雨に唄えば

●270 雨に唄えば 1952

  チャイニーズシアターで「宮廷の反逆児」の試写会が行われ、主役の二人ドンとリナがカーペット前でインタビューを受ける。ドンは人生を振り返り、どのようにして映画スターになったかを話すが、話している内容と映像は全く異なっていた。

 試写会は大成功、しかしドンは挨拶でリナには全く喋らせなかった。リナは声が変だったのだ。サイレント映画ならではことだった。そんなリナはファン雑誌に書かれていたドンとリナが恋仲であることを信じていたが、ドンにその気はなかった。

 試写会からパーティ会場に向かうドンだったが、途中ファンに囲まれ逃げ出し、見知らぬ人の車に乗り込むことに。その車を運転していたのは、キャシーだった。彼女は映画は一度見れば十分と言う、舞台女優だった。

 パーティ会場についたドン。会場では社長が作成したトーキー映画が上映され、他社がトーキーでの新作を製作することが告げられる。パーティのショーとして大きなケーキが運び込まれ中から踊り子が登場するが、それはキャシーだった。キャシーはリナにパイをぶつけてしまう。ドンはキャシーを追うが、彼女はショーが終わりすぐに帰ってしまう。

 ドンとリナの新作の撮影が進む。サイレントであるため、ラブシーンであるが、リナは、キャシーをクビにしたことをドンに告げる。そこへ社長がやってきて、他社のトーキー映画が当たったことを受け、撮影を中止し、トーキー映画とすることを宣言する。ドンはキャシーを探していたが、ある日キャシーが女優として採用されることに。キャシーは断ろうとするが、ドンが社長に採用するよう提案し了承される。そして一緒に仕事をすることになったドンはキャシーに愛の告白をする。

 ドンもリナも発声練習をする。また撮影現場では、マイクの位置の問題が発生していた。それでも試写会にこぎつけるが、音声のズレなどあり、試写会は大失敗。ドンとキャシー、ドンの友人のコズモは、映画をミュージカルにし、キャシーがリナのアフレコをすることを思いつく。それを社長も了承する。

 全てが順調に進むが、アフレコの件がリナにバレてしまい、彼女が乗り込んで来る。ドンたちはキャシーのことを発表するつもりだったが、リナが新聞社に偽の情報を流す。さらに契約書をたてにキャシーを今後も自分の吹き替えをキャシーにやらせるように社長に迫る。

 新作映画が発表され大喝采を浴びる。喜ぶ皆だったが、舞台袖でリナは今後も吹き替えをやり続けてもらうと話す。ドンは激怒し社長に迫るが、社長はとぼける。リナはご機嫌に舞台挨拶をする。そこで観客から歌を歌うように要望される。ドンたちは嫌がるキャシーにカーテン裏で歌うように指示する。そして歌が始まると、ドンたちはカーテンを引き上げ、本当に歌っているのはキャシーであることを観客に暴露する。

 

 言わずと知れた名作中の名作。コメディとしてもミュージカルとしても申し分がない。映像とセリフのギャップで笑わせる冒頭のインタービューシーンやサイレントとしての撮影現場が可笑しい。またトーキー映画の試写会での音声のズレも鉄板のネタ。今回リナ役の女優さんの声が地声でないと知ったが、それもまたスゴい。

 ミュージカルとしては何も言う必要もない。ジーン・ケリーデビー・レイノルズドナルド・オコナー。一人でも二人でも三人でも完璧。後半の映画の一部として紹介されるシーンが冗長にも思えるが、ジーン・ケリーの踊りを存分に魅せるための時間と思えば仕方なし。もちろん有名な雨の中のシーンも最高だし。

 これがミュージカルという一本。