夕陽の用心棒

●167 夕陽の用心棒 1965

 クリスマスが近づいた日、保安官ベンの元にエンジェル・フェイス通称リンゴが釈放されたとの知らせが入る。正当防衛との判決だった。弟フィルをリンゴに殺されたベンソン兄弟がリンゴを探しているとの話を聞いたベンはリンゴのいそうなサンホセへ行く。そこでリンゴはベンソン兄弟たちを射殺していた。ベンはリンゴを捕まえ牢に入れる。

 アメリカの国境を越えた男が警備隊に見つかった。道を間違えたという男だったが、一瞬の隙をついて警備隊2名を殺す。彼は盗賊の一味のボスサンチョだった。

 街にベンの婚約者ルビーが買い物にやって来ていた。二人はクリスマスを一緒に過ごす計画を立てていた。保安官助手がベンを呼びに来る。事務所に女の客があったためだった。盗賊一味は銀行を襲いダイナマイトで金庫を破壊する。その音を聞いたベンだったが、話に来ていた女ドロレスは一味の仲間だった。一味は逃げて行く。ベンたちは対抗し何人かを撃ち殺し、サンチョにも怪我を負わせる。ベンたちは一味を追う。

 盗賊一味は国境を越えるつもりだったが、サンチョの怪我がひどく、隠れる場所を探す。町外れの農場を見つけそこへ乗り込むことに。ベンたちは農場を包囲する。しかしサンチョは国境を越えさせなければ人質を1日2人ずつ殺すと脅し、一人を射殺する。

 ベンたちは騎兵隊を呼ぶことにするが、到着に2日かかる。ルビーを人質に取られているベンは自分が農場に乗り込むつもりだったが、事務所でドロレスに顔が知られていた。そこで彼らは牢に入っているリンゴに話を持ちかける。最初は断っていたリンゴだが謝礼が盗まれた金の3割と聞いて協力することに。

 リンゴは丸腰で農場へ行き、サンチョの怪我の手当てをする。農場の主人ルビーの父はドロレスを紳士的に扱う。手術後リンゴはサンチョに逃亡の手助けの話をし、盗んだ金の4割を要求し、翌朝までに返事をとサンチョに言う。

 夜になりまた人質が一人殺される。屋敷の中では一味が宴を開く。ルビーの父はドロレスとダンスをする。ルビーに目をつけていた一味の男が彼女を誘うが、リンゴが上手くガードする。

 翌朝ベンたちは一味を2名射殺する。サンチョも人質を二人殺す。リンゴはサンチョに返事を聞く。その際、本当は3割の金で保安官から依頼されていることを告白する。一味の中には騎兵隊が来ることを恐れる者が出て来る。一味は人質を殺し、その死体と一緒に騎兵隊が来たら女を殺すと書いた手紙をベンたちに送って来る。サンチョはこれで安心するが、リンゴは保安官ではなく大佐は女が殺されることは気にしないと話す。サンチョは4割払うことを了承する。リンゴは逃亡計画を話す。国境への道の見張り小屋が手薄になるイブの夜に見張りを倒し、逃げる。追っ手が来ないように崖に爆薬を仕掛けるというものだった。

 リンゴは一味の人間と見張り小屋に行く。そこで一味の人間を撃ち殺す。リンゴは崖に爆薬を仕掛ける。

 屋敷ではクリスマスのディナータイムだった。そこへルビーの父とドロレスが正装して現れ皆を驚かせる。ドロレスが父にもらった宝石をサンチョが奪う。23時の見張り小屋からの連絡を待っていたサンチョたちは、ルビーを気に入っている男をけしかけルビーをものにするように言う。男はルビーを襲うが、リンゴが助けに入る。二人はサンチョの前で銃を使わない決闘を始める。リンゴは男をナイフで殺す。

 23時になり見張り小屋から合図が来る。しかしその合図はサンチョが密かに教えていたものではなく、リンゴが裏切ったことがバレる。リンゴはリンチを受け、絶体絶命の危機となるが、サンチョに偽の計画を話し助かる。

 翌朝偽の計画通り、人質と一緒に馬車に一味は乗るつもりだった。サンチョはドロレスを連れて行くつもりだったが、彼女は残ると言い出し、一味の男に殺される。怒ったサンチョはルビーの父にナイフを投げる。人質だけが乗った馬車がリンゴが仕掛けた爆竹で走り出す。一味は馬車を追うが、崖でベンがリンゴの仕掛けた爆薬を爆破させ、道を塞がれる。一味は農場に戻って来る。リンゴは銃がなかったが、ルビーの父に教えてもらい、一味に応戦する。一人ずつを倒し、サンチョとの一騎打ちになる。クリスマスのベルに映ったサンチョを撃ち殺す。ベンたちが農場についた時にはリンゴは去っていった後だった。銀行から盗まれた金の3割とともに…

 

 ジュリアーノ・ジェンマ出世作、らしい。原題は「リンゴの銃」で、確かに劇中リンゴはなかなか自分の拳銃を持たせてもらえない話になっている。

 話は非常に単純で農場に立てこもった盗賊一味を人質の無事を確保しながらいかに倒すか、という話。その中でジュリアーノが口先で上手く凌いでいく。実際には最初から最後まで保安官側についていたジュリアーノだが、盗賊一味を騙すための話しっぷりや上手くいったと思った後に主人公がピンチを迎える部分が、黒澤監督の「用心棒」を思い出させる感じもする。てか黒澤用心棒の4年後の作品なので、邦題に用心棒人気にあやかってつけただけか(笑

 サンチョとリンゴの会話が何か可笑しく、ルビーの父がドロレスと恋に落ちるのもあって、コメディっぽい作品になっている。確かにイーストウッドマカロニウエスタンとはちょっと違うタッチなんだなぁ。もう少し他の作品も見てみたい。

 

 

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