鬼平犯科帳 第5シリーズ #11 隠し子

 第5シリーズ #11 隠し子

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 ある日、役宅に久助が野菜を持って訪ねてくる。彼は長谷川家の中間として働いていた者で昔から鬼平をよく知っていた。久栄が下がった後、鬼平久助に話があるのではないかと尋ねる。久助は先代、鬼平の父に隠し子があったと告げる。それは鬼平の妹に当たる女だった。

 翌日上野で横沼の利吉という盗人を捕まえる。おまさはやつは小者でもうしばらく泳がせておいたほうが良かったのではと鬼平に言うが、鬼平は町方が奴を別件で狙っていたと話す。

 捕り物の後、鬼平根津権現を歩く。そこでゴロツキに絡まれる。三坪(みつぼ)と言う店に行くつもりだと話すとその店は潰れたと言われる。荒井屋の名を出すとゴロツキが鬼平を店まで連れて行く。そこで主人から三坪は立ち退きをする予定で、理由はこの辺の女で三坪の女お園だけが体を売らず女たちから恨まれているからだと聞く。

 鬼平は三坪を訪ね、一人酒を飲む。他の客がいないことを心配し、お園に話を聞くが、お園はこれまでも何とかなっていたと話す。

 利吉への取り調べは厳しく行われたが、利吉は何も喋らなかった。面通しをした彦十は、利吉に間違いなく、藤岡の勘四郎配下の腕の立つ盗人だと佐嶋に話す。上野にいたということはその辺りで勘四郎が仕事をするつもりだろう、とも。

 鬼平はお園のことを久栄に話す。お園という名は早くに亡くなった鬼平の母の名だった。その名を娘に残したのは親父らしいと鬼平は語る。鬼平の母もお園の母も日陰の身であったこと、継母に意地悪くされた鬼平を見て、お園を隠し子として育てた父のこと、女だてらに煙草を吸うこと、その仕草が父にそっくりなことも話す。鬼平はお園のことをさらに語る。勝気な女で客あしらいをしていたが、お園の面倒を見ようとした男が現れた。そのことを知った久助鬼平に知らせに来た、ということだった。鬼平はお園を引き取ろうと思うと久栄に告げる。しかし久栄はお園が岡場所で居酒屋をしていたこと、煙草を吸う女であることから、目白の屋敷に引き取ろうとするがそこには辰蔵がいることから、鬼平の意見に猛反対する。久栄は辰蔵にお園のことを話す。

 夕方、荒井屋に彦十がいた。主人松五郎と話をしていた。彦十は上州あたりから盗人がきて一仕事企んでいないかと聞くが、松五郎はそんな話はないと答える。彦十からの報告を聞いた佐嶋は鬼平に話をするが、鬼平は荒井屋のことをすでに知っているため、その話を鵜呑みにすることはなかった。そこへ沢田がきて、利吉がやっと吐いたと報告する。

 佐嶋は五鉄で彦十と会う。彦十は荒井屋の密告でこれまでに3回盗人を捕らえたと言うが、佐嶋は盗人宿を紹介したのは、根津の荒井屋だと利吉が吐いたことを告げる。同席していたおまさが、どちらが正しいか自分が探ると言うが、彦十は言い出しっぺは自分だから、自分でケリをつけると話す。彦十はその夜のうちに荒井屋へ潜入した。

 お園は久助の店にいた。お園は店を手放していたことを悔しがっていた。

 彦十は荒井屋に藤岡の勘四郎が来たことに気づく。彼は松五郎と話をし、捕まった利吉が吐くのが捕まって三日後、つまり今晩がお勤めをする最後の機会だと言い、松五郎を含めた荒井屋の人間を一歩も外には出さないと話す。

 お園は自分の店に行く。そこで浪人が酒を飲んでいたことに腹を立て出て行くように言うが、浪人はお園に当て身を食らわせる。

 おまさは荒井屋を張っていた。そこに佐嶋と沢田が来る。おまさは彦十とつなぎが取れないことを心配していた。そこへ浪人がお園を連れてやって来る。彦十は外へ出ようとするが、見張りが厳重で出られなかった。おまさは三味線を引いて店の前に行き、彦十と連絡を取る。彦十は盗人たちが今晩七間町の昆布問屋松前屋を襲うことを知らせる。夜遅く、松前屋の手代が荒井屋に来る。それを合図に盗人たちは出張るが、盗賊改方が周りを包囲していた。鬼平たちは藤岡の一味、荒井屋の一味を皆捕まえる。彦十も無事だった。捕らわれていたお園を鬼平は救い出す。

 翌日鬼平は牢にいた松五郎と話す。盗人の上前をはね、茗荷金が折り合わなかった3人を密告し十手持ちとなるとは、大したものだが、ここの取り調べはキツいぞと話す。松五郎はどこかでお会いしましたかと聞くが、鬼平はだからお園の実の兄だと答える。 

 お園は久栄、辰蔵と和気藹々と対面する。しかしその後お園は煙草を吸い久栄は困り顔に。女二人が一つ屋根の下暮らし、この家の平和はいつまで保たれるのか、鬼平の頭痛の種がまた一つ増えた…

 

 前話に続き盗人の話だが、そこに鬼平の妹のことが絡んで来る。第5シリーズになり突然義理とはいえ、妹が出て来るとは驚き。しかしこの後の再登場はないようだ。最後の和気藹々の対面からのお園の煙草を吸う態度が可笑しい。ナレーションのセリフも楽しい。こんな妹のキャラクターならばもう少し登場機会があっても面白いと思うだが…

 お園のことを聞いた久栄の態度も鬼平に猛反対するなど、今回の話は珍しいことが多い。自分が集めてきたネタ(情報)を反対された彦十が意固地になって荒井屋に潜入するのも珍しいし。

 全く関係ないが、久助役の奥村公延さん、TVで昔本当によく見た方だ。先日見た「セーラー服と機関銃」でも序盤で火葬場の係の方で一瞬映っただけでわかったぐらいに。長谷川家の元中間というキャラも何か使えそうな気がするが、登場はこの話だけのようでこちらも残念。

 

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