深夜の告白

●232 深夜の告白 1944

 深夜、保険営業員のネフが会社に戻ってくる。彼はボイスレコーダに同僚キーズあてに自らの犯罪を告白する。

 五月の終わりネフはディートリクスン家へ自動車保険の更新のために訪れる。しかし氏はおらず妻フィリスが対応する。ネスはフィリスに一目惚れする。フィリスは傷害保険の話を聞き、明日夜なら夫が在宅していることを告げる。

 会社に戻ったネスはキーズに呼ばれる。彼はトラック運転手の不正請求をはねつけていた。自分の部屋に戻ると、フォリスから木曜の3時半にきて欲しいとの伝言が残っていた。その日は別の予定があったが、フィリスの魅力に惹かれたネスは予定を変更する。

 木曜にフィリスと会ったネスは傷害保険のことで相談される。夫婦の不仲の話の後、夫に内緒で保険加入できるかを問われたネスは怒ってディトリクスン家をあとにする。

しかしフィリスのことが忘れられなかった。その日の夜、ネスの家にフィリスが訪ねてくる。ネスは保険金殺人をして捕まった女性たちの話を聞かせる。フィリスは夫婦の結婚のこと、娘のローラのことを話す。ネスは保険営業員として完全なる不正行為を考えていた。そしてディートリクスン氏殺害を決意する。

 まずディートリクスン家を訪ね、氏を騙し、自動車保険の書類だと偽って傷害保険にサインさせる。帰りにフィリスに列車事故ならば倍額特約があることを話し、旅行を汽車で行かせるように命じる。帰ろうと車に乗ると娘のローラが乗っており、彼ザケッティとのデート場所まで送って欲しいと頼まれる。

 ネスとフィリスはスーパーの客として誰にも見られないように会って話をする。そこでフィリスから夫が脚に怪我をしたことを告げられる。ネスは今回の旅行は見送り、焦らないように時期を待とうと話す。二人は1週間会わずにいた。

 六月ネスはキーズから営業を辞め、調査員として一緒に働かないかと打診を受けるが、断る。そこへフィリスから電話があり、今晩夫が列車で旅行に出かけることを聞く。ネスはフィリスとともに氏の殺害を実行する。

 一度家に戻りアリバイ作りをし、ディートリクスン家へ向かう。列車に乗る夫婦の車に隠れて乗り、フィリスが運転、人気のないところで氏を殺害する。そして氏の代わりに松葉杖をついて列車に乗り、展望台から飛び降りる。そこで死体を線路に放置した。

 翌日出社したネスはボスに呼ばれ、倍額請求の件で叱責されるが、キーズがネスに落ち度はなかったとかばう。ボスはフィリスを呼んでおり、4人は同席する。その場でボスはフィリスにディートリクスンは自殺だと判断する、保険は一部のみ支払うと話すが、フィリスは激怒し帰ってしまう。キーズは25キロで走行している列車から飛び降りた自殺は記録にない、あれは事故だと話す。

 その夜、ネスの家にフィリスから電話が入る。昼間の対応を褒め、会いたいという彼女に家にくるように伝える。しかしすぐに客が来る。キーズだった。彼は傷害保険に入りながら、脚の怪我の請求をしていないのは不自然だと疑問を持ち、フィリス夫人を疑い始めていた。ネスの家の前まで来たフィリスはその話を聞いていた。そしてキーズが帰る際、ドア影に隠れる。ネスはフィリスにしばらく会うのはやめようと提案する。

 翌日ネスの会社に娘のローラが会いに来る。彼女は母親が死んだ時の看護婦がフィリスだったこと、その死が不自然だったことをネスに話す。彼女はザケッティと別れており、ネスは彼女と夕食をともにし、翌日はドライブをする。

 月曜ネスはまたキーズに呼ばれる。キーズは事件の謎を解いていた。列車には身代わりの男が乗っていたと推理しており、部屋には展望台で話したジャクソンがいた。ジャクソンはディートリクスンの写真を見て、展望台で見た男とは違うと証言する。キーズはフィリスに共犯者がいたはずで、二人は必ず会うはずだ、保険金請求を突き返す、とネスに話す。

 ネスはフィリスをスーパーに呼び出し、キーズが見抜いていることを話し、訴えることを辞めるように言うが、殺したのはネスで、計画したのもネスだとフィリスは話す。ネスはフィリスを殺すことを決意する。ネスはローラと会う。そこでローラからフィリスがザケッティと会っていることを告げられる。

 翌日ネスはキーズから共犯者がわかった、フィリスが訴えて来たと聞かされる。焦ったネスはキーズの事務所でボイスレコーダで、ザケッティとフィリスが頻繁に会っていることを聞く。

 ネスはフィリスに電話し、その夜11時に家に行くことを告げる。そこで全てを話すが、ネスはフィリスに左胸を撃たれてしまう。しかし致命傷にはならずネスはフィリスを撃ち殺す。そして家に来たザケッティにローラに電話するよう話す。

 ここまで話したところでネスはキーズが部屋に入って来たことに気づく。ネスは逃亡すると言い、会社を出ようとするが、倒れてしまう。キーズは救急車と警察に連絡する。

 

 「七年目の浮気」に続き、ワイルダーの作品を観ることになった。この監督は「アパートの鍵貸します」のイメージが強いので、コメディタッチか、舞台劇のような作品だと思って観ていたら大間違い。いわゆる倒叙型のミステリー。冒頭ネス犯罪告白のシーンから始まる。保険金殺人。1944年に既にこんな保険金殺人が映画になっているのは驚いた。昔から悪い奴の考えることは変わらないのね(笑

 映画は結末がわかっているのに、ドキドキ感がハンパない。保険へのサインの騙し、列車の展望台で男に話しかけられるシーン、ネスの家の扉でフィリスが隠れるシーン。自分が一番ドキッとしたのは、ネスがキーズの部屋のレコーダを聞いている時、画面右に部屋のドアが写っており、その画面構成が不自然でここで誰かが入って来るのかと思ってしまってドキドキしていた。

 1944年に倒叙型が完成されていたのも驚く。倒叙が世に出たのはコロンボが最初じゃないのか。しかも、犯罪を犯したのちに同僚キーズが段々犯人を追い詰めて行くのがまたドキドキさせる。

 ストーリーとしてもフィリスがザケッティまで巻き込んでいて悪女ぶりがハンパない。それでも最後に2発目を撃てなかったところが悲しいか。

 全て含めて本当に良くできている。でwikiで調べて脚本にチャンドラーの名前が会ってさらにビックリ。確かにネスのセリフ、イカしてたもんなぁ。

 タイトルも原題の「倍額保証」か、邦題の「深夜の告白」か、どちらが良いか迷うところ。「倍額保証」ではあまりにストレートすぎるけど、「深夜の告白」もちょっと別の意味でストレートすぎるよなぁ。

 

 

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