鬼平犯科帳 第6シリーズ #11 五月闇

第6シリーズ #11 五月闇

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 梅雨、提灯店。みよしやの娼妓およねは伊三次の相方だった。

 伊三次はおよねから他の客で胸に傷のある伊佐蔵のことを聞き、傷は昔盗人とやりあってできた傷だと聞かされる。

 伊三次は鬼平にその男、強矢(すねや)の伊佐蔵が江戸に現れたと報告する。伊佐蔵は上州信州を根城にする腕の良い盗人だった。鬼平は伊三次がまだおよねと繋がっていた(およねと伊三次のエピソードは 第2シリーズ #07 猫じゃらしの女)ことを知った鬼平は喜び、小遣いを伊三次に渡す。

 鬼平は佐嶋を呼び出し、伊三次がまだ何かを隠していると推測する。鬼平は佐嶋は調べるように命じる。佐嶋は五鉄で彦十、おまさに相談すると、彦十はみよしやに入り込むと話す。

 彦十はみよしやに入り、およねに伊佐蔵が盗人であることを話し、伊佐蔵が来たら知らせてくれと話す。みよしや側の家に同心たちも張り込む。

 7日経っても伊佐蔵は現れなかった。およねはみよしやから家へ帰る。家のそばには伊三次が待っていた。伊三次は鬼平がおよねと一緒になるつもりなら力を貸してやると言われたが、それは断ったと話す。およねは自分が娼妓だからだと考えるが、伊三次はそうじゃないと怒る。

 伊三次は密偵となり5年、伊三次は鬼平に高く評価されていた。しかし伊三次が伊佐蔵調査にかける情熱はいつもとは違っていた。忠吾は彦十から聞いた伊三次の変わりぶりを諌めに伊三次に会いに行く。伊三次は忠吾にも怒りを見せ、忠吾を帰らせる。

 報告を聞いた鬼平は伊三次が1人で仕事を終わらせるつもりかもしれないと考え、1人で仕事をさせてやれと佐嶋に話す。

 彦十は伊三次と話す。伊三次は伊佐蔵を殺すつもりだ、伊佐蔵が伊三次を殺すつもりだから、殺される前にこっちが奴を殺すと話す。その時およねが1人の客を連れてくる。その男は市野の馬七といい、伊佐蔵の片割れだった。伊三次はおよねに馬七のことを聞くと、伊佐蔵と一緒に来たことがあると答える。馬七に酒を飲ませようと計るが、馬七はすでに逃げていた。

 馬七を逃したことで同心たちの不満が高まる。

 伊三次はおまさから津川の弁吉と話したが、伊佐蔵の居場所はわからない、江戸での仕事も聞いていない、ただ一昨年京の四条河原で会ったときに、伊三次に会ったときに生かしてはおかないと話していた、と聞く。おまさは伊三次に伊佐蔵との間に何があったのか尋ねる。伊三次は女だと答える。

 彦十はおよねと一緒にいた。お米は彦十をとこに誘うが、彦十は断る。およねは男がいないとダメな体になってしまったと告白する。

 伊三次は馬七、伊佐蔵と出会う。そして2人と斬り合いになり、大怪我を負ってしまう。大怪我をした伊三次はみよしやへたどり着く。伊三次は役宅に移され、名医飯島順道の診察を受けるが、重症であった。

 鬼平は現場にあった丸に梅の字の番傘を元に調査をするよう同心たちに命じる。その結果船宿梅屋の傘だと判明し、同心たちが張り込むことに。

 床に伏せていた伊三次は看病するおまさに、伊佐蔵とのことを話し始める。名古屋で伊佐蔵の家に世話になっていた伊三次は、伊佐蔵が大阪に行っている間に、伊佐蔵の妻おうのに手を出し、バレたときに伊佐蔵を刺していた。このことが真っ当な盗人だった伊佐蔵を今の急ぎ働きをする盗人へ変えてしまった。おうのと駆け落ちした伊三次はおうのも殺してしまっていた。おうのは女郎上がりで一日も男がいないといけない体になっていたのだった。伊三次は自分の金2両をおよねに渡してくれと話す。

 船宿梅屋も伊佐蔵と深い関わりはなかった。彦十のみよしやでの張り込みも解くことになり、鬼平が店に向かう。鬼平は女将に伊三次からおよねへの2両の金を渡す。そこへ伊佐蔵が馬七と店にやってくる。鬼平は馬七を倒し、およねを人質にとる伊佐蔵に伊三次は死んだと告げ、伊佐蔵を倒す。

 伊三次はまだ生きていたが、飯島順道は鬼平に伊三次の命はあと三日だと告げる。

 

 第6シリーズ最終話。まさかの伊三次死亡。第2シリーズ以来4シリーズぶりにおよね(池波志乃)が登場、珍しい話の始まり方だと思っていたが、まさかこんな結末の話とは。正直第6シリーズは、ちょっと?と思う話が多かったが、ラストにこんな大きな話を持ってくるとは思わなかった。

 原作通りの話なのだろうが、伊三次が過去に殺されても仕方ない、と思われるようなことをしていたのも意外。密偵たちは皆元は盗人だから、悪いことはしてきていただろうが、人の道は外していないだろう、と勝手に思い込んでいただけか。

 伊三次の過去話に絡めて、娼妓・女郎の行く末も語られており、こちらも悲しい話。彦十を誘うおよねが見せる涙が悲しい。

 密偵の数は多いので、次期シリーズ以降も困ることはないのだろうが、レギュラーメンバーの1人がいなくなるのは寂しい。どんな第7シリーズになるのか、注目したい。