鬼平犯科帳 第6シリーズ #08 男の毒

第6シリーズ #08 男の毒

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 盗賊改が黒股の弥市の家を取り囲んでいた。弥市は総上の三五郎の右腕と呼ばれた男で、女の生気を吸い上げ、あとは売ってしまうような男だった。今弥市の毒牙にかかっていたのは、おきよだった。盗賊改が踏み込むと抵抗しようとした弥市だったが、持病の労咳でその場で果ててしまう。やっと自由の身になったおきよは、叔父の伊助の家へ逃げ込む。彦十も鬼平も伊助には若い頃に世話になっており、おきよのことも知っていた。

 一ヶ月後、おきよは小間物屋の直吉と一緒になり暮らしていたが、おきよは毎晩直吉を求めるため、直吉はおきよと別れたがっていた。そのことを知った彦十は鬼平に知らせる。直吉はおきよを疲れさせるために外回りをおきよに頼む。

 ある日外回りをしていたおきよは偶然ガタイの良い文三と知り合い、寝てしまう。その日は文蔵と別れようとするおきよだったが、その後も数日毎日会うことに。すると文三からもう別れて欲しいと言われ、しまいにはお前は化け物だと言われてしまう。

 20日あまり後、おまさが街中で簣の子の宗七を見かけ、鬼平に報告する。宗七は総上の三五郎の引き込みで、経師屋だった。彦十が宗七の仕事先を見張っていると、その家へ出入りするおきよを見かける。おきよは直吉と別れ、女が必要ない年寄りの妾となっていたのだった。おきよは宗七と出会うが、宗七は弥市とそっくりな顔立ちだった。2人きりになったおきよは宗七を誘ってしまう。

 おきよは宗七と一緒に暮らし始める。おきよは宗七の体を心配し、21日間宗七と触れ合わないという願をかける。その夜おきよは宗七にその旨を告げる。

 宗七は三五郎に間取り図を届け、これを最後に仕事から足を洗うことを三五郎に認めてもらう。家に帰った宗七は苦しむおきよを見ておきよを抱いてしまう。押し込みをしようとする三五郎一味は宗七が来ないことを気にしていた。宗七は仕事に向かう途中に掘割で卵を飲んでいた。盗賊改は三五郎一味の盗人宿に出張理、一味を捕らえる。宗七がいないことに気づいた鬼平は宗七を探させる。宗七は掘割で死んでいた。

 鬼平は宗七の遺体をおきよの元に届ける。おきよは願掛けを破ったバチが当たったと嘆く。久栄がおきよのことを心配していると彦十がきて、おきよが仏門に入ったことを告げる。

 

 女性の性への欲望がストレートに描かれている珍しい作品。よくある「魔性の女」ものとちょっと違うのは、おきよが弥市にそんな体にされてしまったという悲しみがあるところか。女性の性について時代劇で語るとなるとちょっと場違いな感じもするが、それを可能にするのが、鬼平の凄さでもある。

 おきよ役の川上麻衣子さんは金八後のヌードになって話題になったので、こんな役もOKだったんだろうなぁ。相手役の本田博太郎さんは鬼平でよく見る気がして調べたら、SP含め7回も出演している。ちょっとヤバめの役から人の良さそうな役まで出来る上手い役者さんだ。

 テーマは女性の性一つで、最後は悲しい結末だが、ラストで彦十が鬼平と久栄を軍鶏鍋に誘うことが、伏線(彦十が軍鶏鍋は女を元気させてしまうと語るシーンあり)があり、笑いを誘いちょっとホッとさせてくれる。