拳銃王

●283 拳銃王 1950

 1880年代のアメリカ南西部。早撃ちガンマンリンゴの物語。

 リンゴは酒場にやってくる。1人酒を飲みに来たが、リンゴが来たことを知った若者エディがリンゴを挑発、リンゴが相手にしないとエディは銃を抜くが、リンゴに撃たれる。店の客がリンゴに早く街を出るように、エディには3人の荒くれ者の兄がいるためだと言う。

 リンゴは街を後にするが、3人の兄が彼を追う。しかしリンゴは路駐で待ち伏せし、彼らの馬を逃し、拳銃を奪う。リンゴはカイエンの街へ向かい、3人もカイエンへ。

 リンゴはカイエンの街へ。酒場に行くとバーテンダーが彼の顔を覚えており、リンゴが顔を洗っている間に保安官を呼ぶ。リンゴは保安官の顔を見て話しかける。保安官マークはリンゴの古い知り合いだった。

 マークはリンゴに街を出て行くように言うが、リンゴは街に来た理由はわかるはずだと言う。リンゴは女ペギーに会いに来たのだった。しかしマークはペギーのことを教えようとしない。リンゴはマークに、ペギー本人が会いたがらなければ会わずに街を出る、と約束、マークはペギーに話に行く。

 マークは教師をしているペギーに会いに行く。男の子たちは伝説のガンマンであるリンゴを見に行ってしまい、学校は休校になっていた。ペギーはリンゴには会わないと話す。

 街ではリンゴのいる酒場の周りに子供達や男たちが集まっていた。その様子を見た婦人たちは保安官に文句を言いに行こうと言い出す。リンゴがいることを聞いた男マーロウは家に戻り、酒場の入り口を見下ろす我が家の窓からリンゴを狙う。彼は息子をリンゴに殺されていた。

 酒場に戻ったマークはリンゴにペギーの話を伝える。リンゴは息子のことを気にかける。そこへ住人がやって来て別の事件が発生しているので、保安官に来て欲しいと言い、マークを連れ出す。

 リンゴは街を出ようとするが、店の奥からモリーが声をかける。リンゴの昔馴染みの女だった。リンゴはモリーの夫バッキーが半年前に殺されたことを聞く。バッキーも凄腕のガンマンだったが、何者かに殺されたのだった。リンゴはモリーにペギーと息子ジミーのことを聞く。モリーは自分がペギーを説得しリンゴに合わせると言い出す。リンゴは3人の兄たちがやってくる前に街を出たいと考えており、モリーに急いでくれるように頼む。

 街のならず者ハントが床屋にやってくる。店で男たちがリンゴのことを話しているのを聞いたハントは酒場に行き、リンゴを挑発するが、リンゴは言葉だけでハントを追い出す。

 その頃3人の兄たちは、馬を手に入れる。これでカイエンの街への到着時間は早まることとなった。

 ペギーは酒場周りにいた息子ジミーを家に連れて帰る。そこへモリーが現れる。そしてペギーの気持ちを確かめる。その間にジミーは家を抜け出す。

 ハントは床屋へ戻るが、保安官に呼び出される。マークはハントが揉め事を起こすのを恐れ、街を出るように命じる。

 酒場でモリーを待つリンゴは焦れて、店の外へ出ようとするが、その際向かいの家から狙われていることに気づく。そして裏を周り、自分を狙っていたマーロウを捕まえ、保安官事務所へ連れて行き、牢屋に入れる。そこへ婦人たちがやってくる。彼女たちは保安官にリンゴを捕まえるように進言しに来たのだが、リンゴとは知らず彼と話すことに。途中保安官に戻り、会話は続くが、リンゴが後1時間だけ様子を見ればと提案し、皆了承するが、最後に婦人たちにリンゴの正体がバレてしまう。

 街を出て行ったように見せたハントは保安官の様子を伺っていた。

 リンゴは酒場で酒を飲んでいた。そこに来た若者が奥さんと牧場を新たに始めた話を聞く。その後マークと2人で話す。そしてマークが保安官になった経緯を聞き出す。マークとリンゴは昔強盗をする仲間だった。マークは強盗の後に寄った街で銃撃戦をし、少女の死んだのを見て逃げ延び、この街へたどり着き、今の職についたのだった。

 時間が来てリンゴは諦め、街を出ようとする。そこへモリーが到着、リンゴはペギーと話すことに。リンゴはどこか遠いところで落ち着いた暮らしをしたいと話すが、ペギーはもう遅いと答える。そしてリンゴは1年後にもう一度話に来ると言い、ペギーも受け入れる。街を出ることを急がせるマークだったが、リンゴは最後に息子に会いたいと言い出す。そして2人で話をする。

 酒場に3人の兄が到着、リンゴの居場所を聞き出し、店の裏に回る。

 リンゴは話を終え、街を出ようとする。その時店の裏で隠れていた3人の兄たちを保安官助手が見つける。安心して街を出ようと別れの挨拶をしたリンゴだったが、その直後にハントに撃たれてしまう。

 虫の息のリンゴだったが、最後にハントに対し、これからは多くの人間がお前を倒しに来る、と言い残し死んでしまう。マークはハントを馬小屋に連れ込み、殴る。そして死ぬならよそで死ねと言い、蹴り飛ばす。

 リンゴの葬式が行われる。ペギーとジミーはリンゴの妻と子だと言い、葬式に参列する。

 

 邦題はダサいが、非常に面白い1本だった。

 冒頭の酒場での若者との撃ち合い、それを知った3人の兄をも待ち伏せて、拳銃と馬を奪ったところで、早撃ちもスゴいし、頭も良いし、単なるヒーローものかと思って見ていたが、時間が経つにつれ話がどんどんと面白くなって行った。

 昔の女に会いたいが、3人に追われている身としては時間がない。街では、息子を殺されたと思っている男親に狙われ、またもならず者の若者にも狙われる。昔の仲間である保安官や知り合いの酒場の女性が手助けしてくれるが、どんどんと時間は経過していく。

 1時間半弱の映画だが、見所は十分だった。後半酒場に現れる牧場をやって成功している若者の話は、最初この男も何らかで絡んで来るのか、と思ったが、早撃ちガンマンとして名を馳せたリンゴの対極の生き方として描かれたのね。

 どの街のどの酒場に行っても、ならず者の若者に命を狙われる、ってどんな人生なのよって感じだもの。ラストのリンゴのセリフが良い。ヒーローに見られがちのガンマンの本音だよなぁ。

 この時代の良い作品は、派手さはないけど本当に出来が良い。

 

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  • 発売日: 2005/06/03
  • メディア: DVD