シャーロック・ホームズの蒐集 北原尚彦

シャーロック・ホームズの蒐集 北原尚彦

 先日読んだ田中啓文さんのホームズ本の解説で知った北原さんのホームズパスティーシュ本。全6編からなるが、どれも聖典を思わせる文章で驚いた。事件解決への展開もドイルのそれっぽく、必ずしも丁寧に犯行の目的や証拠が描かれていない(笑 そこに本物っぽさを感じてしまう。

 話もどれも面白く、いかにもホームズものでありそうな話ばかり。田中啓文さんのそれがあまりにSFじみていたこともあるが(笑 さらにパスティーシュならではの、クスッと笑える場面もあり、さすがだと思わせる。登場人物も凝っていて、「憂慮する令嬢の事件」に登場するマリー・ルイーズはまたどこか別のところで読みたいキャラクターだった。

 それにしても聖典から100年以上が経ってもこれほどの作品が作られるシャーロック・ホームズがスゴい。