鬼平犯科帳 第4シリーズ #19 おしゃべり源八

 第4シリーズ #19 おしゃべり源八

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 盗賊改方同心、久保田源八が消息を絶ったのは4ヶ月前。当時源八は粂八とともに盗賊天神谷の喜佐松が相州藤沢に潜んでいると聞き探索に出かけていた。宿で源八は粂八に、自分は心臓の病持ちで早死にをする、しかしどうせ死ぬなら鬼平のために死にたいと話す。源八は粂八に平塚の旅籠でその夜落ち合う約束をし旅立ち、そのまま姿を消してしまった。

 忠吾が源八を目黒で見たと鬼平に報告する。しかし源八は百姓の姿をしていた。酒井は忠吾の見間違いだと言うが、久栄は源八は結婚して1年余りのゆえ調べるよう鬼平に言う。盗賊改方が調べ、七日後に源八が見つかる。

 同心たちが源八のいる農家に行くが、源八の反応はなかった。一緒に暮らす農民に聞くと4ヶ月前、源八は橋のたもとで倒れており、刀も持っていなかったとのこと。源八を連れ役宅に戻るが、状況は一緒だった。源八の妻およしも会いに来るが、状況は同じ、源八は妻のこともわからなかった。

 皆で源八の持ち物を調べる。菅笠に焼印があり店の持ち物だと推測する。鬼平は源八を連れ藤沢へ行くことに。藤沢で菅笠の焼印の名の茶店「とみや」を見つける。すると店の主人が源八に声をかける。主人から話を聞くことに。

 4ヶ月前源八はとみやに来て、古い着物を借り着替えて、粂八への手紙を渡し出て行き、誰かをつけて行ったとのことだった。粂八は手紙を受け取っておらず、主人は手紙を平塚の旅籠の番頭に渡していた。鬼平は粂八に平塚の旅籠の番頭を調べさせる。

 番頭は手紙を受け取った翌日は旅籠をやめていた。番頭梅次郎は駿府の仏具屋今津屋からの紹介で旅籠で働いていたこともわかり、忠吾に調べさせる。

 翌日江戸から沢田が来て、江戸で天神谷一味の仕業と思われる急ぎ働きの盗みが行われていたと報告をする。鬼平は江戸に戻り、先に捕らえていた天神谷一味の源五郎に話を聞く。今回の盗みは天神谷一味の仕業であること、梅次郎の名は知らないが、つなぎ役だったのは、日妻の文造だったことを聞く。

 忠吾が駿府から戻って来る。今津屋は4ヶ月前から消えていた。鬼平は今津屋が天神谷だったと確信する。源八は記憶が戻らないまま、妻との暮らしに戻っていた。夜寝ていた源八は突然うなされ、外へ行こうとする。およしが声をかけると落ち着き布団へ戻った。およしは久栄に別人のようになった源八と暮らすことが嫌だ、離縁も、と訴える。およしの実家から源八に離縁願いの手紙が来る。源八は反応はなく、離縁も構わないと話す。

 天神谷一味は鬼平の睨んだ通り、しばらく動きを見せなかった。しかし藤沢の茶店とみやの主人が、梅次郎を見たと粂八に報告しに来る。清浄光寺の方へ向かったと聞いた粂八はとみやの主人とともに向かう。そこで梅次郎がいる家を見つけ、あとをつける。梅次郎は江戸に向かい、川崎の大崎屋という宿に泊まっていた。鬼平は粂八の報告を受け、酒井と忠吾に大崎屋を見張るよう命じる。

 翌朝鬼平も出張り、大崎屋に討ち入理、天神谷一味を捕まえる。

 鬼平は日妻の文造の取り調べで源八を引きあわせる。文造は自分の後をつけて来た源八を襲い石で頭を殴っていた。しかし話を聞いても源八は記憶を取り戻さなかった。

 その後忠吾が鬼平の元に藤沢での後始末の件を報告しに来る。鬼平は今回の一件で一番の活躍は誰だったと思うかと忠吾に聞く。忠吾はとみやの主人だと答えるが、鬼平は一番は源八、二番は忠吾だと話す。

 その後も源八の記憶は戻らなかったが、4年後源八は無事再婚することに。源八は以前に比べ大変なおしゃべりに。心臓の病のことも忘れてしまっていた…

 

 記憶喪失となる同心の話。時代劇で記憶喪失を扱うのはとても珍しいのではないか。いよいよネタがなくなったか(笑

 しかし以前にも書いたように、ゲストキャラとしての同心は、鬼平シリーズではだいたい悲劇的な最後となることが多い中、この話は記憶を取り戻せないという点はあるが、それが逆に本人の性格を変え、明るい結末となっているのが話のミソなのだろう。

 第4シリーズの最終話にこの話を持って来た理由はよくわからないが、これにて第4シリーズも終わり。パワーが落ちて来たとは思わないが、さすがに原作の話もだいぶ使い尽くして来た感じはある。次からは第5シリーズ、ほぼ1年後の作品となるようだが、どうなるのか、楽しみ。