群盗荒野を裂く

●234 群盗荒野を裂く 1966

  1910年代メキシコは内戦で二分され盗賊側と政府側が激しい戦いをしていた。

 アメリカ人の白人テイトが駅で行列を無視して切符を購入、列車に乗り込む。この列車は武器を運んでおり、多くの兵士が乗っていた。列車の行く先に政府軍の大尉が縛られており列車は停止する。大尉を助けようと兵士が出て行くが、待ち伏せしていた盗賊チュンチョたちに次々に撃たれてしまう。列車に乗っていた将校は大尉の言葉を受け、列車を進行させ、盗賊たちから逃れる。するとテイトが機関部へ行き機関士を射殺、列車を停止させる。チュンチョはテイトに理由を聞く。テイトは手錠を盗んで自分にはめており、自分は賞金首で護送中だったと話す。チュンチョはテイトを助け、列車の武器を盗み出す。テイトはチュンチョと一緒に行きたいと話し、チュンチョは許可する。

 テイトは盗んだ銃をどうするのかチュンチョに尋ねる。彼はエリアスに売ると答える。エリアスは盗賊のリーダーだった。テイトはチュンチョを捕虜とする芝居を打ち、政府軍の街を尋ねる。そこで将校を殺害し武器を奪う。他の街でも同じことをして武器を調達する。チュンチョの元にサンミゲルの街が解放されたとの知らせが来る。彼らはサンミゲルに向かう。

 チュンチョたちはサンミゲルの街で旧友ライモンドをはじめ住民から大歓迎を受ける。しかしまだ街には有力者フェリペが残っていた。チュンチョたちはライモンドたちとフェリペの家に向かう。そして母親と妻を助ける代わりにフェリペを殺害する。その場でフェリペの妻に手を出そうとする仲間たちを見て、テイトは時間の無駄だと怒る。テイトの言葉に怒ったグァポがテイトを殺そうとした時、チュンチョはグァポを射殺する。驚く仲間にチュンチョはテイトは自分の友達だからと話す。

 フェリペの家の車で街に戻ると街はお祭りムードになる。そこでチュンチョは街の新しいリーダーを決めるべきだと演説する。住民たちはチュンチョを支持するが、彼は読み書きができないからダメだと断り、読み書きができるという若者ペドリートを新しいリーダーとする。宴会が続く中、テイトは盗賊仲間の女性アデリータに別れを告げる。驚くアデリータだったが、テイトはしばらくチュンチョはこの街から離れないからだと答える。アデリータは仲間にチュンチョの本心を探らせる。テイトの言う通りチュンチョはこの街から離れるつもりはないようだった。

 翌日探し求めていた機関銃が見つかり、皆喜ぶ。しかしチュンチョ以外の盗賊仲間たちは街を離れようとする。驚くチュンチョと言い合いになる。チュンチョは残ってこの街の住民を助けるべきだと話すが、他の者は受け入れなかった。チュンチョだけが街に残ることに。夜弟と話していたチュンチョの元に機関銃がないとの知らせが来る。盗賊仲間たちがチュンチョの許可をもらったと嘘をつき持ち出して行ったのだった。チュンチョは一人仲間たちを探しに出かける。

 チュンチョが追ってきたことに気づいたピカロはチュンチョを迎え撃とうとするが、逆に撃たれる。戻ってきたチュンチョにテイトは一緒に行くぞと語りかける。皆でエリアスの元へ向かう。休憩中にエリアスの手下が政府軍に追われて来るのを目撃する。機関銃を使い対抗し、政府軍を倒す。テイトはどさくさに紛れてエリアスの手下も射殺する。そして持っていた金を捨ててしまう。この銃撃戦でアデリータの恋人ペピートが殺されてしまったため、彼女はチュンチョたちの元を去ってしまう。

 チュンチョとテイト二人だけで旅を続けるが、テイトがマラリヤにかかってしまう。薬をカバンから持って来るように言われたチュンチョはカバンの中に黄金の銃弾が入っていることに気づく。翌日テイトは回復、チュンチョは黄金の銃弾の理由を聞くが、幸運のお守りだと言われる。テイトはもしはぐれた時のために落ち合うホテルの名前を告げる。

 二人はエリアスの元へ到着し、武器を売る。しかし代金を払ったエリアスはサンミゲルの街が襲われたこと、その街から逃げた者がいることを話す。チュンチョは自分のことだとわかり殺してくれと頼む。弟がチュンチョとともに山中へ入る。その時テイトは黄金の銃弾でエリアスを射殺、チュンチョの弟も射殺し、チュンチョは助かる。

 テイトは政府軍の事務所にいた。エリアス殺害の礼金として10万ドルを金貨で受け取る。ホテルに戻ったテイトをチュンチョが待っていた。テイトはチュンちょに5万ドルを渡す。二人は一緒にアメリカに行くことに。床屋や服屋で身なりを整えたチュンチョは駅でテイトが行列を無視して切符を買うところを目撃する。列車に乗り込んだテイトを理由はわからないが殺さなければいけない、と射殺する。警察に捕まりそうになるが逃げながら、カバンの5万ドルを拾った男にその金でパンは買うな、ダイナマイトを買えと叫ぶ。

 

 前半は、テイトがどう見ても怪しいアメリカ人なのに、それに関して何も起こらず、ただひたすら政府軍を襲い武器を集めるだけなので、久しぶりにツマラナイ映画を選んだか、と思ったが、後半テイトが動き出す(アデリータに街を出ることを告げる、機関銃で政府軍を殺した後、エリアスの手下を殺した上、持っている金を捨てる)と一気に話が面白くなって来る。上で書いたカッコ内の2点は観ている時には理由がよくわからないが、最後まで観ると納得できる。

 やっとエリアスに会えたところで、黄金の銃弾が出てきて、そりゃそうだよねぇと思っていたら、チュンチョまで助けてしまう。あぁ男二人の変な形の友情話かと思いきや、映画冒頭の駅での切符を買うシーンが再現され、突然のラストシーンへなだれ込む。メキシコの歴史は不勉強なのでよくわからないが、貧しいながらもメキシコ人としてのプライドがチュンチョにあった、ということか。金で解決し、効率を重視するアメリカ人テイトと、基本乱暴者だけど情に厚いメキシコ人チュンチョということなんだろうなぁ。

  変わった形のマカロニウェスタンだったが、ラストのどんでん返しだけで観る価値は十分にあった。