ぼくらの七日間戦争

●280 ぼくらの七日間戦争 1988

 青葉中学は教師が生徒を厳しく管理していた。本人がいないところでの持ち物検査、遅刻者は正座などが行われ、時には暴力で生徒たちを従わせていた。そんな中、英語女性教師の西脇だけは生徒から信頼されていた。

 ある日1年A組の男性と8名が授業をボイコットし、大蔵省関東財務局が管理する廃工場へ立てこもる。彼らは食べ物飲み物を持ち込み、自由を謳歌していた。

 翌日家に子供が帰ってこない彼らの母親たちが学校へ押しかける。しかし生活指導の教師は母親たちの躾がなっていないと話す。校長たちはいなくなった生徒を捜索するとともに、教育委員会へバレないように気を使う。

 学校では相変わらず厳しい指導が続いていた。

 立てこもった生徒たちは工場で暮らす謎の男性と出会う。彼らは男性の処置に困るが、男性はいつのまにか姿を消していた。

 同じクラスの女生徒3名が工場へ陣中見舞いに来る。女生徒の1人が男生徒の1人と仲が良く、内緒で居場所を教えてもらっていたためだった。

 学校に居場所がバレ、教師と親たちが工場へやって来る。家に帰るよう説得する教師たちの言葉に反論し、生徒たちは様々な手段で教師や親たちを追い返してしまう。その後生徒たちは工場の地下へ降りる手段を見つけ、そこで戦車を発見する。

 立てこもっている生徒たちの元へ西脇が激励にやって来る。

 1年A組では、残った生徒たちの不満が高まり、学級委員であるひとみを責めるが、ひとみも自分には関係ないと言い返す。そしてひとみたち3人はまた工場へ向かう。女生徒たちが持ち込んだ材料で料理をし、皆でパーティを始める。しかしその場で居場所がバレたことを気にした生徒が他の生徒を攻撃、喧嘩になってしまう。元になった生徒が工場から出て行こうとするが、ひとみが引き止める。

 工場へ教師たちが乗り込んできて、実力行使で工場へ押し入ろうとする。生徒たちは食い止めることに必死になるが、扉を突破され、皆捕まってしまう。その時整備していた戦車が動き出し、それを見た教師たちは逃げ出していく。

 戦車が現れたことがニュースとなり、警察が動くことに。生徒たちはこのまま終わるのは嫌だと話し、最後の戦いに向けて準備をし始める。

 そしてマスコミなどが見守る中、機動隊が工場へ突入する。生徒たちは罠を作って機動隊を撃退、その後に入ってきた教師たちとも戦う。教師たちも罠にかけた後、生徒たちは下水道を使って外へ出て、最後の仕掛けである花火を楽しむのだった。

 

 公開当時も話題になったし、その後も宮沢りえのデビュー作として有名だったが、今回初見。行き過ぎた学校管理に反抗する生徒たちが戦う、という昭和の終わりによくあった?パターンの話。

 見てすぐに感じたのは、「小さな恋のメロディ」のラストを時間をかけて、長編映画にしたという感じ。しかしこの映画を見ると、改めて「メロディ」のラストの良さがわかる。あちらもおよそ非現実的なラストだったが、カタルシス感は半端なかった。しかしこの映画では3回ほど生徒たちが教師たちと対決するが(最初は放水、2回目は戦車、最後は機動隊後の罠)、何度も繰り返すと非現実感がより増していくだけになり、ラストの花火で中学生がこんな仕掛けできるわけないじゃん、と冷めた目で見てしまった。

 ストーリーとしては、ネットで多く書かれている通り、立てこもる男生徒8名のキャラ作りが中途半端なのが残念でならない。料理を作る、戦車を動かす、工場の城塞化など、魅せるシーンが多いのだから、キャラを当てはめ見せ場を作れば良いのに、と思ってしまった。

 この辺りがおざなりの映画のため、80年台前半角川3人娘で一儲けした角川が、80年台後半に宮沢りえでもう一儲けしようとした映画なのか、と思ってしまう。

 それにしても佐野史郎賀来千香子のコンビがあのドラマの何年も前に共演していて驚いた。笹野高史さんも良い味を出していたし。教師役はなかなk見事な布陣だったのに、それが生かされていないのは残念。