寒雷ノ坂 居眠り磐音江戸双紙 佐伯泰英

●寒雷ノ坂 居眠り磐音江戸双紙 佐伯泰英

 磐音シリーズ第2作。前作「陽炎ノ辻」から1ヶ月後という設定。両替商の事件が一段落し、他で金を稼がなくてはいけなくなった磐音。品川と共にいくつかの仕事に手を出す。内藤新宿での賭場の権利争いの用心棒、賭け矢の矢場の用心棒、妾の浮気調査、旗本への貸付金取立をする今津屋での用心棒、と様々。そしてその間に磐音が豊後関前藩を出奔することとなった事件の陰謀が明らかになってきて、関係する仲間がまたも殺されてしまう。

 長屋仲間?の幸吉が巻き込まれる事件などもあり、第2作にして1話1話のバラエティさは豊かになってきた感じがする。しかし如何せん話が軽い、というか磐音に関係してくる登場人物があっさりと死んでしまい過ぎる。確かに、知り合いが殺されてその敵討ち、というのが時代劇、時代小説での定番の見せ場なのかもしれない。この第2作でも矢場で知り合った仕事仲間の女と藩での陰謀話を調査してくれていた仲間があっさりと殺されてしまい、その仇を撃つことになるのだが…

 確かに第1作も冒頭からして、主人公磐音の非常に仲の良い友人があっさりと死んでいってしまう、というスタートだった。これが続くようだと長く読み続けるのは、ちょっと辛いかも。