鬼平犯科帳 第5シリーズ #13 駿州・宇津谷峠

 第5シリーズ #13 駿州・宇津谷峠

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 京で父の墓参をした鬼平は江戸への帰途につく。途中藤枝で宿をとった。

 宿で忠吾は鬼平に宿の夕食は鯉料理だと言うと、鬼平は俺が食いたいのは、牛越弁天の境内にある平富の鯉の洗いだと答える。忠吾はこれから出てくる料理にうまいと言ったら一分をと賭けに誘う。出てきた鯉の洗いはまさに鬼平が食べたいと言った料理法で作られた鯉の洗いだった。鬼平は料理人を呼べと話すと、出てきたのは猫殿こと同心の村松だった。鬼平が江戸の味を恋しがっているであろうと、佐嶋が差し向けたのだった。

 鬼平は食事の後、村松から江戸の様子を聞く。村松は空骨の六兵衛が殺された件、おまさが偶然通りかかり六兵衛だとわかったということ、犯人はまだわかっていないこと、この件はおまさが調べており、心当たりがあるのでおまさが駿州へ来ていること、などを話す。

 その頃、おまさは鞠子に宿をとっていた。自分と同じ歳ぐらいの女のひとり旅がいないか、宿の女中に尋ねるがいないとのことだった。しかし夜になり、その女中がそんな女がいたことを知らせにくる。その女はおまさの昔馴染みお茂だった。偶然を装い、おまさはお茂と出会う。お茂は10年ぶりの再会を喜び、一緒に酒でも飲もうと誘う。

 自分の部屋で待っていたおまさだったが、いつまで経ってもお茂が来ない。お茂の部屋に行って見るとすでに宿を立った後だった。おまさも宿を後にしようとするが、女中がお茂が男が追ってくるから先に行ったと行ってくれ、と伝言を残していったと教えてくれる。おまさは金を払いもう一つ頼みごとをするのだった。

 おまさが宿の外で待っていると男がやって来て女中から伝言を聞く。おまさは女中からの目配せでそれが例の男だと知り、男の跡をつける。男は山道に入る。男は祠でお茂と会っていた。男はお茂のために江戸で六兵衛を殺していた。おまさが祠の外にいると、お茂が男を刺し殺すところを目撃する。おまさはお茂に声をかけ、男が誰かを尋ねる。お茂は全て話すから助けてくれと答える。男は音五郎、彼もお茂も空骨の六兵衛の手下だったが、800両の仕事の後分け前をもらえず、音五郎が六兵衛を殺したのだった。お茂は音五郎とのことで嘘をつくが、おまさは見破る。お茂は自分には藤枝に久蔵という亭主がおり、音五郎に言い寄られたので殺したと話す。

 おまさは鬼平たちに会いに来て報告をする。ここまでの一連の話と、六兵衛一家には6人の手下がいて、お茂の夫藤枝の久蔵の一派と、音五郎も含めた臼井の鎌太郎一派に分かれているとのことを話す。それを聞いた鬼平はおまさが隠し事をしているのでは、と問いただす。身に覚えのないおまさは正直に答えるが、鬼平はお茂の様子から、800両のありかをお茂は知っているはずだと答える。おまさは昔お茂に命を助けてもらったことがあることを告白し、それがおまさの目を曇らせたのだと鬼平は話す。

 お茂は藤枝の久蔵の元へ帰っていた。そこへ音五郎の頭である鎌太郎がやってくる。お茂は音五郎が六兵衛を殺したこと、その後は音五郎が親分を殺しみんなに合わせる顔がないとどこかへ行ったと嘘をつく。しかしこの話に納得した鎌太郎と久蔵は、お茂を許し、今後は一緒にやっていこうと話をする。忠吾とおまさはお茂の家を見張っていた。家から出て来たお茂が鎌太郎の手を握ったところを見て、おまさは鎌太郎の跡をつける。鎌太郎の家を突き止めるが、そこへお茂が入って行った。お茂は鎌太郎とデキていたのだった。お茂は800両のありかを突き止めており、久蔵がいつもしているお守りの中に金の隠し子場所が書いてあると話す。お茂は久蔵に酒を飲ませてお守りを取ってくると鎌太郎に話す。家から出て来たお茂におまさは声をかける。

 おまさは鬼平の元へ報告に来る。忠吾はお茂は鎌太郎と逐電するつもりかと話すが、おまさは100両払うから、仲間に鎌太郎を始末してくれと言われたと話す。鬼平はおまさに鎌太郎を見張るように言い、自分と忠吾はお茂の店を見張ることに。お茂は久蔵から金のありかの図面を盗み鎌太郎のところへ。二人は金を探しに宇津谷峠へ向かう。金のありかの目星がついたところで、お茂は鎌太郎に殺されてしまう。おまさはお茂の最期を看取る。

 鎌太郎は手下とともに金が隠してある廃屋へ入る。金を見つけたところで手下が殺される。そこには久蔵たちが待ち構えていた。しかしそこに鬼平と忠吾がやって来て、皆を捕まえる。

 おまさはお茂の墓を参る。鬼平はおまさに声をかける。命を救ってくれたお茂が、お前のお茂さんで、その後のお茂は別人だと思え、と話す。そこへ忠吾と村松が合流し4人は江戸へ向かうのだった。

 

 盗賊一味の女お茂が主役の話。男たちを手玉に取り、おまさにも嘘をついて、金を独り占めするつもりが、男もそんなにバカではなく最後は金のありかだけ教えて殺されてしまう、かわいそうな女の話。途中お茂が巧妙に嘘をついて世を渡っていく姿に、こりゃひどい女だ、と思うが、やはり最後あっさり殺されてしまうと同情したくなるから不思議なものだ(笑

 鬼平には珍しく前回の「艶婦の毒」から続きの話をなっている。続きと言っても鬼平たちが京都から江戸へ帰って来る、という部分だけだが。この話が第5シリーズの最終話となるが、旅先での話となるため、いつものレギュラーメンバーがほとんど出てこないのは寂しい。猫殿が藤枝まで出張って来たのは、そのためか(笑

 これで第5シリーズも終わり。途中で息切れしたように見えた第4シリーズに比べると、前半人情話っぽい話が多く、途中からは鬼平には珍しいエピソードや設定の話で盛り上げたと思う。スペシャルを除けば13話。やはりこれぐらいがちょうど良い本数なのか。とりあえず第6シリーズにも期待。

 

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