ハリーの災難

●262 ハリーの災難 1955

 森の中で遊んでいた少年アーニーが死体を見つける。

 同じ頃、森で狩りをしていたワイルズも死体を見つけるが、それを自分が撃った弾で死んだと思い、死体を隠そうとするが、そこへグレイブリーがやってくる。彼女は死体を隠そうとすることを黙っていると約束し、ワイルズに家にお茶しにくるように誘って去っていく。

 次にアーニーが母親ジェニファーを連れてやってきて、死体がハリーだと確認するが寝ていると子供に告げ、やはり去っていく。

 次に医者がやってくるが、読書に夢中で死体に気がつかなかった。

 次に流れ者がやってきて、死体を見つけると、死体が履いていた靴を盗んでいく。

 ワイルズは死体の側の木の陰で眠ってしまう。

 

 ウィギーの店にマーロウがやってくる。彼は絵描きでウィギーの店で絵を売ってもらっていたが、1枚も売れなかった。マーロウはウィギーの息子で保安官代理のカルビンと話をする。店にグレイブリーがやってきて買い物をする。マーロウはグレイブリーが昼にくる男性客のためにカップを買っているのを見て、もっとおしゃれするようにと髪の毛を切るように勧める。

 マーロウは森に絵を描きに行き、死体を見つける。そこでワイルズと話をし、事情を聞く。そして死体を埋めるかどうかを話し合う。ハリーを知っていそうなジェニファーに事情を聞きにいく。ハリーはジェニファーの二度目の夫だったこと、この家に訪ねてきたので牛乳瓶で頭を殴ったことを聞き出す。

 ワイルズはグレイブリーの家にお茶をしにいく。そこへアーニーがウサギを持ってくる。そのウサギはワイルズが狩りで仕留めたものだった。

 ワイルズワイルズはハリーの死体を埋める。そして話をしている時に、ワイルズは自分が撃った3発が、ウサギ、看板、缶を撃ったことに気づき、自分はハリーを撃っていないと気づく。そして真相を確かめるために、死体を掘り起こす。

 死体の傷は鈍器で殴られたものだった。そしてもう一度死体を埋める。

 ワイルズはグレイブリーを家に誘う。そこでハリーを殺したのは自分だと告白される。森で襲われたので、靴で殴った、正当防衛だと彼女は話し、死体を掘り返そうと話す。ワイルズとグレイブリーは死体を掘り返す。

 そして二人はジェニファーの家に行き、マーロウとジェニファーに話をする。しかし死体が公になるとジェニファーの結婚生活も公になることに気づく。4人はもう一度死体を埋めにいく。

 4人が戻ってくると、ウィギーがマーロウの絵を大金持ちが買いたがっていると言いにくる。店に行くと大金持ちが待っていて、マーロウの絵を買うことに。マーロウは4人のためのプレゼントを代金の代わりに請求する。そしてジェニファーに結婚を申し込む。

 そこへカルビンが帰ってくる。彼は流れ者が死体から盗んだ靴の話をする。そして州警察に電話をするが、その時マーロウが描いた死体の顔の絵を見かける。それが流れ者が言っていた死体の顔つきによく似ていた。

 4人はジェニファーの家に行く。そこでハリーの死亡が確認されないとマーロウとジェニファーが結婚できないことに気づく。4人は死体を掘り起こしに行く。そこへ医者がやってきて、死体に気づく。彼に死因を尋ねるが暗くてわからないと言われ、死体をジェニファーの家に運ぶことにし、汚れている服や死体を洗うことに。

 そこへカルビンがマーロウの描いた死体の顔の絵を持ってやってくる。マーロウは想像で描いたものだとごまかす。そこへ医者がやってくる。カルビンを帰らせ、ワイルズは流れ者が奪っていた靴をカルビンの車から盗む。医者の診断で、ハリーの死因は心臓発作だとわかる。4人は死体を元のお場所に戻し、翌日アーニーに見つけさせる。

 

 ここ何本かのヒッチコック作品では同じことばかり書いているが、導入部の面白さに後半が追いついていない、というのはこの作品も同じだった。

 子供が死体を見つけ、狩りをしていた男が自分が撃ってしまったと思い、死体を隠そうとするが、そこに色々な人間が現れて…という話。死体はうまく隠せるの?から始まって、本当に狩りで間違って殺したの?に代わり、本当に殺したのは誰なの?に移って行く。

 ただこの作品は細かいことを追っても仕方ないのだろう。ヒッチコックも、ひとつの死体を巡って話が二転三転、死体も埋めて掘り起こしての繰り返し、となるのを楽しんでもらおうと思って作った作品なんだと思う。

 結局それまで関わり合いのなかった2組のカップルがこの事件?を通して誕生した、というハッピーエンドで、死体となってしまったハリーだけが災難を受けた、まさに「ハリーの災難」というお話でした。

 ひとつわかったのは、ヒッチコックはあまりコメディが上手ではない、ということかな(笑