ガンヒルの決斗

●237 ガンヒルの決斗 1959

 林の中を母キャサリンと息子ピーティの馬車が走る。それを見かけた若者二人リックとリーが追いかけ、キャサリンに声をかけるが、彼女は鞭で抵抗し、リックの顔に傷をつけ逃げる。怒ったリックはさらに追いかけると馬車が転倒する。危険を感じたキャサリンはピーティを逃すが自分は若者二人に手篭めにされてしまう。

 若者たちの馬に乗った息子は連邦保安官である父マットの元へ帰ってくる。異変を感じたマットは現場へ向かうが、キャサリンは殺されていた。息子の乗って来た犯人の馬の豪華な鞍を見たマットはそこにCBの頭文字があるのを見つける。

 リックとリーはガンヒルの酒場で酒を飲んでいた。そこへ父親の使いが来て家に戻ることに。父クレイグはリーに馬をどうしたと聞く。リーはポーリーの酒場で飲んでいた間に盗まれたと嘘をつく。クレイグはポーリーではここ10年馬泥棒の話など聞いたことがないと答える。その時リックが帰って来たので、同じことを聞くが、リックも同じように答える。その際クレイグはリックの顔に傷があるのを見つけ事情を聞く。そして鞍を取り戻すよう息子に命じる。

 その頃マットは義父からキャサリンを殺した犯人探索を言われていたが、彼は鞍の持ち主がクレイグであると知っており、クレイグがそんなことをする男ではないと話す。義父は復讐を願い、マットも自分流でと答える。

 マットは列車でガンヒルに向かう。列車内でリンダという女性と知り合う。リンダはクレイグの女だった。ガンヒルの駅で鞍を持って降りたマットをクレイグの手下たちが見かける。マットは彼らにこれから会いに行くと伝えろと話す。マットとクレイグは再会する。マットは昔クレイグに命を助けてもらったことがあったのだった。マットの訪問をクレイグは喜び、旧交を温めようとする。しかしマットは妻が殺されたこと、鞍がその手掛かりであること、犯人は顔に傷があること、を話す。そしてマットはクレイグの息子リックが犯人ではないかと指摘する。クレイグはこの街では保安官も自分の言うことを聞く。息子だから見逃して欲しいと頼むが、マットは断り、夜9時の列車で犯人2人を連れて帰ると話す。

 マットは街に戻り保安官に逮捕状を見せるが、保安官は協力を拒む。

 クレイグはリックとリーから事情を聞く。リーはただのチェロキーの女だと話しクレイグを激怒させる。クレイグはリーを追い出す。そしてリックに殺した女性がマットの妻であることを話し、街へ行こうとするリックに護衛の手下をつける。

 マットは街でリックを探すが、街の住民は皆クレイグを恐れ何も答えない。しかしリンダがリックの居場所の心当たりとして向かいの酒場だとマットに教える。マットは酒場の裏に廻り2階から建物に入る。偶然2階に上がって来ていたリックをそこで捕まえ手錠をかける。そして保安官に牢に入れるよう指示するが、保安官は牢は使えないと拒否する。マットはホテルの2階に部屋を借りる。知らせを受けたクレイグが手下20人を連れホテルを包囲する。そしてリックを解放するように言うが、マットが聞かないためライフルで狙撃する。マットはベッドにくくりつけたリックを窓際に押しやり、狙撃を回避する。

 酒場にいたリンダは他の客とホテルの2階に行けるか、マットと話すことができるのかの賭けをする。それを聞いたクレイグはリンダに、マットにリックを解放すれば無事帰らせるとの伝言を頼まれる。リンダはマットに伝言を伝える。マットはリンダにショットガンが欲しいと頼むが、拒否される。

 夜になり列車の時刻が迫る。クレイグは手下たちと打ち合わせホテルの部屋に交渉に行く。部屋の鏡で廊下の様子を確認しつつ、マットは銃を置かせクレイグを部屋に入れる。二人が話している最中に手下たちが襲おうとしたのをマットは撃ち返す。そして本来なら殺しているところだが、これで昔助けてもらった恩は返したと話し、クレイグを外へ出す。

 リックは自分を解放するようマットに言い、チェロキーの女が妻だなんて知らないと話す。怒ったマットはリックを必ず絞首刑にし、絞首刑となった人間が体験する恐怖を語って聞かせる。

 リンダは酒場にショットガンがあるのを盗み、マットに渡す。しかしそれがバレてクレイグの前に突き出される。その時ホテルから火が出る。リーがホテルの裏から放火したのだった。息子の命を案じたクレイグは火を消すように指示するが、リックにショットガンを突きつけたマットが出てくる。マットは撃たないように指示し、駅へ向かう。しかしリーがリックを助けようとしてマットを撃とうとする。マットはショットガンで対抗、リーの銃弾はリックを撃ち抜いていた。マットは一人列車に乗ろうとする。

 リックが死んだことを知り、クレイグはマットに決闘を申し込む。拒否するマットだったが、最後は決闘になり、マットはクレイグを撃ち殺す。死ぬ間際、クレイグはマットに息子はしっかりと育てろと話す。

 

 カーク・ダグラスが主演と知って観た作品。しかも1959年。あのスパルタカスの前年の作品となれば、観るしかない。で脚本はあのトランボ(名義は別名)。となれば…

 妻を殺された保安官が単独犯人のいる街へ乗り込む。犯人の父親が街の実力者のため、住民からの協力は全く得られず、地元の保安官でさえ協力を拒否する。やはり、赤狩りの時代背景を感じさせるストーリー。主演や脚本は異なるが、以前観た「真昼の決闘」を彷彿とさせる。しかしこの映画では、協力者リンダが現れるので、まだ救いがある。関係ないが、この女優さんが細いこと細いこと。腰があり得ないぐらいに細い(笑

 ストーリーとしては、籠城ものといったところか。列車までの長い時間、多くの手下を持つ敵とどう対応するか。そして籠城を解く、つまりホテルからどうやって列車まで出て行くか。この2点がストーリー上の見せ場となるが、この点についてはちょっと安っぽかったかな。

 もう一つ他の西部劇ものとちょっと違っていたのは、主役の敵役となる男が、昔命を助けてもらった男だという設定か。しかしこれについてもあまり効果的には使われていなかったようにみえて残念かな。

 それでも赤狩りがらみだと思って観るとやはり感じるものはある。若いカーク・ダグラス、やっぱりカッコ良いしね。