龍天ノ門 居眠り磐音江戸双紙 佐伯泰英

●龍天ノ門 居眠り磐音江戸双紙 佐伯泰英

 磐音シリーズ第5作。前作で江戸に戻った磐音と江戸の仲間たちの活躍を描く1冊。今津屋と関わりのある加賀屋の押し込み事件、奈緒の吉原乗り込みと尾張宮宿の妨害、盗賊の娘おとくの用心棒、用心棒仲間竹村の医師現伯勾引事件、佐々木道場道場破り事件。

 前作で奈緒を追い日本中を回ってきた磐音が江戸に戻るが、いつも通り?様々な事件に巻き込まれる。奈緒は吉原の花魁となることが判明、こちらはこれで一段落しそう。奈緒は花魁名白鶴と名乗り、その姿が「雪模様日本堤白鶴乗込」に描かれ、この絵を蔦屋重三郎が売り出した、とされている。

 豊後関前藩が今津屋に借金を申し入れることとなり、その担保が磐音自身だったことがわかる第5話目はさすがに魅せる話だった。藩の殿様との会話が泣かせる。

 前作でも書いたが、これまでに登場してきた人物がこの第5作の中のあちらこちらで顔を出し始め、ますます面白くなってきた。この先の展開が楽しみだ。