夜の訪問者

●225 夜の訪問者 1970

 ジョー・マーティンは貸し船屋、客に船の操縦を教えている。近所の友人とカードをやる仲だった。カードを終え家に帰ると妻のファビエンヌが待っていた。ジョーが一日中家にいないのが寂しいと彼女は訴える。その時電話が鳴りジョーが出るとジョー・モラン宛ての電話でジョーは電話を切る。妻から無言電話が何度もあったと言われ、ジョーは妻に娘を連れ実家に戻るよう話し、家の戸締りを確認する。外で物音がするので見ると隣のベルトラン家でパーティをしていた。それでも警戒するジョー。カーテンの向こうに人影が見え警戒を強め妻を2階にあげ、玄関前で待つ。すると2階から物音がする。駆け上がると窓から何かが投げ込まれていた。妻に鍵をかけ部屋にいるように言って1階へ降りる。妻は心配になり1階へ降りるとキッチンに見知らぬ男がおり、ジョーは倒れていた。

 妻は強盗かと思い金を出すが、男は落ち着いていた。ジョーと男の会話から昔の知り合いだとわかる。男は新聞に掲載されたジョーの記事を見てこの場所を知ったという。男は二人にこれから船を出してもらうと言い準備させるが、ジョーが隙を見て男を殺す。ジョーは警察に電話をしようとして思いとどまり、妻にやはり実家に帰るように話す。妻は説明を求める。

 ジョーは軍隊時代の上官を殴り刑務所に入っていた。その刑務所から仲間と脱獄をしたが、町の警官に見つかり仲間が警官を殺したため、巻き込まれるのを避けるために一人車で逃走した。男はその時の仲間だった。

 ジョーは死体は自分一人で処理するので、妻に実家に帰るように言うが妻は反対する。ジョーは一緒にやったら共犯になると言うが、妻は結婚した時から共犯だと話す。その時隣のベルトラン家の人たちが氷をもらいに家を訪ねてくる。慌てる二人だったが、何とか死体を見つからないように振る舞い、隣家の人たちを返す。

 二人は死体を船に運ぼうとするが、船の中には若者たちがいて断念。車で山中に入り、崖から死体を海に放り投げる。

 二人は家に戻るが、家には他の仲間、ロス、ファウストカタンガの3人が待っていた。ジョーは金で解決しようとするが、彼らは船を要求する。妻を人質に取られ、ジョーはカタンガと共に船で出かける。ジョーは彼らの目的が麻薬の取引であることを知る。またカタンガから娘のことを聞かされる。ジョーは隙を見てカタンガを倒し薬で眠らせる。そして娘のところへ行くが、両親が連れて言ったと聞かされる。

 ジョーは空港に向かう。金を運んでくるモイラと会うためだったが、空港にはファウストが迎えに来ていた。ファウストをうまく呼び出しエレベータに閉じ込め、モイラを出迎える。そしてモイラを山中の小屋の中で閉じ込め、金の一部を持って家に帰る。

 ジョーはロスと取引をする。家族とモイラの交換だった。ロスは了承し、全員で山小屋へ行く。妻と娘を車に乗せ帰らそうとしたその時にモイラの声が聞こえる。カタンガが銃で車を撃つ、ジョーがカタンガを取り押さえる、銃がロスとファウストを誤って撃ってしまう。ロスは腹に銃弾を受け大怪我、ファウストは死んでしまう。仕方なく全員で小屋へ入る。モイラを助け出す。ジョーは怪我をしているロスに街に行き医者を呼んでこないとロスは死んでしまうと訴える。カタンガは夜になり街へ行くことを提案するが、ロスは出血がヒドいため、夜まで待てないとジョーの案を飲む。カタンガは怒り、金を奪って逃げようとするが、ロスが銃で取り押さえる。

 ジョーはモイラと街へ医者を連れに行く。小屋に残ったカタンガはロスの銃を狙うが、ジョーの妻が看病をしながらロスを手助けする。しかし時間が経つにつれロスは弱ってくる。約束の1時間をはるかに過ぎ、ロスは覚悟をし、妻と娘を小屋から逃がしカタンガと対決をしようとするが負けてしまう。小屋から逃げた妻と娘をカタンガが追う。妻は草むらに火をつけるなどして何とか逃げようとする。パリ祭で道が混んでいて遅れたジョーたちはやっと小屋にたどり着くが、妻がつけた火であたりは火の海に。それでも妻と娘を見つけ助け出すが、そこにカタンガがやってきて銃を奪われてしまう。そして車で街へ向かい、船に乗り込む。

 船でカタンガの指示通り麻薬の取引先へ向かう。カタンガが妻と話している隙にジョーは信号弾の銃を手に取り、カタンガに撃ち込む。彼は火だるまになり海へ。ジョーは金の入ったアタッシュケースも海へ投げ込んでしまう。

 そしてジョーと妻娘は街へ戻る。ジョーと妻は自首することを考えていた。そこに自分たちが乗り捨てた車があり、それを取り締まっている警官がいた。警官は違法駐車で6ヶ月はぶち込むと息巻いていた。それを聞いたジョーは笑う。家族はパリ祭へ溶け込んで行くのだった。

 

 これまたタイトルも内容も全く知らずに観た。冒頭家を襲われるシーンの怖さ。なかなかの迫力だった。ストーリーがどう展開するかもわからないまま、夜家を襲われる恐怖感がよく出ていた。

 その後もトラブル?が連続する。男を殺してしまった後に隣家が訪ねてきてそれをゴマかすシーン。やっとの思いで死体を処理し家に戻った時にまた男たちがいるという不気味さ。男たちとの駆け引き。山小屋でのロスが弱って行くシーン。最後のカーアクション。

 監督が007の監督テレンス・ヤングだと知って納得。007も次から次へと襲ってくる難題にボンドがいかに対応して行くか、というのが見所だから、この映画もそれをブロンソンがやっていると思うと作りは一緒かな。ただ50年前の作品なので男たちの対応の雑さやご都合主義的な部分は目につく。それでも90分間駆け引きが続くストーリーは観ていて飽きなかった。なかなかの良作だと思う。