●204 バッファロー大隊 1960
合衆国陸軍南西地区本部へカントレル中尉がやって来る。軍法会議出席のためだった。議長はフォスゲート大佐。部屋には見物客が大勢いた。検察官はシャタック大尉。1881年8月8日被告人は第9騎兵隊先任曹長のブラクストン・ラトレッジ。
裁判が始まる。
検察の第一証人はメアリー・ビーチャー。東部からアリゾナ12年ぶりに帰る列車で、カントレルと知り合う。スピンドル駅に着き、メアリーは降りるが、父が迎えに来ていない。しかし列車は出てしまう。メアリーは駅舎内で駅長が死んでいるのを見つける。駅舎を出たところで、ラトレッジと会う。
ラトレッジは3人の先住民アパッチに襲われ馬を奪われた、1人を殺したが、2人は付近にいる、と話す。アパッチ2人組が襲って来るが、二人で応戦し倒す。ラトレッジは駅長の死体を外に出し、死体の後を消す。ラトレッジは駅舎周辺を調べ、駅長殺しは別のアパッチ、40頭の馬の足跡があった、サンロザリオ居留区で大脱走があった、と話す。メアリーはそこは父の牧場が近いと話す。
二人はアパッチの襲撃を恐れ、駅舎で一晩過ごすことに。ラトレッジは腹に怪我をしていた。
検察の第二証人はフォスゲート夫人、軍法会議議長の妻。検察はルーシー・ダブニーの写真を見せる。夫人は当日リントン砦で指揮官ダブニー少佐と娘のルーシーに会っていた。ルーシーを最後に見他のは、雑貨屋。ルーシーが男性のように馬に跨って来る。ルーシーはラトレッジと会話していた。夫人は彼には近づくなと忠告するが、聞き入れられなかった。二人は一緒に帰って行った。
ラトレッジを最後に見たのは、ワラワラ砦に住む娘のバーバラに手紙を書いていたとき、銃声を2発聞いた。窓から彼を見た。彼は撃たれていて馬で暗闇へ消えた。時刻は8時ちょうど。
検察の第三証人はリントン砦のエックナー医師。事件のあったダブニー少佐の宿舎にカントレル中尉とともに行き現場を調べた。ダブニー少佐は心臓を軍の銃で撃たれていた。銃からは2発発射されていた。ルーシーは首を締められて暴行されていた。犯人は少佐を撃って逃げた。カントレルはルーシーの遺体に布がかけてあったのを見て、なぜ遺体に布をかけて逃げたのかと疑問に思う。ルーシーの喉に変な傷があり、それは十字架の首飾りを引きちぎられた跡だと思われた。
カントレルは当直のラトレッジを呼ぼうとするが、いなかった。証言ではラトレッジは少佐を探していた。そのとき集合ラッパが鳴る。アパッチが牧場3ヶ所を襲撃していた。
検察の第四証人は弁護人でもあるカントレル中尉。ラッパの後の行動を尋ねられる。彼はラッパの後、現場から本部へ行き報告、その後スピンドル駅へ行き、ラトレッジを捕まえ、メアリーと話した。ラトレッジに尋問も行ったが、少佐殺しについては黙秘された。なぜ逃げたと聞くとラトレッジは唯一の手段だった、なぜなら白人が殺されていたのだから、と答える。
カントレルはラトレッジと6年一緒に戦って来た。お前を信じると話すが、ラトレッジは軍法会議が信じないと答える。
その後隊は北へ向かう。アパッチが死体を焼いた場所へたどり着く。焼けた服から殺されたのは雑貨屋の息子だと思われた。
検察の第五証人はスキッドモア軍曹。北へ向かった隊のその後について尋ねられる。しばらくしてアパッチの襲撃があり、モファット伍長がやられ、馬が暴走する。ラトレッジが暴走した馬を食い止めに行くが、伍長は死んでしまう。その後ラトレッジは銃を持ちアパッチを追った。
検察の第六証人は被告ラトレッジ本人。アパッチを追った後について尋ねられる。アパッチを追ったところ、スパニッシュウエルズ牧場を襲うのを目撃、メアリーの父であるビーチャー氏が殺害されるところを見た。このまま逃げれば自由になると思ったが、隊をアパッチが狙っているのを目撃、隊に合流し、アパッチを迎え撃つ。
弁護側尋問の前に休憩が入る。そして再開。
弁護側の第一証人はメアリー。野営した夜、カントレルからラトレッジが父の死に際を見たと聞いた。翌日カントレルは昨日襲って来たアパッチの死体から十字架のペンダント、イニシャルの入った上着を見つけ、メアリーに証人になってほしいと頼む。
カントレルは十字架と上着を証拠として提出。雑貨屋の息子がルーシーを襲い、その後アパッチ襲来の知らせに行ったラトレッジがルーシーが殺されているのを見て、布をかけた、そこへ少佐が来てラトレッジを撃ったため正当防衛として少佐を撃ち殺した、という推理を話す。
検察は似た十字架を多数見せて、ルーシーのものかどうかは見分けられない、と反論する。そして無実ならば、ラトレッジはなぜ逃げたのか、白人青年に罪をなすりつけて良いのか、と話す。しかし弁護人であるカントレルはその話をあまり聞いていなかった。メモに、上着が雑貨屋の息子には大きすぎる、と書いていた。
すると傍聴席にいた雑貨の主人が十字架を見分けられると話し始める。少佐に売った際に傷があったためだと話す。議長は十字架に傷があることを確認する。検察は彼は証人でもない、と言い出したため、議長は主人を証言台に座らせる。カントレルは、砦で聞いた時には十字架は見分けられないと言ったのはなぜか、と問いただす。主人は気が動転していたと答えるが、カントレルは上着はあなたのものではないのか、自分に罪が及びそうになって十字架の傷のことを持ち出したのではないか、と問い詰める。すると主人はルーシー殺しを白状し始める。
裁判劇の西部劇とも言えるし、黒人差別を扱った裁判劇とも言える。むしろ後者か。黒人差別を取り扱った裁判劇といえば「アラバマ物語」が思い浮かぶが、こちらはその2年前に作られている。
裁判劇だが、ところどころに笑いが入るシーンがあり、重い雰囲気にはなっていない。証言者の証言も、映像として回想するため非常にわかりやすい。しかし被告であるラトレッジの黒人差別に対する思いがこもったセリフは大変重い。前にも書いた漫画「赤狩り」でも記されている通り、この頃は公民権運動が盛んになり始めた頃だったんだろうと思う。この役者さんも黒人俳優の父と呼ばれる人だそうだ。一度見たら忘れられない顔をしている。
映画としてもラスト5分での大どんでん返しがあり、とても面白かった。本格推理小説だったらタブーとされている手法だが、60年も前の映画だから、良いと思う。しかし先日見た「テキサスの五人の仲間」といい、この映画といい、タイトルも知らなかった映画なのになんて面白い映画なんだろう。60年も前にこんな面白い映画が作られていたなんて。
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