シャーロック・ホームズたちの新冒険 田中啓文

シャーロック・ホームズたちの新冒険 田中啓文

 前作に続く第2弾。今回も非常に面白かったし、面白さではこちらの方が上。

 今回取り上げられる有名人、事件は、トキワ荘明智小五郎と光秀、黒後家蜘蛛の会が挑戦する2001年宇宙の旅正岡子規が推理する松尾芭蕉の謎、そしてホームズ。前作で唸ったのは、忠臣蔵の話だけだったが、今回はトキワ荘以外はどれも秀作揃いだと感じた。特に中の3編(明智、黒後家、子規)は、同時に二つの対象物を描いているのが特徴的。

 明智の話は、光秀の本能寺の変の謎解きをしつつ、『明智小五郎が殺される』殺人事件の謎を解き明かしている。黒後家では、黒後家蜘蛛の会のメンバーが映画?2001年宇宙の旅に隠された謎を解き明かしつつ、黒後家蜘蛛の会のメンバーについての秘密?を暴いている。どちらの話も二つの謎を解き明かしているが、そのどちらもが良く出来ている。

 最後のホームズに至っては、『あの時ベーカー街221Bに一緒に暮らし始めなかった』ホームズとワトソンの20年後が描かれていて、しかもそこで殺人事件が発生する。

 どれもこれもホントに凝った作りになっていて本当に楽しかった。

 現時点で続編は出ていないようだが、これは本当に第3弾を期待したい。そして田中啓文さんの他の本を探すことになりそう(笑