ガン・ファイター

●196 ガン・ファイター 1961

 二人の男が登場する。一人は山を馬で駆け、もう一人は男を探している。

 山を駆けていた男オマリーがメキシコのブレッケンリッジの牧場へやってくる。ブレッケンリッジは留守だったが妻ベルが出迎え、オマリーを迎え入れる。彼は娘のメリッサ、牧場頭のミルトンなどにも会う。家の奉公人から今朝街でカーボーイが人探しをしていたと聞く。夜オマリーはベルと話をする。彼女はオマリーの昔の彼女で、彼女を探しにオマリーは牧場まで来たのだった。

  ブレッケンリッジが帰ってくる。彼はテキサスのクレイジーホースまで行き、うし1000頭を売るつもりだった。オマリーはその手伝いをすることを了承する。さらに仕事が成功したら、牛の5分の1をもらうこと、奥さんのベルをもらうことを条件とする。牛の件は渋々認めるが、ブレッケンリッジはベルのことは冗談だと思い笑い飛ばす。

 男を探していたダナ・ストリブリングが牧場にやってくる。彼は保安官でオマリーを逮捕しに来ていた。オマリーは保安官の妹の夫ジミー殺しの犯人だった。保安官はオマリーの口のうまさで、牛売りの責任者として同行することになる。ストリブリングはアメリカの保安官のため、メキシコではオマリーを逮捕できないのだった。

 一家は牛売りの旅に出る。途中ブレッケンリッジがトレス・サントスへ向かう。そこの酒場でブレッケンリッジは南北戦争時の仲間に会い、戦争から逃げ出したことを非難される。彼は足の怪我が原因だったと弁明するが、男たちはそれを許さなかった。そこへオマリーとストリブリングがやって来て、ブレッケンリッジを連れ出そうとするが、男たちがブレッケンリッジを撃って殺してしまう。二人は撃った男を射殺する。

 主人を失ったが、牛売りの旅は続く。オマリーとストリブリングはベルに惚れており、道中彼女に話しかける。ある夜、ストリブリングがオマリーにジミー殺しの件を問いただす。するとオマリーは妹にも責任があったと真実を語り出すが、ジミー殺しの3日後に妹は自殺したとストリブリングは語る。怒ったストリブリングはオマリーと殴り合いになるが、ベルが銃を撃ち争いはおさまる。

 ブレッケンリッジに雇われたというフランクたちが仲間として合流する。彼らはベルを見て女を売り飛ばしたほうが儲かると話す不届きものだった。

 旅が続き、先住民たちを見かける。オマリーは近づいて来た彼らの一人を射殺する。ストリブリングは死体を馬に乗せ、先住民との話し合いに向かう。そして先住民たちと戻って来て、牛の5分の1を彼らに渡す。それはオマリーの成功報酬の分だった。

 一同は嵐に襲われる。ストリブリングの馬が流砂にハマってしまう。オマリーがそれを見つけ、逮捕状を破るなら助けてやると話すが、彼はそれを拒否する。仕方なくオマリーは彼を助ける。この一連を見ていたフランクたちは馬車のベルやメリッサを襲う。ベルは自力で彼らを倒すが馬車が暴走、それをストリブリングが、メリッサはオマリーが助ける。その夜、馬車の中でストリブリングとベルがキスをしているのをオマリーは見てしまう。

 

 彼らはやっと国境沿いの川まで到着する。急ぎたい人間もいたが、その場で野営し明日早朝目的地へ行くことに。今晩は最後の夜ということでパーティをすることに。ベルはオマリーに国境を超えなくても、報酬は払うと話す。国境を越えるとオマリーは逮捕されてしまうためだった。パーティにメリッサが昔ベルが来ていた黄色いドレスを着て出て来て、オマリーと踊る。夜メリッサがオマリーとメキシコに残ると言い出す。オマリーもそれに答える。

 翌日一同は川を渡り国境を越える。川途中でオマリーはストリブリングにまだ逮捕するかと話しかけるが、yesと答える。ベルはストリブリングに逮捕しないよう頼むが彼は断る。ベルはオマリーと話し、メリッサとのことを猛反対する。オマリーは聞く耳を持たない。するとベルはメリッサがオマリーの娘だと告白する。呆然とするオマリー。

 そして翌日、オマリーとストリブリングは決着をつけるため決闘をする。ストリブリングがオマリーを撃ち殺すが、オマリーの銃には弾が入っていなかった。

 

 何気なく見た映画だったが、ちょうど今ビックコミックオリジナルで「赤狩り」 を読んでいて、カークダグラスのことに興味を持ったところだった。しかもこの映画も同じ漫画の主人公トランボの脚本ということでタイムリーだった。

 漫画で描かれた「スパルタカス(未鑑賞)」の翌年に作られた映画ということで興味深く見たが、赤狩りとの関連こそあまり感じられなかったが、脚本のうまさに脱帽した。西部劇でよくあるパターンの一人の女を巡る二人の男の争いであり、結末はどうなるのか、嵐での流砂に巻き込まれたところでオマリーが保安官を助けたので、これでシャンシャンとなる結末なんだろうと思っていたが、最後の最後でのベルの告白には驚いた。今でこそ「自分の身内とは知らずに…」はありがちなパターンだろうが、見ている間は3人の男女の三角関係に気を取られ全く予想していなかった。トランボさんお見事、といった感じ。

 ストーリーとしては西部劇をここ最近よく見て来た自分にとっては、牛の輸送が当時いかに大変だったかは理解しているつもりだったが、子牛が産まれたシーンでその扱いをするストリブリングの行動にはちょっと驚いた。でも一番驚いたのは、この映画のwikiが作成されていないことかな(笑 名作だと思うが。で調べていて知ったけど、カークダグラスさん、先月お亡くなりになっていたのね。ご冥福をお祈りいたします。