サイコ

●246 サイコ 1960

 アリゾナ州フェニックス、12月11日金曜日午後2時43分、マリオンは恋人サムと昼休みの時間を使ってホテルで密会していた。マリオンはサムと結婚したがるが、サムは承知しない。マリオンは会社へ戻る。

 会社は不動産屋で、マリオンが戻ると社長が客を連れて戻ってくる。その客は娘の家の代金として4万ドルを現金で支払う。社長はマリオンに4万ドルを銀行の貸金庫に預けるように命じる。マリオンは頭痛を理由に銀行に行った後は早退したいと申し出る。

 家に戻ったマリオンは4万ドルを持って車でサムに会いに行く。途中路上駐車をして寝てしまいパトカーに乗った警官に取り調べを受ける。その警官はマリオンを尾行する。彼女は中古車屋に行き、現金で車を購入し乗り換える。

 先へ進むマリオンだったが、夜になり雨が強くなってくる。彼女はその場で見つけたベイツ・モーテルへ泊まることに。モーテルのノーマンと話すうちに、夕食に誘われる。しかしモーテルそばの自宅から、ノーマンの母親らしい人物がノーマンが女性を夕食に誘ったことを罵倒する声が聞こえる。ノーマンは夕食をモーテルに運んできてマリオンに食べさせる。食事をモーテルの事務所で食べるマリオンだったが、そこには鳥の剥製が飾られていた。マリオンはノーマンが病気の母親の面倒を見るためにこの場所にいることを知り、母親を施設に預けてみてはと提案するが、それを聞いたノーマンは怒る。マリオンは食事を終え部屋に戻り、シャワーを浴びる。そこへノーマンの母親が来て、マリオンを刺し殺す。ノーマンは部屋をキレイにし、マリオンの死体や車や持ち物を沼に沈めてしまう。

 サムの勤め先にマリオンの妹ライラがやって来て姉の居場所を教えて欲しいと話す。そこへライラをつけて来た探偵アーボガストも現れる。マリオンは会社の金を持ち逃げした疑いがかけられていた。アーボガストは街中のホテルやモーテルを探して歩き、ベイツモーテルにたどり着く。そこでノーマンと話すが、彼の会話が不自然だったため、疑いを持つ。モーテルを離れ、もう一度モーテルに戻りノーマンの母親と話してみる、とライラに電話連絡をする。アーボガストはモーテルに戻り、自宅に侵入するが、ノーマンの母親に刺し殺されてしまう。ノーマンはアーボガストの死体と車も沼に沈める。

 アーボガストからの連絡が来ないライラは苛立ち、モーテルへ行こうとする。サムは彼女を止め、自分がモーテルに行くと話す。モーテルから戻ったサムはノーマンと会えなかったことを告げ、保安官代理に会いに行く。

 保安官代理に事情を話すと、ダンリハノーマンに電話をするが、何もわからなかった。代理は彼らにノーマンの母親は10年前に死んでいると話す。納得が行かないサムとライラはモーテルに夫婦を装い泊まりに行く。そして姉マリオンが泊まった1号室を調べるが、大した証拠は見つからない。そこでサムがノーマンを引き止めている間に、ライラが自宅の母親に会いに行く作戦を実行する。

 自宅に入ったライラは部屋を探す。サムと話していたノーマンは、ライラが母親に会いに行っていることに気づき、サムを殴り倒す。ライラは自宅に戻ってくるノーマンを見かけ地下室へ隠れる。そこで母親の姿を見かけたので肩に手を置くと、それは母親のミイラだった。悲鳴をあげたライラを母親が襲う。それをサムが食い止める。母親だと思っていたのは、ノーマンが女装していたのだった。

 ノーマンを精神科医が取り調べた結果、10年前に母親に恋人ができた時にノーマンは二人を毒殺、その後母親の人格とノーマンの人格の両方を持つようになった、というものだった。

 

 有名なヒッチコック作品。子供の頃に一度観て、有名なシャワーシーンと話の結末をしっかりと覚えていた。殺される女性(マリオン)が何か悪いことをやって逃げたホテルで殺される、というところまで覚えていた。

 改めて見直してみてもグイグイを引き込まれる感じがした。冒頭からあの有名なテーマ曲が流れ、4万ドルを持って逃げるマリオンの不安を煽るシーン〜警官のアップ、運転しているマリオンの表情、そして映画中盤でいきなり殺されてしまうマリオン。

 結末を覚えていただけにマリオンが殺された後、1時間も残っていて、まだもう一波乱あるんだっけ?と思っていたら、探偵がノーマンの怪しさに気づき、そして殺され(笑 最後に妹ライラが乗り込んで行く、という本当に飽きさせない流れだった。

 というよりは、金を持ち逃げしたマリオンがさぁどうなる、と思っていた矢先に殺されてしまう、しかも4万ドルも沼に沈められて、この先どうなるのよ、と思わせる展開。一つ前に見た「襲われた幌馬車」もそうだったが、先の予想がつかない映画ってやっぱり面白い。

 しかし大胆なカメラワーク、不必要なアップ〜警官や殺されたマリオンの眼など〜、ヒッチコックは絵だけでも怖さや不安感を表現していてやっぱりスゴい。