●240 万引き家族 2018
父治が息子祥太と組んでスーパーで万引きをする。家に帰る途中、治はマンションの玄関前で一人でいる少女ゆりを見かけ、家に連れて帰る。治の妻信代は家に返すように言うが、祖母初枝はゆりを可愛がる。夕食後、夫婦はゆりを家に連れて行くが、その家での夫婦喧嘩の大声が聞こえたため、家に連れて戻ってしまう。
治は建設現場で働き、信代はクリーニング工場で働いていた。家では初枝がゆりの面倒を見ていた。しかし外向きには一人暮らしであるため、客が来れば子供達は外へ出なければいけなかった。祥太はゆりを連れ、駄菓子屋で万引きをする。夕飯時、信代の妹亜紀はゆりは誘拐したことにならないのかと心配するが、信代は金の請求をしているわけではないので、誘拐ではないと答える。そんな中、治が仕事で怪我をして帰ってくる。治は労災が適用されるので金の心配はないと家族を安心させる。
初枝は亜紀と年金をおろしに銀行へ行く。その帰りにお茶をしながら、亜紀の仕事について尋ねる。亜紀は風俗店で働いていた。
治は祥太とゆりを連れて釣具店に行く。そしてゆりに出入り口のセンサの電源ケーブルをONOFFさせる役目をやらせて、釣竿を万引きする。ゆりにも手伝わせてご機嫌な治だったが、祥太は不機嫌だった。家に帰ろうとしない祥太に治は家族の役割を話す。
ある日ゆりのことがTVニュースで流れる。ゆりは家には帰りたくないと話したため、家族はゆりの髪を切り、りんと呼ぶことに。そしてりんの洋服や水着を買いに行く。
月日が経つ。祥太はりんに駄菓子屋で万引きをさせるが、店の主人に妹にはやらせるな、と忠告される。信代は仕事先で呼び出され、仲間と二人のうちどちらかに辞めてもらいたいので話し合ってくれと言われる。信代はパート仲間と話すが、りんを見かけたことを黙っているから、と言われ、仕事を辞めることに。
初枝は亡き夫の後妻の息子の家へ行く。定期的にこの家を訪れ小遣いをもらっていた。その家の家族写真には、亜紀が写っていた。この家の夫婦は亜紀のことを旅行に出かけていると話す。
家では平和な時間が流れる。家族で花火を見上げる。そして家族全員で海へ遊びに行く。その夜、りんは寝ている時に歯が抜ける。翌朝初枝は亡くなってしまう。しかし治や信代は葬式を出す金もないため、床下を掘り、初枝を埋めてしまう。風呂で汗を流す治に信代が話しかける。二人は前にも同じような事をしていたのだった。
祥太は万引きに治や信代のやっていることに疑問を持ち始める。信代が初枝の銀行口座の金を下ろしたり、夫婦が初枝の隠していた金を見つけて喜んだり、決定的だったのは駐車場の車から物を盗もうとしたことだった。祥太は治から、万引きは店にある物はまだ誰のものでもないから良いんだ、と聞いていたのだった。そして車から物を盗んだ治に、自分を助けた時も何か盗もうとしていたのか、と尋ねるが、治はお前を助けようとしたんだと答える。
祥太はりんと駄菓子屋に行くと、駄菓子屋は忌中だった。そこでスーパーに行き、りんを店の外で待たせ、一人で万引きをしようとする。しかしりんが店の中に入ってきて、万引きをしようとするのを見かける。祥太はわざと大きな音を立てて万引きをし店の外へ逃げる。店員に追いかけられ、挟み撃ちにされる。祥太は道から飛び降り怪我をする。
祥太は入院することに。警官に事情を聞かれた治と信代だったが、準備があるからとその場から家へ逃げ帰る。そして夜逃げをしようとするが、家を出たところで捕まってしまう。
治と信代は取り調べを受ける。初枝の死体遺棄、祥太とりんの誘拐、治と信代は夫婦ではなく、信代の前夫を殺していたこと、などが発覚する。りんは実の親のところへ返され、祥太は施設に入れられることになる。亜紀は警察から、初枝が亜紀をネタに親を強請っていたと聞かされる。
信代は全ての罪を自白し一人で罪を背負うことに。施設に入った祥太は治に会いに来る。そして二人で刑務所の信代に会いに行く。そこで信代は祥太を誘拐したパチンコ屋の場所と車の特徴を祥太に話す。驚く治だったが、私たちでは無理だったのよと信代は答える。その日祥太は治の家に泊まる。治はとーちゃんはおじさんに戻る、と祥太に告げる。翌日祥太はバスで一人帰って行く。りんは家の玄関の外で一人遊んでいた。
だいぶん前にTV放映されたのを録画していたが、どうも見る気になれずずっと放置していたが、今回再度放映されたので、決心して観ることに。
やはり話が重い。少女りんを返さず家族にする事を決意した段階で、もう暗い未来しか待っていないことは想像がつき、ストーリーが明るく進んでも、重い気分で観るしかなかった。
テーマはストレートに、家族とは?ということだと思うが、結局のところ些細なきっかけで一気に崩壊してしまう偽物の家族が切ない。偽物でも暖かさも感じられていただけに切なさも大きい。偶然だが、一番最近読んだ本「冬の運動会」でも、偽物の家族が出てきていた。ただこちらはある意味ハッピーエンドだったので、読後感は悪くなかったが。考えてみれば、松岡茉優は自ら偽物の家族を選んだが、子供達二人は誘拐のような形で偽物の家族になってしまったという違いがある。
ただ映画としては、祥太の怪我をきっかけに全てが明らかになる展開で、少し推理小説じみていて面白かったことは間違いない。また、ラストのリリーフランキーと安藤サクラの取り調べで、画面に向かって二人が語るシーンは圧巻だった。自分はTVで観たが、映画館のスクリーンで観たら、まさに二人に見つめられ告白され圧倒されたように思う。
重い映画だったが、子役二人が可愛く上手く、そこは救いだったかなと思う。
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