鬼平犯科帳 第5シリーズ #02 怨恨

 第5シリーズ #02 怨恨

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 夜、盗賊たちが店を襲おうと扉を叩くが中から返事はない。焦る盗賊たち、そこへ鬼平と盗賊改方が現れる。駒止の喜太郎一味を捕らえるが、磯部の万吉だけが忠吾に傷を負わせ逃亡する。

 それから3年。万吉が江戸に姿を現わす。鬼平は忠吾に万吉を捕らえるよう命じる。忠吾は五鉄で五郎蔵とおまさに酒を飲みながらその話をする。店を出た後、五郎蔵はおまさに万吉のネタを上げたのは自分だが、ネタ元については話せないと告白する。このことで何か揉め事が起きたら頼むと話す。

 万吉は千住で茶屋の主人になっていた。店で杉井という浪人と酒を飲んでいた。万吉は杉井に殺しを頼む。相手は今里の源蔵という盗人だった。弟の敵討ちだと説明する。

 五郎蔵は万吉のネタ元となった桑原の喜十の店で喜十に探りを入れるが、その後の情報は入らなかった。五郎蔵は喜十の態度を不審に感じながら店を去る。店の二階から五郎蔵を見つめる男、その男を向かいの宿から見る男がいた。

 五郎蔵は喜十が信濃屋をやっていること、元五郎蔵の手下だったこと、喜十の妻がそのことを知らないこと、喜十が長い間五郎蔵のネタ元となってくれていたこと、などをおまさに話す。しかし喜十の態度がおかしいため、万吉を匿っているかもしれないと考えた五郎蔵は、おまさに信濃屋を調べて欲しいと頼む。

 その夜おまさは信濃屋に三味線弾きをして店に顔を出していたが、そこへ忠吾が現れ、喜十に万吉の人相書きを見せ尋ねるが、喜十は知らないと答える。忠吾が去った後二階から見知らぬ老人が降りてくるのをおまさは見かける。

 忠吾は万吉の目撃情報から千住あたりに万吉がいると酒井に報告をする。その際元々の情報元が五郎蔵だと聞き、それが初耳だった忠吾はヘソを曲げる。

 信濃屋の二階にいる老人が医者へ薬をもらいに出かける。喜十の娘も一緒について行く。それを向かいの宿から見張る男が見かけ二人について行く。しかし医者の家から出てきたのは、喜十の娘だけだった。老人は尾行に気付いていた。男が宿へ戻ると、杉井と万吉が部屋で待っていた。信濃屋の二階の老人こそが源蔵だった。三人の会話を源蔵は盗み聞きしていた。杉井は万吉に源蔵が弟の仇だというのは嘘だろうと聞く。万吉が黙っていると杉井は笑う。

 おまさが五郎蔵の家を訪ね、信濃屋で見かけた老人(源蔵)の話をする。おまさは彼を盗人だと考えていた。そこへ五鉄のおときが来る。忠吾が怒っているということを伝えにきた。五郎蔵とおまさは忠吾の待つ五鉄へ行く。忠吾は万吉の件のネタ元が五郎蔵だという件で怒っていた。忠吾はネタ元が誰かを五郎蔵に聞くが、五郎蔵は答えられない、お頭にでも話せないことは話さない、と答える。おまさにも同じように答えられ、忠吾は黙る。

 夜、喜十が源蔵のいる二階へ上がると源蔵は旅の支度をしていた。源蔵はこれ以上いると迷惑がかかると言い、万吉の名を知っているかと喜十に尋ね、向かいの宿に万吉がいて自分の命を狙っていると話す。喜十は二人の関わりを聞く。5年ほど前のお勤めでの金を独り占めにしたのが万吉とその手下で、自分が病み上がりでなければ自ら手を下すが、と話す。そして信濃屋を出て行く。

 その頃向かいの宿では杉井と万吉が酒を飲んでいた。酔った杉井はこれから源蔵を斬りに行くと言い前金25両を出させるが、そのまま酔いつぶれて寝てしまう。

 夜更けに五郎蔵の家に喜十がやって来る。五郎蔵は役宅へ行き忠吾に万吉のことを話しに行く。忠吾は鬼平に報告、鬼平は忠吾を褒めるが忠吾は自分は寝ていただけだと話す。鬼平は万吉を捕らえに出張る。

 翌日役宅鬼平の元へ五郎蔵とおまさがいる。二人は今回のことについて忠吾が二人にネタ元についての報告を上げるようにと命じられたことを話す。五郎蔵はネタ元を全て明かさないことの意味を話し、鬼平は了解する。

 忠吾が同僚たちの前で密偵たちへの不満を話している。そこへ鬼平がきて忠吾を呼ぶ。鬼平は忠吾に塩羊羹を渡し、「世の中聞いて良いことと悪いことがある」と話す。しかし忠吾はその意味がわからない。ナレーション「この男、実はまだ何もわかっていない…」

 

 テーマは密偵の使う情報屋(ドラマの中では「漏らし屋」と表現されている)についてだろう。刑事ドラマなどでは定番の情報屋、その存在意義。その意味をわかっていない同心(刑事)がそのあたりを引っ掻き回しことでゴタゴタが起きる、という話。

 見所としては、盗賊同士の今生の別れや密偵たちの悩みを丁寧に描くシーンなどがあり、第5シリーズ第2話としては十分面白い。第1話で五郎蔵の長屋住まいのシーンがあったが、今回も同様のシーンがあり、あれはコスプレではなかったのか。また忠吾の成長が見られると思わせておいて、最後のオチ、しかもナレーション、も冴えている。

 第4シリーズが途中で息切れしたように感じたが、1年を開けて作られただけあり第1話第2話と面白い話が続いた。このまま行ってくれれば良いが…