鬼平犯科帳 第4シリーズ #11 掻掘のおけい

 第4シリーズ #11 掻掘(かいぼり)のおけい

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 紙問屋伊勢屋の主人の妻おけいは引き込み役となり、盗賊を迎え入れる。翌日盗賊改方の調べが入るが、主人夫婦や店の者は皆盗賊に縛られていたため、盗賊の手がかりは掴めなかった。そして伊勢屋も看板をおろし、主人夫婦も行方知れずとなり1年が過ぎた。

 忠吾は五郎蔵といそぎ働きの盗賊団について深川周辺を探索していた。忠吾は伊勢屋の女房おけいを見かけ声をかけるが、人違いだと言われる。その夜忠吾は鬼平に、おけいが怪しいと睨んだ五郎蔵があとを追ったがおけいは姿を消していたと報告する。鬼平はおけいが引き込み役だったと睨む。おまさが忠吾に女の特徴を聞くとその女は輦(てぐるま)を買っていたと話す。おまさは掻掘(かいぼり)のおけいという引き込み役の女だと話す。おけいは8つの子供が侍の馬に蹴られ死んでしまいそれ以来盗人稼業をするようになったと。

 おけいは鶴吉と一緒にいた。

 おまさたちはおけいを探し始める。五郎蔵は街で鶴吉を見かけ声をかけるが、鶴吉は逃げる。五郎蔵は鶴吉を追い詰めうどん屋に誘う。二人は5年ぶりの再会で、鶴吉は五郎蔵の下で働いていた。五郎蔵は鶴吉の父蛙の市兵衛のことも知っていた。鶴吉は5年前の仕事で押し込み先の女中を手篭めにし、上方へ逃げ生駒の伝右衛門一味にいたが、1年前に江戸に戻ってきていた。しかし盗人の掟を守って来たが、今は悪い女に引っかかっていると話し、その名前が掻掘のおけいだと聞き五郎蔵は驚く。二人は上方で一緒に仕事をしていたが、江戸で偶然再会しそれ以来男と女の仲になったと話す。鶴吉はおけいから逃げ出したいが逃げられず、助けて欲しいと五郎蔵に言う。なぜ逃げないのかと聞くと、おけいがお勤めを始めるからだと話す。

 五郎蔵はおけいと鶴吉をどうするか悩む。五郎蔵は鶴吉の父の今際の際に鶴吉のことを頼まれていた。おまさもおけいが死んだ子供の代わりに鶴吉を可愛がっているのではと話す。五郎蔵はおけいの新しい仕事のことが知りたくて鶴吉を離してしまったと話す。

 おけいは白粉所玉屋を訪ね、主人の茂兵衛と会いお茶屋へ行く。彦十とおまさがおけいをつけていた。お茶屋から黒灰の宗六が出てくる。彼は和尚の半平の手下だった。おけいは和尚の半平と繋がっているのではと彦十は睨む。玉屋の主人はおけいを気に入り結婚してくれと話す。おけいは実は弟がいて一緒に働きたいと言っていると話す。

 彦十は鬼平に報告する。鬼平は和尚の半平がすでに江戸に来ているとすれば最近のいそぎ働きもヤツの仕業かも知れないと話す。おまさはおけいがいそぎ働きの引き込みをやることが信じられないと言う。

 おけいをつけていた五郎蔵はおけいが和尚の半平と会っているのを目撃する。

 おけいは夜鶴吉に半平からの依頼で300両で引き込み役を引き受けたと話すが、鶴吉は良い顔をしない。鶴吉は盗人の掟を一度破っているので二度目はないと話し、逃げようとする。おけいは和尚の半平も鶴吉のことを知っているので、どんな目にあうかわからないと脅す。

 おけいは鶴吉を連れ、玉屋の後妻となり10日が過ぎた。店先で仕事をしていた鶴吉の元に五郎蔵が現れる。そこへ仕事のつなぎが来て「明日の晩九つ」と言い残し去って行く。鶴吉は店の中から呼ばれてしまう。五郎蔵がどうするか悩んでいるところへ鬼平が現れる。鬼平は五郎蔵に鶴吉も大人だ、もうやれることはしてやったんだと話す。

 そして翌日夜、鶴吉の引き込みで盗賊が押し入るが、盗賊改方が待っていた。捕り物の騒ぎの中、おけいは鶴吉と逃げようとする。しかし盗賊改方が店を囲んでいることを知ると短刀を出し鶴吉に自分を殺してくれと頼む。が、鶴吉は短刀を捨て逃げ出す。忠吾を前に観念したおけいは自害する。おけいは死んだ子供の名前をつぶやきながら果てる。鶴吉は自首をし、捕らえられる。鬼平は五郎蔵に鶴吉を預けると話す。

 

 鬼平の中で何話かある引き込み役の女に焦点を当てた話。子供を無残に亡くしそこから引き込みとなって行く悲しい運命を持っていた。おまさとも知り合いで、おまさは彼女の不幸な人生に涙する。五郎蔵も鶴吉の父から頼まれており、最後に鬼平から預けると言われ涙を流す。うーん、話としてはわかるが、二人が涙するシーンにあまり共感できなかった。1時間ドラマの限界と言われればそれまでだが、どちらか片方に絞りそのエピソードをもっと見せておかないとこちらも共感できないよなぁ。

 ちょっと救いのない話で切ない気持ちになるのを、最後の鬼平のセリフで救ってもらった感じか。でもこの後、鶴吉は出てこないんだよなぁ、きっと。