モダン・タイムス

●207 モダン・タイムズ 1936

 駅から工場へ流れ行く労働者たち。製鉄工場で働くチャップリン。ベルトコンベアの仕事をしている。社長の元に自動食事マシンの売り込みが来て、現場でチャップリンがそのマシンを試すよう指示されるが、まるで使い物にならない。やがて社長がモニタを見ながらコンベアの速度をあげるよう指示する。速度について行くチャップリンだったが、精神がイカれてしまい病院送りに。

 病院を退院したチャップリンはトラックが落としていった旗を拾い振っていると、それが元でデモのリーダーと間違われ、警察に逮捕される。刑務所に入れられるが、他の囚人が隠した麻薬を飲んでしまう。その時脱獄犯が看守を拉致するが、麻薬を飲んでハイテンションになっていたチャップリンは脱獄犯たちを捕まえる。その功績が認められ、晴れて出所する。

 刑務所所長の職あっせんの手紙を持って、造船所に行き雇用されるが、ヘマをやってしまいクビに。街を歩いていたチャップリンはパンを盗んだ少女をかばう。しかし少女は逮捕される。チャップリンも無銭飲食をし、少女と一緒の護送車に乗ることに。少女が警官を襲い、二人は護送車から逃げ出すことに。

 二人は道端で休む。その時新婚夫婦を見て二人で家を持つことを夢想する。偶然デパートの夜警が怪我をしたことを知り、刑務所長の手紙を使いデパートの夜警に就職することに。チャップリンは少女を呼び、二人で夜のデパートを楽しむ。デパートに強盗が入るが、それは製鉄所でチャップリンと働いていた仲間だった。皆で酒を飲み、チャップリンは売り場で寝てしまい、またも逮捕されることに。

 警察から釈放されたチャップリンを少女が待っていた。彼女はあばら家を見つけていて二人でそこに暮らし始める。ささやかな朝食を取る二人だったが、新聞で製粉所工場が再開されることを知り、チャップリンはそこで働くことに。仕事でヘマをしていたが、突然ストライキが始まる。工場を出るチャップリンだったが、工場入口でまたも警察に捕まってしまう。

 チャップリンが捕まっている間に少女はカフェで踊り子として働き始める。チャップリンが出所すると彼女はカフェでチャップリンが働けるように支配人に頼み込む。なんとか歌を歌えることを条件に仮採用される。そしてティティナを歌い、大喝采を浴びる。そして本採用が決まる。喜ぶ二人だったが、少女が踊りに出たところを警察に待ち構えていた。彼女は指名手配されていたのだった。警察から逃げ出す二人。道で嘆き悲しむ彼女だったが、チャップリンは「諦めるな、二人ならできる」と励まし、二人で歩いて行くのだった…

 

 あまりに有名な作品。工場での歯車シーンやデパートでのローラースケートのシーンが有名だが、改めて観るとストーリーがしっかりとしていることに驚かされる。このブログを始めて、戦前の映画を何本か観ているがどれも見応え十分なものばかり。というか、戦前に作られようがしっかりと作られたものは、今観ても素晴らしいということなんだろうなぁ。

 ティティナはこの映画で有名になったのは知らなかった。とても有名な曲だし。スマイルもこの映画だったんだと驚いたし、チャップリンが作ったことを知ってもっと驚いた。

 浮浪者だった少女が掴みかけた夢が儚く散ってしまい、絶望している所にチャップリンがかけるセリフが感動する。「スマイル」をバックにあのセリフ、そして二人で歩いて行くラストシーンはまさに映画らしいラストシーンだった。伊達に世界の喜劇王と言われた人ではないんだなぁ。あと何本か観られるようなので楽しみだ。