これがオレの麻雀

●これがオレの麻雀 阿佐田哲也

  1980年に行われた第11期麻雀名人戦の予選〜決勝までの阿佐田哲也本人による自戦記。文庫本サイズで約500ページ弱の大作。

 若い頃麻雀が好きで、阿佐田哲也の麻雀関連の本は小説もエッセイもほぼ読み尽くしていたと思っていたが、これは存在すら知らなかった。約40年の前の文章であるので、他で読んだ戦術などが多く新鮮味はあまりなかったが、それでも自戦記であるため内容がリアルである。阿佐田さん本人が書いているように、「Aクラス麻雀」が理論のみだったのに対し、実戦を題材にしたものがどうしても書きたかったようだ。

 ルールが一発裏ドラなしのオーソドックスなもののため、いくのか引くのかの判断、安パイを常に抱えようとする姿勢、捨て牌の切り順などが詳細に解説されている。

 決勝では序盤から阿佐田さんの大リードで進み、そのまま順調に優勝できるか、という流れの中、最終盤でリードしている阿佐田さんを楽させないように他の三人がまさに「東一局五十二本場」のような打ち方をしているのがクライマックスか。

 久しぶりに本物の牌を使った麻雀がしたくなる。そんな一冊。