雪華ノ里 居眠り磐音江戸双紙 佐伯泰英

●雪華ノ里 居眠り磐音江戸双紙 佐伯泰英

 磐音シリーズ第4作。前作で豊後関前藩で敵討ちを成した磐音が、女郎となった奈緒を追い西へ東へ旅を続ける1冊。

 道中蘭医中川淳庵と知り合い長崎へ、小倉から赤間(下関)の遊郭へ、京都への道中での仇討ち騒動で知る田野倉源八と軍鶏闘鶏への賭け、金沢で出会うもう一人の那尾、そして江戸へ。

 この後の展開は知らないが、1冊の中で九州から京都、そして江戸へと1話ごとに舞台を移す目まぐるしい1冊だった。上記した以外にも、旅の先々で色々な人々と出会い、色々な経験をしていく磐音。

 それでもたった1冊だが、最後の話で江戸に戻ってきて、前作までの登場人物たちが次々と出てくる場面はちょっと嬉しく感じてしまった。

 上手いなと思ったのは、吉原のエピソード。前作で長屋の師匠幸吉の願いで吉原に身売りした豆蔵の母を探しに吉原へ行ったが、その際に知り合った四郎兵衛会所の人間がこの第4作でも登場し磐音を助けてくれる。前作のブログでも書いたが、第3作でのこの吉原話はちょっと軽く感じてしまったが、この第4作につなげるために作られた話だとしたら、なかなかだと思う。この第4作では旅先で多くの人間と関わり合いを持ったので、これが伏線で今後登場してくる可能性は高いのかも。

 奈緒探しはまだまだ続くのか。やっぱり次の1冊が読みたくなる展開。上手い。