セーラー服と機関銃

226 セーラー服と機関銃 1981

 目高組組長が後継を指名して死んでしまう。同じ頃女子高生の星泉の父親が事故で亡くなる。泉は火葬場から遺骨を持ってマンションに帰る。そこにマユミと名乗る女性がいて、父が書いた手紙を持っていた。

 翌日泉の学校正門にヤクザが並んで待っていた。学校関係者は裏門から出るように言うが泉は堂々と正門へ向かう。するとヤクザの一人佐久間が泉を迎えにきたと話し、車に連れ込む。泉は目高組の事務所に連れて行かれる。そこで父親が先代の遺言で組を継ぐことになっていたが、死んでしまっていたので泉に、という話だった。組長になるのを断る泉だった。それを聞いた佐久間は組は解散、松の木組へ殴りこみだと話す。それを聞いた泉は組長になると宣言、殴りこみは辞めるように命じる。皆で組長就任を祝って祝杯をあげる。

 翌日泉は佐久間とともに浜口組へ就任の挨拶に行く。泉のことを気に入った浜口組組長から祝いとして松の木組に取られていた目高組のシマが返されることになった。組に戻り、皆で祝杯をあげるが事務所にマシンガンが撃ち込まれる。

 泉は事情がバレ学校を退学となる。そこへ刑事の黒木が訪ねてくる。泉の父親の死に殺人の疑いがあるという話だった。泉が家に帰ると家の中が荒らされていた。黒木に連絡すると犯人は父親が隠した何かを探しているのだろうと言われる。

 泉の友人3人と目高組の組員たちで酒盛りをする。泉は組員ヒコに話しバイクに乗せてもらう。翌日泉が組事務所に行くと事務所内が泉に合わせて改装されていた。喜ぶ皆だったが、そこに電話が入る。電話の指示に従い外に出てみるとヒコがボコボコにされ殺されていた。怒った泉は松の木組の仕業だと睨み、松の木組へ直談判に行く。松の木組組長はマシンガンを打ち込んだことは認めたが、ヒコをやったのは自分たちではない、と話す。そして帰ろうとする泉をコンクリート責めにする。そこへ電話が入る。佐久間が松の木組組長の息子を拉致していたのだった。

 戻ってきた泉に佐久間は太っちょの名前を出す。ヒコのやられ方は太っちょの手口だと話し、麻薬がらみで何かあったのかもしれないと説明する。家に戻った泉はマユミからの電話を受ける。マユミはマンションが荒らされた時からいなくなっていた。泉はマユミに会いに行く。

 泉は萩原に拉致され、佐久間と話したいという彼の要望で佐久間の家に行く。そこで泉が見たのは激しく愛し合う佐久間とマユミだった。泉はマユミと話をする。マユミは佐久間がヤクザであることを知らなかった。佐久間は萩原から太っちょが目高組が持っているはずの麻薬を返すように言っていると聞く。麻薬に心当たりのない佐久間は直接太っちょと話させて欲しいと言うが、萩原は太っちょは人とは合わない、頼むならさっき寝ていた女に頼めと言う。佐久間が不思議がっていると、萩原はマユミは太っちょの娘だと話す。

 泉のマンションを黒木刑事が訪ねてくる。目高組組員のメイが彼を止めようとするが、黒木に刺されてしまう。メイの手当をする泉だったが、その時萩原がやってきてメイを射殺、泉は拉致されてしまう。

 泉は太っちょの家に連れて行かれる。地雷の拷問にかけられ麻薬のありかを聞かれるが、泉は答えられない。佐久間はマユミに太っちょに合わせてくれるよう頼み込んでいた。泉が囚われている場所へマユミが現れ、太っちょに泉を助けるように言う。助けられた泉にマユミ、黒木が麻薬のことを全て話す。泉の父親は麻薬を自分の荷物の中に入れられ、それをマユミに預けていたのだった。マユミはローションに溶かし麻薬を隠していた。話を聞いた黒木はマンションに向かう。佐久間が太っちょの家に侵入、泉を助け出す。しかし二人は捕まってしまう。そこへマユミが現れ太っちょを射殺する。

 マンションに行った黒木は萩原の裏切りで浜口組に殺されてしまい、麻薬も浜口組の手に渡る。全てを知った泉は浜口組に殴りこみに行き、麻薬の入ったビンを撃ち壊す。しかし組員政は殺されてしまう。政を連れて佐久間と泉は事務所に戻る。そこで目高組は解散することに。泉は普通の高校生へ、佐久間は堅気になると約束をする。

 数ヶ月後、学校に戻った泉を刑事が迎えにくる。ヤクザ同士の喧嘩に巻き込まれ、佐久間は死亡したのだった。佐久間の遺体と対面する泉。そっと彼に口づけをする。

 

 久しぶりに観た。当時自分は中学生だったが、薬師丸ひろ子の異常なフィーバーぶりはよく覚えている。そこに輪をかけて、彼女が一時休業を言い出したものだから、フィバーはより盛り上がったと記憶する。

 この映画とは関係ないが、その復帰作となったのが、松田優作との「探偵物語」だったが、これはTVでも渡辺典子でドラマ化された。その時の渡辺の相手役が柄本明で、鍵を握るお姉さんが風間ゆきだった。二人ともこの映画で重要な役割をしているのは偶然なのか?

 この映画に戻る。ストーリーは今見るとメチャクチャだなぁと感じる。女子高生が組長に→すぐに組員が殺される→麻薬騒動→組長が巨大組織へ拉致される→でもあっさりと助かる→麻薬を奪っていった組みへ殴りこみ。これは赤川次郎原作だからか。赤川さんの話は会話が多く、推理小説というよりはテンポで読ませる作品が多いから。この映画はストーリーを観るものじゃなくて、相米監督のセンスを観るものなのかなぁ。独特なシーンが随所に現れる。クライマックスシーンはもちろん、ラストシーンも含めて。あとは今は有名になった役者さんがあちこちに出ていることか。

 薬師丸ひろ子が結果的にマンションで一人暮らしをすることになるが、あだち充の初期作品もそんな設定があったように思う。ティーンの憧れの生活をうまく取り入れていたのか。

 そう言えば、タイトルシーンで「セーラー服」と「機関銃」のフォントが違っているのに今更ながら気づいた。当時、赤川さんはこの本を書くときに、普通なら絶対に結びつかないものとして、この二つを選んだ、という話をどこかで読んだ記憶がある。今では女子高生が機関銃を撃つことなど小説やドラマ、漫画では当たり前になっているが、この時代はそうだったのだろう。そう思うと薬師丸ひろ子という女優は、前例のないこの役を見事に演じていると言わざるを得ないのだろう。セリフは時代なのか、言い回しや喋り方が素人っぽかったが、正門で待つヤクザの元へ歩いて行くシーンなどは、ビビりながらも前へ進む微妙な感情がうまく表現できていたと思う。

 全体として、この1981年の頃がうまく一本の映画に詰まっている、そんな感じかな。