長靴をはいた猫

●256 長靴をはいた猫 1969

 ペロはネズミを助けた罪で裁判にかけられ、死刑を命じられる。そのため殺し屋猫3匹に追われることに。3匹の殺し屋猫はペロを逃せば自分たちが死刑になるため必死。

 ペロは殺し屋猫の追跡から逃げたところで雨に降られ、一軒の家の軒先で雨宿りをする。窓から中を見ると兄弟ダニエルとレーモンが食事をしていた。二人は弟ピエールに食事の準備をさせ、父の遺産を二人で山分けしようとしていた。ペロはピエールに声をかけられ食事をご馳走になる。そこへ殺し屋猫たちが乱入。その騒ぎでペロもピエールも家から追い出されることに。

 元気をなくしたピエールを誘ってペロは家を離れ二人は一緒に旅に出る。そして街に着く。街では王様がローザ姫の婿を探していた。ペロはピエールに姫の婿になるよう勧める。ペロは一人城へ行くとまさに婿候補たちが紹介されていたが、そこに魔王ルシファが現れローザ姫と結婚したいと申し出る。王様は金持ちのルシファを気にいるが、ローザ姫はルシファの申し込みをはっきりと断る。ルシファは魔法の力を見せつけ、3日後満月の夜に結婚式を挙げるので姫を連れて城に来るように、と言い残し去る。

 ペロはピエールと野宿をしていた。ペロはピエールに城での話をし、ルシファを倒せば姫と結婚できると話す。ペロとピエールが姫の歌声に聴き惚れている間に、泥棒ネズミたちが二人の食べ物を盗もうとする。しかしペロはネズミを許す。ネズミたちは感激しお礼をしたいと言い出す。ペロはピエールのために上等な服を用意してくれと頼む。

 ネズミたちは街へ行き、服を盗む。それはピエールの兄ダニエルとレーモンが着ていたものだった。上等な服を着たピエールは窓辺にいるローザ姫に会いに行く。上手に話せないピエールの代わりにペロが話す。そこへ殺し屋猫たちが邪魔に入る。ドタバタ騒ぎをしているうちにペロは王様の部屋に。そこで自分はカラバ公爵の家来だと自己紹介する。ピエールは姫に上手く話せないが、ネズミが代わりにピエールのことを姫に紹介するが、ピエールは逃げてしまう。ピエールは兄たちに見つかって服を取られてしまう。

 翌日ダニエルとレーモンは姫へのプレゼントを持って城に行くが、門番に化けたペロがプレゼントを奪って、代わりにカバラ公爵からのプレゼントだと言って姫に渡す。

 ペロはネズミを使って農民を脅かして、王様が通る際にカバラ様の土地だと言わせる。王様が通った際に、ピエールは裸で川の中にいたが、それもペロが盗賊に服を盗まれたと嘘をついてごまかす。ピエールは城で服をもらう。王様はピエールにルシファを倒してくれるのを楽しみにしていると話す。

 約束の日、ルシファは姫を待っていた。しかし魔法の水で姫の姿を見た時に、ピエールと一緒のところを見て激怒する。ピエールは姫に正直に自分のことを話す。その時ルシファが二人の元に現れ、ローザ姫をさらって行く。姫をさらわれたピエールは姫を助けに行く決意をする。

 ルシファは姫と結婚式をあげようとする。そこへ現れたペロはルシファをおだて、色々なものに化けるようにお願いする。そして小さなネズミになった時にピエールと一緒にルシファを襲う。小さくなったルシファはドクロのペンダントを手放してしまい、力を失っていたが、無事ドクロを手にし復活。三首竜になって皆を襲う。ペロとピエールは城の橋に追いやられてしまい、ルシファはピエールを助ける代わりにローザに結婚するよう脅迫する。ローザは仕方なく受け入れる。ルシファはピエールたちを城の表門の外へ追い出す。その時、ローザはルシファのドクロを落とす。1匹城の中に残ったネズミがドクロを奪い、ルシファから逃げる。ピエールとペロはなんとか城内に侵入。

 ネズミはルシファから逃げるが、ドクロを手放してしまい、ドクロは殺し屋猫の顔にはまってしまう。ルシファと殺し屋猫たちの追いかけっこが始まる。その間にピエールはローザ姫を助け出し、ドクロの秘密〜ルシファはドクロに朝日が当たるのを嫌がる〜を聞く。ペロは偽物のドクロでルシファをおびき出すが、ルシファは殺し屋猫のドクロが本物だと気づいてしまう。ルシファ、ペロ、ピエール、殺し屋猫の乱闘となるが、ドクロがローザ姫の元へ。ルシファは姫を追う。姫は塔の上に行き、朝日にドクロを当てようとする。ルシファは追いつくが、ネズミたちの活躍でルシファは塔の下へ落ちてしまう。ピエールは姫と共に塔の上に行くが、ルシファは塔ごと壊し始める。ルシファが塔を壊しとうが倒れたその時に朝日がドクロを照らし、ルシファはコウモリに化けてしまう。塔から落ちた二人は鳥たちに助けられる。

 二人は結婚し、ペロは街から去って行く。

 

 第2作「ながぐつ三銃士」を観たので第1作も観ることに。

 これが50年前の作品。話はシャルル・ペロー原作の大筋だけを借りた感じ?遺産分けで猫をもらった三男坊が主人公。

 原作はその猫が口八丁手八丁で三男をカラバ侯爵に仕立てる、らしいが、この映画では、その話に加えて、魔王ルシファが登場、ローザ姫がさらわれて…という冒険ものとなっている。

 

 と言ってもこの映画一番のウリは、宮崎駿が後半の魔王の城でのアクションシーンを作ったということだろう。

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「原画」のスタッフに「宮崎駿」の名前が。一番上には「大塚康生」も。

 どう観ても「カリオストロ」だもの。塔の上を走って行くルシファ、塔の上から落ちる二人、時計の中のからくり、もう嬉しいシーンがいっぱい。

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時計の中に顔を突っ込んだルシファ。歯車などがキチンと描かれている。

 宮崎さんはカリオストロを「これまでやってきたことの総ざらい」と言ったことがあるが、これを観るとよくわかる、という感じ。

 

 80分の映画だが、ルシファの城は最後の30分。ここまでの50分はいかにも子供漫画映画、という感じだが(それでもミュージカルか、とツッコミたくなるほど歌も多かったりする)、城に移ってからはアクション映画になっている。やっぱり漫画映画はこうでなくちゃ、と言った感じかな。

 これが「カリオストロ」や「ラピュタ」に受け継がれて行ったんだんだな、と。これを進歩がないと言ってはいけません(笑 子供の頃に観て楽しかったけど、この歳になって観ても楽しい、といえる映画はそうはないのかも。

 最後にもう一つ、今回観て気づいた大事な話(笑 主人公ピエールとピエールの兄の一人レーモン、それぞれ声優さんが、藤田淑子さんと八代駿さん。あのトムとジェリーの一番よく観ていたジェリーとトム。それっぽい感じはしなかったが、とても懐かしいのでメモ。