鬼平犯科帳 第4シリーズ #09 霧の七郎

 第4シリーズ #09 霧の七郎

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 中国地方で仕事をする大盗賊霧の七郎一味は江戸に潜入し、鬼平に討ち取られた兄小川屋梅吉の仇を取ろうと狙っていた。

 鬼平宅では久栄に用人松浦与助が辰蔵の女遊びがひどく、その金は巣鴨の仙右衛門から出ていると報告するが、久栄は既に知っており、鬼平も話を聞いてしまう。

 鬼平は街を同心と歩いていた際、僧侶姿の男に尾行されているのに気づく。同心に彦十に上野広小路で待つように伝言を頼む。上野で鬼平は尾行を巻き彦十が跡をつけ、男の住処の前で飴細工屋を開く。男が不審に思い彦十を連れて行こうとした時、浪人が助けに入る。霧の七郎は浪人の腕をみて配下の者たちに手出ししないようにと諌める。七郎は浪人を酒に誘う。そして殺しの依頼をする。

 鬼平は佐嶋から尾行していた僧が寺から消えたと報告を受ける。

 辰蔵は遊び仲間の弥太郎から女遊びの話を聞いていた。1両が必要と言われ、腹が下っているのに関わらず、巣鴨に小遣いをせびりに行く。途中調子が悪く困っているところを浪人が声を掛け、辰蔵をおぶって巣鴨まで連れていく。辰蔵は自分の名前を知っていた理由を尋ねると浪人は辰蔵の命をもらうため家の周りを調べていたと話す。

 巣鴨に着いた辰蔵は仙右衛門に事情を話し、浪人が殺しの代金として受け取った25両を用立ててもらう。父平蔵の身辺を伺う動きがあるので自分も注意するよう言われていたため、浪人から事情を聞き出すつもりだった。辰蔵は浪人に自分の父が誰か知っているか尋ねる。浪人は辰蔵の父が誰か知らないまま殺しを引き受けていた。辰蔵は25両を払い殺しをやめるように言うが、浪人はもう殺すつもりはない、金は依頼人に返すと話す。辰王は依頼人の名を聞くが浪人は答えない。しびれを切らした弥太郎が女遊びはどうしたと話すと浪人も店についてくる。しかし店では1両では遊べないと言われ追い出されそうになる。店のゴロツキに襲われた弥太郎は辰蔵の父は鬼平だと話す。それを聞いた浪人は、これはまずいと話す。

 辰蔵は家に帰り久栄に父の名を汚すなと叱られる。

 浪人は七郎のところへ行き、殺しの依頼を断る。一味の家から去るが、一味は浪人を殺そうとする。

 盗賊改方も僧侶の手がかりを見つけられないでいた。

 そんな折、辰蔵は浪人上杉が力仕事をしているのを見かける。辰蔵は腹を空かせた上杉に金を貸す替わりに殺しの依頼人が江戸にいるかを聞く。またも上杉は答えないが、望みを聞いてくれたらと話す。

 鬼平は彦十と人相書き調べをしていて霧の七郎一味が江戸にきていることを知る。そこへ辰蔵が現れ、ある人と立会いをして欲しいとお願いする。その相手は浪人上杉だった。彼は強い相手と戦いたいと思っていた。鬼平は上杉の元に現れる。二人は立会いを行い鬼平が勝つ。鬼平は上杉を宅に迎える。そこで辰蔵殺しの依頼人のことを聞く。人相書きを見せても上杉にはピンと来ない。そこで鬼平は霧の七郎について話をし、その仕事の調書を見せる。上杉は依頼人が七郎だと認める。

 盗賊改方は七郎一味を見張る。一味の狙いが徐々にわかってくる。巣鴨の仙右衛門が狙われていた。同心たちはすぐに盗人宿へ押し入ることを意見するが、鬼平は慌てない。数日後他の盗賊一味と合流することがわかり、鬼平は大捕物になると話す。そして一味が巣鴨を襲うが…

 上杉は久栄に手紙を託し江戸を去っていった。捕り物に加わらなかった理由がそこには書いてあった。辰蔵はどうして誰も上杉を認めないのかと鬼平に問いただす。鬼平は人には天命というものがある、己を知ることが大切だ、と諭す。そして弥太郎を呼び、3人で女郎のいる街へ繰り出すのだった…

 

 原田大二郎が浪人役のゲストであり、恒例の?シリーズに1話はある辰蔵話(前回は「第3シリーズ #12 隠居金七百両」)。前回同様、用人松浦も出演、今回は巣鴨の仙右衛門も登場する。で、辰蔵は相変わらず情けない役どころ。浪人上杉はひょうきんなキャラで鬼平にはちょっと珍しい。しかも最後の大捕物にも顔を出さずに江戸を去ってしまう。よくあるゲストキャラらしくないと思っていたら、最後に鬼平と辰蔵の会話があり、この会話こそが浪人上杉が登場した理由とわかる。この会話があるからこそ、辰蔵のダメっぷりが描かれていたのだろう。

 前話で全く登場がなかった久栄が、辰蔵話ということもあり、度々登場する。説教をしたはずの辰蔵が何も応えていなくイラっとして叫ぶ場面はちょっと可愛く、笑えるシーンになっている。