蜘蛛巣城

●195 蜘蛛巣城 1957

 蜘蛛巣城跡地が映し出され、霧がかかり晴れると、蜘蛛巣城が現れる。

 城に北の館を治めていた藤巻の謀反が起こり、裏で糸を引いているのは隣国の乾と知らされる。鷲津と三木が謀反をおさめる。城主は二人の手柄を褒めるため城へ呼び戻す。二人は城へ帰る途中、蜘蛛手の森で道に迷う。そしてもののけである老婆に出会う。老婆は、二人の未来を予言する。鷲津は北の館の主人に、その後蜘蛛巣城の主人になる、三木は一の砦を主人に、その後息子が蜘蛛巣城の主人になる、というものだった。老婆は予言を告げた後に姿を消す。二人は老婆のいた場所を調べるが、骨となった死体の山があるばかりだった。

 二人は城に戻る。そこで城主から褒美として予言通りの地位を得る。

 鷲津は館で暮らし始める。それに満足する鷲津だったが、老婆の予言の話を聞いた鷲津の妻は城主となるように主人をそそのかす。しかし鷲津はその話には乗らない。すると妻はもし三木が予言の話を城主にすれば城主が鷲津を狙ってくるのでは、と話す。混乱する鷲津、そこへ城主が館にやってくると知らせが入る。

 城主は乾を攻める話を持ってきた。鷲津は先陣として、三木は城の留守役を申し付けられる。鷲津は城主は自分を信頼していると妻に話すが、妻は邪魔者だから一番危険な立場を命じたのだと話す。城主たちは館に泊まる。妻は城主の護衛たちに酒を飲ませ眠らせる。鷲津は覚悟を決め、城主を殺し、配下の者則保の仕業にする。

 知らせを聞いた則保と城主の息子国丸は城へ戻ろうとするが、城を守っていた三木は矢を放ち城へ入れなかった。二人は隣国へ逃げることに。それを見た鷲津は城主の遺体を運んできたことを告げ、城内に入る。そこで鷲津は三木と話をする。三木は大評定で鷲津を城主に押すと話し、その通りとなる。

 城主となった鷲津は自分の息子がいないため、三木の息子義照を養子にもらい、自分の後継とするつもりだった。しかし妻はそれに反対、そして身ごもったことを告げる。

 三木の家では馬が暴れていた。普段はおとなしい馬が暴れたことを不吉に思った義照は父が城へ行くことに反対する。自分が鷲津の養子になることもよく思っていなかった。

 城では養子縁組の宴が開かれていたが、三木たちの到着が遅れていたため、鷲津は機嫌が悪かった。鷲津は三木の亡霊の幻を見て騒ぐ。一旦は妻の取りなしで落ち着くが、また幻を見た鷲津は刀を抜き亡霊に立ち向かって行く。妻は客を返す。そこへ配下の者が三木を討ち取ったと知らせるが、息子の義照は取り逃がしたと話す。鷲津は配下の者を刺し殺す。

 鷲津の妻が死産した知らせが入る。さらに一の砦他を乾の軍勢が取り囲んだと知らせが入る。鷲津は戦闘態勢に入るが、部下からは良い案が出ない。イラついた鷲津は蜘蛛手の森に行きもののけである老婆を探す。老婆から森が動かない限り、お前は戦に負けることはない、との言葉を聞いて城へ帰る。鷲津は城の上から部下たちに向かって手の森の老婆との会話を話し、部下たちを鼓舞させる。

 その夜見張り役が木を切る音を聞く。城に鳥の大群が押し寄せる。明け方女たちの悲鳴が聞こえ、鷲津が行くと妻が手についた血が落ちないといつまでも手を洗っていた。彼女は狂っていた。

 朝鷲津は森が動くのを見て狂い出す。そして部下たちに配置につくように命じるが、大量の矢を撃たれて死んでしまう。

 

 有名なラストの大量な矢のシーン。CGなどない時代に黒澤監督が考え出したど迫力のシーン。ここを見るだけでもこの映画の価値がある。またセットとエキストラへのお金のかかり具合が半端ない。モノクロが良い感じを出しているが、これがカラーだったらどんなだったか見てみたかった気もする。

 ストーリーはマクベスがベースらしいが、教養がないので(笑 マクベスを知らない。上を殺して偉くなった人間が狂ってしまう、ということだろう。山田五十鈴の不気味な妻が印象に残る。森で出会う老婆よりも妻の方が怖いぐらいだ。

 映画としてはセリフがなく、動きや表情だけで見せるシーンが多いのと、セリフが聞き取りづらいのがあって、集中していないと話についていけなくなりそうだが、悪いことを企んだヤツがそのしっぺ返しにあう、ということだけ押さえていれば良いのかな。

 これで黒澤映画は5本目だが、やっぱり面白い。さすが。