遠霞ノ峠 居眠り磐音江戸双紙 佐伯泰英

●遠霞ノ峠 居眠り磐音江戸双紙 佐伯泰英

 磐音シリーズ第9作。季節は春から初夏へ。幸吉の宮戸川方向開始と釣り銭騙り、中居半蔵暗殺未遂事件、秩父借金取り立て用心棒、義弟義源太郎との出会いと薬王寺との斬り合い、尾口小助の正体判明。

 9作の大きな流れとして、白鶴が吉原花魁人気投票?の結果第2位になること、豊後関前藩の船正徳丸が無事江戸に到着し、初の売り上げが出たこと、江戸関前藩内で怪しい動きを見せていた尾口の正体が判明すること、などがある。

 磐音シリーズはここまで様々なエピソードがあったが、大きな流れ以外は大抵各章でその話は終わる(結果が出る)ことがほとんどだったが、この9作では、前作から続くものやこの9作で発生したものも含め、上記した大きな流れがバタバタと決着がつくことで一段落した感じがする。

 おこんの磐音への思いがここのところ重点的に描かれていた気もするが、ここにきてまた磐音が奈緒のために動く、というのもちょっと見逃せないか。

 次作でいよいよ10作目。読み始めてまだ1ヶ月経っていないことに驚く…