海外特派員

●171 海外特派員 1940

 ジョーンズは新聞社に勤める型破りな記者。社長の目に止まりヨーロッパに特派員として派遣される。ヴァン・メアというオランダの重鎮でベルギーとの条約調印者からネタを取ってこいとの命令だった。

 ヨーロッパについてすぐに世界平和党主催のヴァン・メアのための昼食会へ招待される。ジョーンズはホテルの前でヴァンと一緒になり、タクシーでサボイホテルの昼食会へ。タクシー内で戦争の危険性などについて聞こうとするが、ヴァンはけむに巻く。会でジョーンズはフィッシャーの娘キャロルと出会う。ヴァンは会を欠席すると連絡して来る。

 社から、アムステルダムでの和平会議でヴァンが重要な演説をするらしいので取材しろと連絡が来る。ジョーンズは会場に向かうが、会場前でヴァンと会う。しかしヴァンはカメラマンに扮した男に射殺される。彼は犯人を追う。偶然通りかかったキャロルに言われ車に乗り込む。運転していたのは同業のスコットだった。

 車を追ったが風車が見える場所で突然と車が消える。ジョーンズは風車の動きがおかしいことに気づき、警察を呼び戻すようにスコットたちに伝える。一人残った彼は風車を調べ、そこにヴァンが捕まっていることを突き止め、ヴァンと話をする。撃たれたのは別人で、ヴァンが暗殺されたと思わせたい連中の仕業だと聞く。ジョーンズは警察を呼びに行き風車に戻るが、そこには浮浪者しかいなかった。

 ホテルに戻ったジョーンズを警察が訪ねて来る。電話に細工をされたことを知った彼は風呂に入ると言って窓から逃げ出し、キャロルの部屋に逃げ込む。ホテル員に連絡しホテルから二人は逃げ出す。

 二人は船でイギリスに向かう。船の中で結婚を誓い合う。

 二人はフィッシャーの家へ。そこにクルーグがいた。彼は風車で見た男だった。ジョーンズはフィッシャーに事情を打ち明けるが、フィッシャーも彼らの仲間だった。フィッシャーはジョーンズの殺害を企み、味方のふりをして仲間を探偵としてジョーンズにつかせる。偽探偵はジョーンズを殺そうとして失敗する。

 殺されそうになりジョーンズはフィッシャーが敵である事に気づく。会社へ戻り同僚に相談するが、キャロルの父であるフィッシャーを訴える事、ヴァンの命も危険なことから記事は書けなかった。そこへスコットが来て、ヴァンが誘拐された事の理由を明かす。それは条約に関する事で、戦争の危険をはらんでいた。スコットはフィッシャーの娘であるキャロルを誘拐し、ヴァンの行方を聞き出そうとする。ジョーンズは断るがそこへキャロルが来てジョーンズを心配する。スコットは彼女に郊外にジョーンズを連れて行けと言いキャロルは話に乗る。ジョーンズとキャロルはケンブリッジへ。ホテルへ入るが、ジョーンズに電話がかかりフロントへ。スコットからフィッシャーが捕まらない、もう少しケンブリッジでの滞在を延ばして欲しいと言われ、ジョーンズはもう一部屋取ることに。それを聞いたキャロルは怒って帰ってしまう。

 フィッシャー宅にスコットが訪れ、キャロルを誘拐したことを告げ、ヴァンの行方を聞く。フィッシャーはスコットにヴァンの居場所のメモを渡そうとするが、その時キャロルが帰って来る。スコットはメモを受け取り外へ出るが、そこには娘の車の音がしたと書いてあった。キャロルはフィッシャーにケンブリッジへ行ったことと、そこでの話をする。

 フィッシャーはクルーグのところへ向かう。タクシーの行き先を聞いたスコットはあとを追う。フィッシャーの家にクグールから電話が入るが、キャロルが取る。クルーグの声を聞いたキャロルは事情を理解する。

 フィッシャーはヴァンの元へ行き条約のことを聞き出そうとするが、ヴァンは口を割らなかった。そこへスコットも現れ邪魔をする。フィッシャーはヴァンを拷問し条約を聞き出す。スコットが暴れホテルまで来ていたジョーンズたちと合流する。フィッシャーたちは逃げるが、ヴァンを確保する。

 イギリスがドイツに宣戦布告する。警察へ行くが、証拠がなくフィッシャーを逮捕できない。ジョーンズ、スコット、フィッシャー、キャロルは飛行機に乗る。フィッシャーはスコット宛ての電報を受け取り、ヴァンが証言したことを知り、キャロルに全てを打ち明ける。4人で話をしているとドイツ軍が飛行機を撃ってきて、飛行機は墜落する。乗客は海に投げ出されるが機体に捕まりなんとか助かる。しかしフィッシャーは海に身を投げる。アメリカ船が通りかかり他の客は助かる。中立国であったアメリカ船からは情報を伝えられなかったが、ジョーンズは電話の受話器を隠しつつ、船長に話すふりをして会社に事件の全貌を伝える。

 彼は戦争の状況を伝える記者としてロンドンからアメリカへのラジオで喋り続ける。

 

 ヒッチコック作品二つ目。「バルカン超特急」を見たばかりなので、古さは気にならない。むしろこんな昔の作品なのに、特撮はあるわ、カーチェイスはあるわ、で感心することの方が多い。場面転換も多いし、誰が敵なのかという謎も多いし、風車のシーンでは見つからないかドキドキするし、展望台では早く降りろよと思うし、話がひと段落したと思ったら飛行機は墜落するし。ずっとハラハラドキドキさせるのは、さすがヒッチコック

 ラストでアメリカを讃える歌が流れてまさに1940年なんだなと思わせるが、終盤ヴァンが話す戦争に向かう狂気を否定するセリフがあるところも上手いと感じる。全然古くないなぁヒッチコック。