仁義

●202 仁義 1970

 映画タイトル現代は「赤い輪〜人の巡り会い、結びつき」を意味し、映画冒頭でそれが釈迦の言葉からきていることがテロップで表示される。

 ボジェルが寝台列車でマテイ刑事とともに護送される。

 一方、刑務所にいるコーレイが刑務所長から相談を持ちかけられる。もうすぐ出所であること、所長の義兄が働く宝飾店が最近警備体制を変えたこと…。翌日コーレイは出所する。

 ボジェルは隠し持っていたピンで手錠を外し列車から脱走する。マテイ刑事はすぐに本部へ連絡し、権門体制を引く。

 コーレイはリコの家に行く。リコはコーレイに取り調べや裁判で自分の名前を出さなかったことに感謝するが、コーレイは金と拳銃だけもらい出て行く。ピコはすぐ組織に連絡をする。コーレイがビリヤード場にいるとリコから連絡を受けた組織の人間二人がやってきて、金を返すように要求する。コーレイは二人を殴り倒しその場を後にする。コーレイは車を購入しドライブをする。

 マテイ刑事はボジェルが逃げた周辺に警察の人間を多数投入し大捜索を開始する。ボジェルは服を脱ぎ川を渡ることで警察犬の追跡を逃れる。

 コーレイはレストランで食事をする。そこへボルジェが現れ駐車場に止まっていたコーレイの車のトランクに忍び込む。コーレイの車が検問に引っかかるが、トランクの鍵を受け取るのを忘れたとごまかし、検問をすり抜ける。そして誰もいない広大な空き地で車を止める。タバコを吸っているとトランクから出てきたボルジェが銃でコーレイを脅す。しかしトランクに入っていたことを知っていて彼を助けたコーレイは慌てずタバコをボルジェに渡す。二人の信頼が築かれる。コーレイはこのままパリに行けば安全だと話し、ボルジェをトランクに入れパリに向かう。

 パリに向かう途中、コーレイの車を一台の車が追ってきて車を止められる。例の二人組だった。脇道に入るよう指示され銃で狙われるが、トランクにいたボルジェが出てきて二人組を撃ち殺す。二人はその場から逃げる。

 マテイ刑事は情報屋を廻り、ボルジェの情報を集めようとする。マテイはボルジェの知り合いであるサンティの店に行き、情報を引き出そうとする。サンティはシラを切るがマテイはまた来ると言い残し去る。

 コーレイとボルジェは刑務所長に持ちかけられた犯罪の計画について話す。計画には狙撃手が必要で、コーレイはボルジェにその役割を頼むが、断られる。しかしボルジェは代わりの人間を紹介し、電話連絡を取るように勧める。

 ボルジェが勧めたジャンセンはアルコール中毒で幻覚に苛まれていた。コーレイからの電話で二人は落ち合うことに。その場所はサンティの店だった。

 その頃警察はボルジェが殺した二人組の死体も発見していた。

 コーレイとジャンセンがサンティの店で落ち合う。その時警察がきてサンティは警察に連れて行かれる。買春容疑で逮捕される。警察に逮捕されたところを見せれば、情報屋とは思われないだろうとマテイ刑事が仕組んだことだった。サンティはそのやり方に反発、ネタは密告しないと話す。

 コーレイたちは狙いの店、モーブッサン宝飾店へ下見に行く。実際に店に入るのはジャンセン。彼は客のふりをして店の内部を見る。そしてコーレイの情報通り、監視カメラや宝石ケースのセンサーなどを確認する。

 盗みの準備に入る。ジャンセンは射撃の訓練をし、コーレイは古物商に会い、盗んだ宝石の売買について相談、ジャンセンは仕事に使う特殊な銃弾も作成する。

 その頃、刑務所長がリコと会っていた。リコはコーレイが出所したことをなぜ知らせなかったかと問い詰める。所長は二人の関係を知らなかったと言い、知っていたらあんなことは話さなかった、と呟いてしまう。そして宝飾店強盗のことも話してしまう。

 そしていよいよ盗みを実行する。屋根伝いで建物に入り、トイレの窓から侵入、警備員を捕らえ、センサを潜り、ジャンセンの銃弾でセンサ電源を無効にすることに成功、まんまと宝石を奪い去る。

 しかしコーレイがあてにしていた古物商からはことが大きすぎてブツは売れない、と売買を断られてしまう。また警察には宝石泥棒の名前を教える、という匿名の手紙が届いていた。いずれもリコの仕業だった。

 宝石を売ることができなくなった3人は、サンティを頼ることに。彼に売買をしてくれる別の古物商を紹介してもらうために電話をするが、サンティの側には警察が待っていた。

 その頃警察は高校生を麻薬容疑で逮捕する。それはサンティの息子だった。マテイはサンティに恩を売るために息子を逮捕したのだった。しかし息子は取り調べの中で自供をし薬を飲んで病院へ行くことになってしまう。

 ジャンセンは分け前はいらないとコーレイに話す。彼は中毒から脱したことで満足していた。コーレイは新たな古物商とサンティの店で会い、取引の話をする。翌日コーレイはボジェルと古物商の家へ。取引の話をし始めた時に、ボジェルが窓を打ち破って入ってきて逃げろと話す。二人は逃げるが、警察が待ち構えていて、二人を助けるために来ていたジャンセンも含め3人は撃たれてしまう。

 

 2時間20分の長尺の映画だったが、苦にならずに見ることができた。で次はどうなる、というシーンの連続で見ていて飽きなかった。

 ストーリーはあまり説明がなく、というか肝心なセリフがあまりなく静かに進んで行く。ハードボイルド的でもありくどくど説明がないのが逆に良かったりする。

 映画そのものはドロン含め、登場人物が皆カッコ良い。カメラも凝っているし、ジャンセンの銃弾の準備やコーレイたちが盗みに入る際のテクニックは、まさにルパン三世で散々見て来た世界(笑 「五人の軍隊」でも思ったが、この頃の映画の盗みのシーンなどをルパン三世はすげぇパクってるんだなぁ。

 しかしラストの銃撃戦のシーンが暗すぎて何が起きたのかはっきり見えなかったのは残念。映画を見終わった後にネットで調べてやっとコートを着て撃たれたのがジャンセンとわかったぐらい。映画を見ている時には「君は昔から変わらないな」の意味がわからなかった(というか誰が撃たれたのかもわからなかったし)最後が悲劇で終わるのは、この頃のフランス映画の定番なのかなぁ。「冒険者たち」も「サムライ」もそうだったし、昔からのイメージだなぁ。あぁこれがフィルム・ノワールというやつなのか。