隣の女 男どき女どき 向田邦子全集 第三巻

●隣の女 男どき女どき 向田邦子全集 第三巻

 短編集。エピソードの組み合わせが意外である前半とエピソードそのものがあまりにドラマである後半。読み終えた後に何かが心で引っかかる。今回はそれを解説の諸田玲子さんが一言で言い表してくれていた。うしろめたさ。ここまで読んだ向田さんの小説では、登場人物が読者や他の登場人物には隠していた思いを突然表に出すことの怖さ、驚きがポイントだと思っていたが、今回の小説はうしろめたさがキーワードであると。まさにその通りだった。以下覚え書きとして。

 

隣の女 登山とセックス

幸福 腋臭と機械油

胡桃の部屋 桃太郎の歌と不倫

下駄 出前持と腹違いの弟

春が来た 年老いた母と痴漢

鮒 ワン!

ビリケン 果物屋の視線

三角波 結婚相手の部下

嘘つき卵 偽卵