鬼平犯科帳 第6シリーズ #10 おかね新五郎

第6シリーズ #10 おかね新五郎

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 鬼平は寺で寺子屋をやっている原口を酒を持って訪ねる。原口は鬼平が若い時に通っていた高杉道場の同門だった。原口は時々酒や金子を持って訪ねてくれる理由を尋ねると、鬼平は息抜きだと答えるのだが…

 その帰り鬼平はおかねを見かけ後をつける。おかねは萬七という料理屋に入って行く。鬼平はその店に入り酒を飲む。隣の部屋の怪しい会話を聞きながらも、うさぎ鍋を食す。

 鬼平とおかねの出会いは二十数年前、鬼平が無頼だった頃のこと。おかねはすあい〜表向き行商をしながら女郎をする〜だった。鬼平や彦十はおまさの父がやっていた酒場に通っていた。おかねのその店の客で、客の弥助と揉め事を起こし、弥助の眼をかんざしで刺したことがあった。

 鬼平は隣の客が店を出るのに合わせ、店を出る。するとおかねがその客をつけていた。鬼平はおかねをつけるが、その鬼平をつける侍がいた。鬼平は侍に腕を斬られ、おかねは客に斬りかかるが逆に殴られていた。鬼平は侍を倒すが、そのすきに客は逃げていた。

 鬼平は役宅におかねを連れて帰り、おまさに看病をさせる。侍については伊三次の調べで、3年前鬼平が捕まえた増渕伝右衛門の弟富蔵だとわかる。翌日鬼平はおかねから事情を聞く。おかねは昨日の客弥助に昔子供を殺されていた。簪で眼を刺したことを恨み、その10年後に江戸に戻ったおかねの娘おみのを殺し、手紙をおかねに届けていた。

 鬼平は彦十を呼び、おかねについて相談しようとしたが、おまさがおかねを自分の家で預かると言い出す。鬼平はおかねに死んだ子の父親を聞こうとするが、おかねは答えなかった。

 彦十と2人になった鬼平は昔のことを思い出す。2人は昔おかねの家に忍び込みおかねを襲おうとしたところを原口が入ってきて咎められていた。彦十はなんであの時刻に原口がいたのかと疑問に思い、原口がおかねの子の父だと気づく。

 伊三次は弥助について調べる。

 鬼平は原口におかねのことを覚えているかと尋ねる。原口はおかねを所帯を持つつもりだったが、おかねから断られていた。原口は姿を消したおかねを探し続けていた。鬼平はおかねが原口の子を産んでいたことを話し、おかねと会うかと聞く。

 おまさはおかねに酒を勧めるが、おかねは子が死んだ後、酒を断っていた。おかねは原口のことをこの父親だと話す。子ができたことがわかり、士官の道が決まっていた原口の前から姿を消したことなども。

 原口は役宅に鬼平を尋ねるが、鬼平は留守だった。

 弥助が仲間と美人局をしているのを伊三次は目撃する。

 鬼平は同心から原口が来たことを聞き、おかねを連れ原口に会いに行く。その場で原口は自分の子が殺されたことを知る。

 その夜、鬼平は弥助の家へ出向く。そして原口とおかねに子供の仇討ちをさせる。

 後日鬼平は原口とおかねの家を訪ねる。

 

 第6シリーズでよくある人情話のパターン。登場するのは、鬼平や彦十が若い頃に「世話になった」女郎おかね。このパターンも鬼平にはよくあり「むかしの女」などもこのパターン。

 しかしこの話が珍しいのは、子供時代のおまさが映像として登場することか。これまでも話ではよく出て来たが。どうせならこの回想シーンに若い鬼平や彦十も登場してほしかったが、ダメか(笑 それでもおかね役の南田洋子さんは、回想シーンにも出ている。さすがに無理があるが… 鬼平が若い頃に「世話になった」女郎なので、年齢的に吉右衛門さんより年上の女優さんを使ったんだろうけど、この作品製作時には既に60歳越え。女郎役には無理があるよなぁ。

 もう一つ珍しい点。自分が見落としていたのかもしれないが、この話では場面場面で身近な紅葉の美しさが目立つことが多かった。これまでも自然の風景を取り入れることはあったと思うが、引きで撮る遠目の風景が多かったと思うが、人物と重なるように紅葉の美しさを描いていた。これまでもあったのかしら?

 最後に蛇足ながら。既に第6シリーズなので、細かいことはどうでも良いと思うが、美人局のような罪を犯している弥助を火付盗賊改方が捕まえる、というのはどうなの?まぁ盗賊の頭とかならば、女郎に眼を刺される、ということもないから、小者の悪党にせざるを得なかったのはわかるけど…