用心棒

●165 用心棒 1961

 宿場町に浪人桑畑三十郎がやってくる。番太から用心棒の誘いを受けるが、飯屋に入る。そこの主人から町の様子を聞く。ヤクザの跡目争いで勢力が二分されており、片方は清兵衛一家、もう片方は丑寅一家だった。清兵衛は名主と、丑寅は造り酒屋と組んでいた。この争いのため町では絹市が開かれない始末だった。

 三十郎は清兵衛一家に用心棒として売り込みに行く。腕を見せると言い、丑寅の3人を斬る。清兵衛は50両で用心棒として雇われるが、清兵衛の女房おりんは争いの後三十郎を殺せば50両が助かると話す。三十郎はその話を立ち聞きする。

 清兵衛一家は丑寅に殴り込みをかけようとするが、三十郎は用心棒を降りると話す。引っ込みのつかなくなった両一家は戦いを始めようとするが、そこへ八州廻りが来ると知らせが入り、争いは中断する。

 争いは中断するが、両家からの用心棒の誘いは続く。しかし三十郎は態度をはっきりとさせなかった。八州廻りの滞在が長引く。三十郎の元へ丑寅がやってきて、八州廻りは役人の殺しがあったので明日旅立つ、60両で用心棒とならないかと誘う。しかし三十郎は断る。

 翌日町は静かだった。両家が手打ちをするとの話だった。手打ちは町に帰ってきた切れ者丑寅の弟卯之助の考えだった。彼は拳銃も持っていた。その夜両家に雇われていた兇状持ちたちが解雇される。酒を飲んでいた彼らの話を聞いた三十郎は、役人殺しを丑寅に依頼された男を捕らえ、清兵衛一家に売る。その足で丑寅に会いに行き、役人殺しの男たちが清兵衛一家に捕まったことを知らせる。丑寅一家は清兵衛の息子を捕らえ人質にする。双方の人質交換となるが、丑寅の卯之助はその場で役人殺しの男たちを射殺し、有利になろうとする。しかし清兵衛一家も造り酒屋の主人の妾おぬいを人質にしていた。

 翌日改めて人質交換が行われる。三十郎はおぬいの亭主と子供と一緒にその現場を見物していた。人質交換は済むが、両家の緊張状態は高まっていく。三十郎は丑寅一家に用心棒になり30両を手に入れる。そこでおぬいの見張りは大丈夫かと話し、その場所へ行く。そこで三十郎はおぬいの見張りたちを斬り、おぬいと亭主、子供に30両を与え逃す。清兵衛一家の仕業だと思った丑寅は名主の家に火をつける。その報復で清兵衛一家は造り酒屋の樽を壊す。両家の争いは激化していった。

 三十郎は飯屋で酒を飲んでいた。主人は三十郎がおぬいたちを逃したことを本人たちから聞いており、お礼の手紙を預かっていた。そこへ卯之助が現れ、おぬいたちを見たという話をし、誰の仕業だったかと話す。そして手紙を見つける。

 丑寅一家に囚われの身となった三十郎。ひどい目にあうがなんとか逃げ出し、飯屋の主人に助けを求める。棺桶に入って逃げようとする。その間に丑寅は清兵衛の家を焼き煙攻めにしていた。丑寅たちは清兵衛やその女房、息子を殺す。なんとか墓場まで棺桶でやってきた三十郎は念仏堂で体を休める。ある日飯屋の主人が丑寅に捕まったと棺桶屋が知らせて来る。三十郎は町へ戻り、丑寅一家と戦うことに。

 

 このブログでの黒澤作品3作目(天国と地獄 赤ひげ)。やっぱり黒澤作品は脚本が面白い。三十郎が争う二つの勢力をうまく手玉に取るのが面白い前半と、捕らえられたのちの最後の三分の一のバランスもさすが。時代劇らしくない音楽も良いし、脇役のキャラも立っている。

 三船敏郎はとにかくカッコいい。東野英治郎も良い味を出している。しかしやはり加東大介かな。いかにも頭の足りなそうな役でメイクも笑わせる。というかこの作品をwikiで見て知ったが、公開時の同時上映が社長道中記とは恐れ入る。加東さん、両方で良い役してるじゃん。これまたスゴイ組み合わせだ。