卒業

●214 卒業 1967

 大学を卒業したベンジャミンを祝うホームパーティが開かれる。彼は成績優秀、スパーツ万能の将来を見込まれた男だったが、本人は気弱な男だった。彼は父の仕事仲間の奥さんロビンソン夫人に家に送って欲しいと言われ車で送る。そのまま帰ろうとするベンジャミンだったが、夫人の強い言葉に負け、家の中まで入り、誘惑される。既のところでロビンソン氏が帰宅し未遂に終わるが、夫人はベンジャミンをいつでもと言って誘う。

 翌日ベンジャミンはホテルから夫人に電話をしベッドを共にする。それからは毎日のように会う二人。

 そんな中ロビンソン夫婦の娘エレーンが学校から自宅に帰ってくる。ベンジャミンの両親はエレーンをデートに誘うように言う。しかしロビンソン夫人はエレーン出生の秘密をベンジャミンに告げ、娘とは会わないように、とベンジャミンに告げる。

 しかし両親にデートをセットされてしまい、ベンジャミンはデートすることに。彼はヌードダンサーが踊るような店に彼女を連れて行く。彼女は冷たくされ泣いてしまう。涙を見たベンジャミンは謝罪し、普通のデートをする。帰りに彼女を家まで送ったベンジャミンはエレーンと次のデートの約束をする。

 次のデート、雨の中彼女の家に行くと現れたのはロビンソン夫人だった。彼女は再度娘と会わないことをベンジャミンに求め、できないなら二人の仲を打ち明けると脅す。それを聞いたベンジャミンは雨の中飛び出し、エレーンの部屋へ入る。そして彼女に全てを打ち明ける。かのjはショックを受け、彼を追い出す。

 エレーンは大学に戻る。ベンジャミンは彼女のいる土地へ行きアパートを借り、彼女を密かに追い続ける。そしてバスの中で彼女に声をかけ、彼女のデート先の動物園までついて行く。そこにデートの相手の医学生が現れたところでベンジャミンは身を引く。その日ベンジャミンのアパートにエレーンが来る。そして母親から聞いた話をベンジャミンにするが、それは夫人の嘘だと彼は話す。彼女はそれを聞き大声で叫ぶ。叫び声を聞いた大家や住民が彼の部屋を覗きに来る。大家は彼に出て行けと話す。落ち着いたエレーンは帰りがけにまだいて欲しいとベンジャミンに話す。そしてエレーンはまた部屋を訪れ、ベンジャミンにキスを求める。彼は結婚しようと言い出すが、かのjはまだよくわからないと答える。彼女の大学までついて来てしきりに結婚話を進めようとするベンジャミンだったが、エレーンは医学生とも結婚する、と話す。

 エレーンへのプレゼントを準備に嬉々として部屋に戻ったベンジャミンだったが、部屋にロビンソン氏が待っていた。そしてお前のおかげで離婚することになったと告げ、エレーンに近づくなと警告して去って行く。

 ベンジャミンは彼女の大学へ行くと、彼女は退学したのちだった。エレーンからの手紙を受け取る。彼はロビンソン家に行く。夫人が部屋にいてエレーンが結婚することを話す。彼は医学生を探し、彼の友達から結婚式の場所を聞き出し、教会へ向かう。そして有名なラストシーンへ…

 

 名作として必ず名前が挙げられる映画。有名なラストシーン、サイモン&ガーファンクルの音楽、ポスターなどに使われるロビンソン夫人の誘惑シーン…

 全然違う話になるが、前にも書いたように小学生の頃「小さな恋のメロディ」を観て映画が大好きになった。あの頃は当然ネットなどなく、映画関連の情報といえば映画雑誌が主な情報源だった。だから雑誌をよく読んだが、そこでは必ずと言って良いほど「メロディ」と同じようにこの「卒業」が青春映画の代表作として挙げられていた。だから子供の頃にもこの映画は観た記憶があるが、全く印象に残っていないし、なぜこれがあの「メロディ」と同列で語られるのかが全くわからなかった。

 今回数十年ぶり?に「そのつもりで」映画を観てみたが… 

 前半とにかく目を引くのは、ベンジャミンの気弱なところとロビンソン夫人の気が強いところ。20歳の男が40歳の女性にあんなに簡単に手玉に取られてどうする、って感じだが、優等生(童貞?)という設定だから、女性に弱いのは当たり前といえば当たり前か。

 後半は音楽がこれでもかと訴えて来る。エレーンのストーカーのようにベンがつけ回すところで流れるスカボロフェア、最後にエレーンを探し出すために奮闘するベンのシーンで流れるミセスロビンソン。

 「メロディ」との共通点で思いつくのは、音楽の素晴らしさは置いておくとして、最後のベンの奮闘が「メロディ」の最後の生徒vs先生の大乱闘に近いのかなぁということ。モヤモヤとしていた思いが最後に爆発するといえば良いのか。あとは男が女を純粋に好きになったらあとはまっしぐら、というところか。

 あと無理やり書くと、やっぱり子供達の大人への反抗、かな。「メロディ」では愛するということに答えられなかった大人たちへの回答が二人でトロッコで逃げ出すことだったし、この映画では、パーティーシーンやエレーンとのデート話でベンの両親だけが盛り上がっていることや、若僧をなんとでもできると思っているロビンソン夫人を受け入れられないベンジャミンが最後に反抗を見せつける、ってところかなぁ。

 まぁでも一時代を築いた映画、というのは間違いないんだろう。50年も後になって観て文句を垂れてもしょうがないし。見るときを間違えたんだろう、きっと。