チェンジリング

●193 チェンジリング 2008

 1928年ロスに住むクリスティンと息子ウォルターは母子家庭、クリスティンは電話交換手として働いていた。土曜日彼女は休みだったが、職場からの電話で休日出勤をすることに。息子に留守番をさせる。仕事が終わり家に帰るとウォルターがいなくなっていた。警察に捜索依頼を出すが、行方はわからなかった。

 5ヶ月後、警察からの連絡で息子が見つかる。対面するクリスティンだったが、息子ではない少年がそこにはいた。その旨を話すが、しばらくぶりに会うからだと警察に言われる。少年を連れて家に帰ったクリスティンだったが、身長を測っていた柱の傷や割礼されていることなど、息子ではないと確信する。そして警察に連絡をするが、警察は彼女の話を聞き入れなかった。

 そんな彼女の元を牧師が訪れ、警察の不正を正す運動をしていると話し、クリスティンに協力を申し出る。

 牧師の言葉から、クリスティンは歯医者や教師などに話を聞き、少年が息子ではないことの証拠を集め始める。そして事実を記者会見で発表する。すると彼女は警察に呼ばれ、強制的に精神病院へ送り込まれることに。

 そこでクリスティンは「コード12」という言葉を知る。それは警察に刃向かったことで精神病院に入れられた患者に対する言葉だった。彼女は院内でコード12の女性と知り合う。

 その頃カナダからの不法移民の少年サンフォードが警察に捕まる。彼はカナダに強制送還されることになるが、その前に自分を捕まえた刑事に会いたいと話す。刑事は彼に会いに行く。すると彼は牧場で犯した少年殺しの罪を白状し始める。その人数は20人、驚いた刑事は行方不明の少年達の写真を見せる。サンフォードは何人かの少年を知っていて、その中にはウォルターの写真もあった。刑事は上司に連絡をするが、上司は警察の落ち度が発覚するのを恐れ、少年を連れて署に戻るように命令する。

 署に戻った刑事はサンフォードと同僚を連れ、牧場に行く。そこでサンフォードに地面を掘らせる。そこから少年達の遺品が出てくる。

 この件は新聞沙汰となる。それを知った牧師は精神病院に入れられていたクリスティンを助け出す。さらに牧師は警察相手の裁判で4度も勝訴した弁護士を紹介、弁護士もクリスティンに全面協力をする。精神病院のコード12の女性達を解放、警察にも起訴状を送りつける。刑事は息子のふりをした少年の取り調べを行う。

 そして裁判と聴問会が行われる。施設の周りには警察へのデモを行う市民が集まっていた。裁判、聴問会の結果、少年殺しのゴードンは死刑、刑事の上司は停職、本部長も更迭となった。

 事件から7年後、クリスティンと同じように息子が行方不明になった親からクリスティンに連絡が入る。息子が見つかったとのこと。警察に駆けつけると、少年が牧場でのことを話し始め、ウォルターが少年を助けてくれたので、牧場から逃げることが出来たということを聞く。

 クリスティンは警察を後にする。刑事から声をかけられたクリスティンはこれで希望を手に入れた、と話す。

 

 後半、裁判で警察がやり込められて行くシーンは胸がスッとする。弁護士のセリフや態度が、前半の不条理な目にあったクリスティンを見ているこちらとしては大変心地良かった。

 しかしこれが90年ほど前のロスでの実話だと思うとやるせない。警察や精神病院のスタッフが腐っているというのではなく、ここでも上司の命令を聞く人間がいるだけのこと。「ヒトラー暗殺、13分の誤算」と同じ恐怖を感じる。

 最後のエンドロールで気づいたが、これは製作がイーストウッドなのね。さすが、ブレていない。自国の恥をしっかりと映画化している。