朧夜ノ桜 居眠り磐音江戸双紙 佐伯泰英

●朧夜ノ桜 居眠り磐音江戸双紙 佐伯泰英

 磐音シリーズ第24作。季節は年明けから春。桂川国端と桜子の祝言と道場破り相良肥後守定兼、道場早朝訪問者橘右馬介と今津屋偽銀遣い騒動、おこん養女入りと鶴吉からの情報〜5人の刺客〜1人目との戦い、鶴吉三味線の店と読売での大騒動、2人目3人目の刺客との戦いと磐音おこんの祝言

 ここ数作続く磐音シリーズのお祝いラッシュ。今作では国端と桜子の祝言に続き、磐音おこんの祝言がやっと執り行われる。それに合わせたおこんの養女入りも描かれ、祝言に向けた準備も華やかに行われる。

 一方で、なぜか増えて来ていた道場破りの謎も明かされ、5人の刺客が送り込まれたこととその名前が明かされる。本作では早くもそのうちの3名との戦いが描かれ、うち1人との戦いでは、磐音が足に負傷する。以前闇討ちで斬られた時とは違い、今度はまともに立ち会って初めて傷を負うことになった。それほど敵が強敵になってきたという印。

 読売を使って、相手が田沼意次であることを江戸中に知らしめるのは見せ場だろう。いよいよ磐音最大の敵との戦いが幕を上げた感がある。

 ただし次作はちょっと趣向が変わってガイドブックのような「読本」となっている。ある意味これも楽しみではあるが。