鬼平犯科帳 第4シリーズ #13 老盗の夢

 第4シリーズ #13 老盗の夢

https://www.fujitv.co.jp/onihei/photo/s4-13.jpg

 蓑火の喜之助は楽隠居をし京都にいたが、妻の墓参りをし寺にお金を納めたのち江戸へ向け旅立つ。

 粂八は店の客に呼ばれる。呼んだのは喜之助だった。仕事の話をする二人だったが、粂八を探しに岡っ引きが来て、粂八は店の外へ出る。その間に喜之助は帰ってしまう。粂八はあとを追うが、どこにもいなかった。粂八は鬼平に報告をする。鬼平は喜之助の手下の行方を探るように言う。鬼平は皆に蓑火の名のいわれを粂八に話させる。

 喜之助は前砂の捨蔵に盗人仲間4人を集めさせていた。喜之助は自分の仕事の掟を話し気に入らなければ出て行ってくれと話す。狙いは三徳屋、仕事の手はずを説明し始めたところへ、間違えて男が入って来た。男は慌てて出て行ったが、盗人仲間の一人があとを追い、戻って来た。すぐに外から「人殺しだ」との声が聞こえ、喜之助はこの仕事はなしだと話し、店を出て行く。

 喜之助と捨蔵は若い奴らのやり方を嘆く。喜之助は昔だったらと話し、奴らに詫びを入れさせ仕事をやり直すと話す。4人の男は自分の親分黒蜘の龍蔵に話をする。龍蔵は喜之助のやり方が古いと馬鹿にする。

 粂八は黒蜘の手下が喜之助を助けていること、喜之助の住処を鬼平に報告する。

 同心たちは喜之助を尾行するが、喜之助はなかなか動きを見せなかった。酒井は1ヶ月喜之助を尾行したが、おかしなところは一切ないと鬼平に報告する。

 三徳屋には盗人仲間の按摩が入り込んでいた。彼は十四日の祝いの席に誘われていた。喜之助と仲間たちは同心たちの裏をかき姿を消していた。鬼平は粂八を呼ぶ。粂八はまさか蓑火がいそぎ働きをするとは思えないと言うが、鬼平は蓑火の書いた筋書きを黒蜘が書き換えるのかもしれないと話し、その筋書きを調べるように粂八に命じる。

 喜之助は仲間たちを集め、三徳屋の見取り図を見せ、今晩の仕事の手順を説明する。最後にこの仕事は蓑火の喜之助の仕事だと言うことを忘れるなと話すが、一人が笑う。そしてそんなやり方は自分たちには合わないと言い出す。そして乱闘となり喜之助は押さえ込まれ、捕らえられる。店を見張っていた粂八が助けに入る。喜之助は粂八が盗賊改方の狗であることに気づく。喜之助は粂八を脅し出て行く。喜之助は仲間が集まっている水車小屋へ行き、斬られながらも仲間たちを刺し殺す。

 翌朝小屋に鬼平が現れる。喜之助の懐からは遺書と思える書付が出てくる。

 

 盗賊蓑火の最期を描く話。丹波哲郎が圧巻だった。鬼平には何人もの盗賊の親分が出てくるが、最も「それらしい」親分っぷりだった。特に助っ人たちの前で見せた目付きや最後の水車小屋での立ち回りなどは尋常とは思えないほどだった。さすがである。

 久しぶりに粂八を見たが、こちらも良い役回りだった。最後に涙するのも良かった。

 ラストが京都で蓑火が金を預けた女が他の客に同じセリフを言っている、というのもなぜか泣ける。女のために江戸へ行った訳ではないが、火をつけられたのはこの女のせいであることは間違いないだろうに。うーん。

 粂八や酒井が蓑火に心を奪われるのを鬼平が諌める。最後の場面での「たかが盗賊だ」というセリフは重い。鬼平の哲学がそこにある。