を話す。1944年に戦争の中で25万ドルを盗んだ5人組がおり、それがレジーナの夫と3人の男、ダイルだったと話す。そしてダイル(ピーター)のことを調べて欲しいとレジーナに依頼する。

 翌日レジーナはピーターの後をつける。そこでピーターがダイルと名乗っているのを目撃する。電話で呼び出し話をする。ダイルが死んだことを告げると、ピーターはダイルは自分の兄で他の4人に殺されたと思っていると話す。なおも話を続けようとするレジーナだったが、ピーターは姿を消す。ピーターはハーマンに捕まっていた。ビルの屋上で格闘となるが、ハーマンはビルから落ちそうになりピーターは助かり、ホテルの部屋に戻る。

 ピーターはレジーナを訪ねる。彼女は電話が途中で終わったことを怒るが、彼が怪我していることに気づき手当てをする。彼女はピーターに惚れるが彼は年下だと相手にしなかった。そこへ3人組から子供を預かっていると電話が入り46号室へ来いと言われる。

 レジーナとピーターが部屋に行くとシルビーの息子ジャンが誘拐されていた。3人は金を出せと脅すが、ピーターは既に金を持っているヤツがこの中にいるのでは、と疑う。そこでお互いの部屋を探すことに。騒ぎがあったが何も見つからなかった。ハーマンの姿が見えないことに気づき、彼が探索している部屋へ行くと風呂の中でハーマンは殺されていた。

 レジーナとピーターは事件について話し合う。部屋に戻って来た二人だったが、ピーターがシャワーを浴びている時に、バーソロミューから電話があり、ダイルに兄弟はいないと知らされる。レジーナはそのことは話さずにピーターと食事に出かける。食事の場でレジーナはダイルに兄弟がいないことを告げる。ピーターは説明すると言い、生い立ちから話し始める。彼は結果的に金を持っている人を探すことにしたと言い、レジーナは泥棒なの?と呆れる。ピーターはアダムと名乗りレジーナをさらに呆れさせる。しかし彼はレジーナに惚れていることを白状し、二人はキスをする。

 深夜3時半に3人組の一人ギデオンが殺される。最後の一人テックスもホテルから姿を消す。そのテックスからピーターに電話が入る。ピーターはテックスがまだ金を探していることから、手がかりはやはりレジーナが持っているはずだと確信し、夫の遺品を調べる。翌日レジーナの職場にピーターが現れ、手帳がなくなっていることに気づき、レジーナに話をする。彼女は手帳に予定が書いてあったことを思い出す。場所は公演だった。二人は公園に行く。ピーターはテックスを、レジーナはシルビーを見つける。テックスは公園の切手市を見て何かに気づき公園を慌てて飛び出す。ピーターは後をつける。二人はホテルのレジーナの部屋に行き、遺品のカバンの中にあった手紙を見つける。しかし切手の部分は既に切り取られていた。公園にいたレジーナも切手の価値に気づくが、既にシルビーの息子ジョンに渡していた。二人はジョンを探す。ジョンは既に切手を他の切手と交換していた。二人は切手の業者の家に行く。彼は切手の価値は25万相当だと話しレジーナに切手を返す。

 レジーナがホテルに戻るとテックスが殺されていた。ダイイングメッセージでダイルと記されていた。驚いたレジーナはバーソロミューに電話をし、殺人の件と切手の件を話す。バーソロミューはすぐに会おうと話す。レジーナは出かけるがピーターに後を追われる。今度はタクシーで巻けず、地下鉄で彼を巻こうとする。逃げている間に大使館へ連絡する。そしてバーソロミューの待つ場所にたどり着く。しかしバーソロミューは偽物で、彼こそが3人を殺した犯人、そしてダイル本人だった。撃ち合いになりレジーナは劇場に逃げ込む。そしてピーターはバーソロミューを倒す。

 レジーナとピーターはタクシーで帰る途中、お金をどうするか話す。彼女は国に返すつもりだと話すが、ピーターは返さなくても良いのではと言う。翌日二人は金を返しに行くが…

 

 このブログでオードリーの作品は5本目(マイ・フェア・レディ パリの恋人 昼下がりの情事 ティファニーで朝食を)だが、これがベストだと思う(ローマの休日はまだなので)。2時間弱の映画だが、あらすじは上記のように長くなる。それだけ込み入った話になっている。しかし決して飽きない。と言うか本線はコメディ。それでいてミステリーの要素も大きい。謎が次々と提示されて行く。最初はなぜ夫が殺されたのか、次はピーターは味方なのか敵なのかそもそも誰なのか、最後はなぜ3人組が次々と殺されるのか。

 そして最後には全ての謎が見事に明かされる。そしてなぜレジーナが(観客が)騙されていたかも知ることになる。脚本が素晴らしい。見事に騙された。

 またしてもオードリーの相手役が相当な年上となってしまったが、wikiによればケーリー・グラント本人も年の差を気にしていたようで、そのため劇中でもオードリーをお嬢さん扱いしているシーンがあり、微笑ましく感じる。

 純粋なミステリーとすれば、ツッコミどころは多々あるが、有名なテーマ曲、25万ドルの行方、そしてピーターの正体、と後の映画やドラマ、小説にも多大な影響を与えたであろうと思われる。もちろんコメディとしてもセンスのあるセリフ廻しが多い。間違いなく傑作、そして名作。